40 / 52
第四章
1 アースィムの回顧
しおりを挟む
窓から暖かな陽光が差し込んでいる。ここが砂漠であったならば、進んで日差しを浴びようと考える酔狂者などいないのだが、当然帝都では事情が異なる。
季節は冬。マルシブ帝国は温暖な気候であるとはいえ、冬季の帝都では、暖炉を灯さずにはいられない。この日はさして冷え込んでいないものの、砂漠で生まれ育ったアースィムにとっては肌寒い。腕を摩りながら、暖かな窓辺に身体を寄せた。
昨年が終わり新たな年の訪れを寿ぐ儀式が終了した直後のこと。十二歳のアースィムは、父に連れられて初めて宮殿を訪れている。
新年は砂竜族にとって、期待と不安の時期でもある。というのも、繁殖しない存在である砂竜の卵を下賜される年に一度の機会、竜卵の儀が執り行われるからだ。この儀式において、天竜の泉から砂竜の卵が掬い出される。通常、各氏族に一つずつの卵が下賜されるが、旧年中の功績が著しい氏族には二つ以上の卵が与えられることもある。
強靭な砂竜を数多く保有することは、他部族に対してだけでなく、砂竜族内でも他氏族に対し優位を得るために有益なこと。ゆえに、各氏族がこぞってマルシブ帝国に忠義を示して功績を上げようとするのである。
しかし今年、白の氏族に与えられた竜卵は一つだけ。元より、人の数よりも少ない砂竜である。当然、全ての者が砂竜を孵し唯一無二の相棒として絆を交わすことができる訳ではない。
では、たった一つしかない今年の竜卵を孵す栄誉を賜る者は誰だろうかと、アースィムは物思いに耽る。四氏族長が出席する御前会議が終わるまで、一人切り控室に残り中庭を眺めていると、静謐な空間がよりいっそう思考を促した。
幼少の頃よりアースィムは、活発な質ではなかった。無論、砂竜族らしく武を貴ぶ心は持ち合わせているし、剣も弓も同年代の者に引けを取ることはない。しかしそれを、いたずらにひけらかすことには魅力を感じず、どちらかといえば、心身を磨くため、静かに思索に耽ったり黙々と修練に励んだりする方が性に合っているのだ。
そして、このようにぼんやりと一人過ごしていたからこそ、運命の出会いは生まれたのである。
その日アースィムは窓辺で温まりながら、中庭で咲く名も知らぬ花々を眺め、低木の間を縫うように飛ぶ鮮やかな色合いの小鳥を目で追っていた。それに導かれるようにして、アースィムは小さな泉の存在に気づく。絢爛な宮殿において、いささか場違いな感のある古びた石積みに囲まれた水場。その側に、一人の少女が佇むのを見た。
彼女の姿を初めて目にした瞬間、世界が一段明るく色づいたような心地がして、アースィムは息を呑む。
乳茶色の長い髪は絹のように細く、日差しを受けて金色に煌めいている。長い睫毛に縁取られた瞳は、蒼天よりも透き通り泉水よりも深い青色で、微笑みが刻まれた口元はまるで、水神の使いのように世界への愛を滲ませていた。
その神々しさに、アースィムは一目で惹き付けられた。そして、彼女の人柄を伝え聞いて、よりいっそう思いを募らせた。
「ああ、ラフィア皇女だよ」
あれは誰か、と問うてみれば、警備の斧槍兵が答えてくれた。
「毎日のようにあの泉に来ては、ぶつぶつと独り言を言っているんだ。水辺がお好きなら、こんな日陰の小さな水溜まりじゃなくて、もっと綺麗なやつが中庭の真ん中にあるのに妙だよな」
「皇女様はなぜここに?」
「それが、誰も知らないんだ。こんな人目が少ない場所に来られて万が一泉に落っこちでもしたら大変だろ。だから皆が窘めるんだけど、全然響かないみたいでさ。何を言ってもあの極上の微笑みで躱されちまうんだよ」
斧槍兵は呆れを通り越して諦念を滲ませていたが、アースィムはむしろ皇女に感心した。誰に何を言われようと受け流し、自分の意思を貫くことができる。それも、アースィムよりも年下と見える、幼く可憐な女の子が。族長の長子として理想的であることに囚われ、常に周囲の顔色を窺い従順に生きるアースィムとは大違いだ。
いったい何が彼女をそのように振る舞わせるのだろう。皇女と言葉を交わしてみたいと思ったが、所詮は皇族と臣下の子供。住む世界が異なるのだからそれは叶わぬ願いだと諦めて、その年、アースィムは帝都を去った。
もう二度とラフィアの姿を目にすることはないと思っていた。しかし予想に反し、翌年もその翌年も、アースィムは控室の窓越しに皇女を目撃した。斧槍兵が述べたことに誇張はなかったらしく、本当にラフィアはこの泉を頻繁に訪れているようだ。
年を追うごとに、皇女は成長し、いっそう美しさを増した。アースィムも大人になり、やがて、ラフィアに対する己の気持ちが淡い恋情であるのだと気づいた。その頃にはアースィムの身の程知らずな片恋は周知のこととなり、手柄を上げればラフィア皇女が降嫁するだろうと茶化されるようにもなっていた。
そして、あの戦乱の折。アースィムは帝国の忠臣としての責務を全うし、自身の右腕と引き換えに皇太子の命を救った。その結果次期族長の地位を失って、代わりにラフィアを得た。
降嫁の隊列が集落へと到着し、思い焦がれた皇女が輿から砂上に下り立つのを見て、最初に感じたのは、高揚ではなく恐怖であった。
重労働などしたことがないのだろう手足はあまりにも華奢で、強烈な砂漠の日差しを知らぬ肌は象牙のように白い。愛しい人の命は過酷な環境に晒されて、呆気なく砂と水に還ってしまうのではなかろうか。そのようなことになれば後悔してもしきれない。そう思い、アースィムはラフィアに冷酷に接した。だが彼女は屈しなかった。
星が降るような夜、月影の下でラフィアは、砂漠が好きだと、そしてアースィムと心の通った夫婦になりたいのだと、真っ直ぐな眼差しで語ったのだ。
その言葉を耳にした途端、頑なに築き上げてきた無関心の仮面は砕け散り、現れたのは情けないほど一途な思慕であった。
ラフィアはいつも、感情豊かである。小さなことは気にせず、常に笑みを湛え、日常の一つ一つを楽しんだ。彼女の側にいると、仮面の下に押し隠していたアースィムの心も素直さを取り戻し、自由に振る舞えるような心地がした。
ラフィアの笑顔を奪おうとする全てのものを排除したいと思った。どんな時でも無邪気に過ごして欲しいと思った。それなのに。
精霊王の住処にて、空色のスカーフの陰から覗いたラフィアの青玉の瞳が瞼の裏に蘇る。
深い絶望に染まった瞳は涙で潤んでいた。己の感情に素直なラフィアは、苦悩を押し隠そうとしてもアースィムを前にすればきっと綻びが出る。ゆえに全身を布で覆い、表情を悟れぬようにしたのだろう。
精霊王に加担するような言葉を述べたのはきっと、偽りだ。夫を人質に取られたゆえ、そうするしかなかったのだ。
ラフィアの口から直接聞いた訳ではない。しかしアースィムは確信していた。
ラフィアは今も砂漠と砂竜族を愛している。そして、アースィムのことも……。
季節は冬。マルシブ帝国は温暖な気候であるとはいえ、冬季の帝都では、暖炉を灯さずにはいられない。この日はさして冷え込んでいないものの、砂漠で生まれ育ったアースィムにとっては肌寒い。腕を摩りながら、暖かな窓辺に身体を寄せた。
昨年が終わり新たな年の訪れを寿ぐ儀式が終了した直後のこと。十二歳のアースィムは、父に連れられて初めて宮殿を訪れている。
新年は砂竜族にとって、期待と不安の時期でもある。というのも、繁殖しない存在である砂竜の卵を下賜される年に一度の機会、竜卵の儀が執り行われるからだ。この儀式において、天竜の泉から砂竜の卵が掬い出される。通常、各氏族に一つずつの卵が下賜されるが、旧年中の功績が著しい氏族には二つ以上の卵が与えられることもある。
強靭な砂竜を数多く保有することは、他部族に対してだけでなく、砂竜族内でも他氏族に対し優位を得るために有益なこと。ゆえに、各氏族がこぞってマルシブ帝国に忠義を示して功績を上げようとするのである。
しかし今年、白の氏族に与えられた竜卵は一つだけ。元より、人の数よりも少ない砂竜である。当然、全ての者が砂竜を孵し唯一無二の相棒として絆を交わすことができる訳ではない。
では、たった一つしかない今年の竜卵を孵す栄誉を賜る者は誰だろうかと、アースィムは物思いに耽る。四氏族長が出席する御前会議が終わるまで、一人切り控室に残り中庭を眺めていると、静謐な空間がよりいっそう思考を促した。
幼少の頃よりアースィムは、活発な質ではなかった。無論、砂竜族らしく武を貴ぶ心は持ち合わせているし、剣も弓も同年代の者に引けを取ることはない。しかしそれを、いたずらにひけらかすことには魅力を感じず、どちらかといえば、心身を磨くため、静かに思索に耽ったり黙々と修練に励んだりする方が性に合っているのだ。
そして、このようにぼんやりと一人過ごしていたからこそ、運命の出会いは生まれたのである。
その日アースィムは窓辺で温まりながら、中庭で咲く名も知らぬ花々を眺め、低木の間を縫うように飛ぶ鮮やかな色合いの小鳥を目で追っていた。それに導かれるようにして、アースィムは小さな泉の存在に気づく。絢爛な宮殿において、いささか場違いな感のある古びた石積みに囲まれた水場。その側に、一人の少女が佇むのを見た。
彼女の姿を初めて目にした瞬間、世界が一段明るく色づいたような心地がして、アースィムは息を呑む。
乳茶色の長い髪は絹のように細く、日差しを受けて金色に煌めいている。長い睫毛に縁取られた瞳は、蒼天よりも透き通り泉水よりも深い青色で、微笑みが刻まれた口元はまるで、水神の使いのように世界への愛を滲ませていた。
その神々しさに、アースィムは一目で惹き付けられた。そして、彼女の人柄を伝え聞いて、よりいっそう思いを募らせた。
「ああ、ラフィア皇女だよ」
あれは誰か、と問うてみれば、警備の斧槍兵が答えてくれた。
「毎日のようにあの泉に来ては、ぶつぶつと独り言を言っているんだ。水辺がお好きなら、こんな日陰の小さな水溜まりじゃなくて、もっと綺麗なやつが中庭の真ん中にあるのに妙だよな」
「皇女様はなぜここに?」
「それが、誰も知らないんだ。こんな人目が少ない場所に来られて万が一泉に落っこちでもしたら大変だろ。だから皆が窘めるんだけど、全然響かないみたいでさ。何を言ってもあの極上の微笑みで躱されちまうんだよ」
斧槍兵は呆れを通り越して諦念を滲ませていたが、アースィムはむしろ皇女に感心した。誰に何を言われようと受け流し、自分の意思を貫くことができる。それも、アースィムよりも年下と見える、幼く可憐な女の子が。族長の長子として理想的であることに囚われ、常に周囲の顔色を窺い従順に生きるアースィムとは大違いだ。
いったい何が彼女をそのように振る舞わせるのだろう。皇女と言葉を交わしてみたいと思ったが、所詮は皇族と臣下の子供。住む世界が異なるのだからそれは叶わぬ願いだと諦めて、その年、アースィムは帝都を去った。
もう二度とラフィアの姿を目にすることはないと思っていた。しかし予想に反し、翌年もその翌年も、アースィムは控室の窓越しに皇女を目撃した。斧槍兵が述べたことに誇張はなかったらしく、本当にラフィアはこの泉を頻繁に訪れているようだ。
年を追うごとに、皇女は成長し、いっそう美しさを増した。アースィムも大人になり、やがて、ラフィアに対する己の気持ちが淡い恋情であるのだと気づいた。その頃にはアースィムの身の程知らずな片恋は周知のこととなり、手柄を上げればラフィア皇女が降嫁するだろうと茶化されるようにもなっていた。
そして、あの戦乱の折。アースィムは帝国の忠臣としての責務を全うし、自身の右腕と引き換えに皇太子の命を救った。その結果次期族長の地位を失って、代わりにラフィアを得た。
降嫁の隊列が集落へと到着し、思い焦がれた皇女が輿から砂上に下り立つのを見て、最初に感じたのは、高揚ではなく恐怖であった。
重労働などしたことがないのだろう手足はあまりにも華奢で、強烈な砂漠の日差しを知らぬ肌は象牙のように白い。愛しい人の命は過酷な環境に晒されて、呆気なく砂と水に還ってしまうのではなかろうか。そのようなことになれば後悔してもしきれない。そう思い、アースィムはラフィアに冷酷に接した。だが彼女は屈しなかった。
星が降るような夜、月影の下でラフィアは、砂漠が好きだと、そしてアースィムと心の通った夫婦になりたいのだと、真っ直ぐな眼差しで語ったのだ。
その言葉を耳にした途端、頑なに築き上げてきた無関心の仮面は砕け散り、現れたのは情けないほど一途な思慕であった。
ラフィアはいつも、感情豊かである。小さなことは気にせず、常に笑みを湛え、日常の一つ一つを楽しんだ。彼女の側にいると、仮面の下に押し隠していたアースィムの心も素直さを取り戻し、自由に振る舞えるような心地がした。
ラフィアの笑顔を奪おうとする全てのものを排除したいと思った。どんな時でも無邪気に過ごして欲しいと思った。それなのに。
精霊王の住処にて、空色のスカーフの陰から覗いたラフィアの青玉の瞳が瞼の裏に蘇る。
深い絶望に染まった瞳は涙で潤んでいた。己の感情に素直なラフィアは、苦悩を押し隠そうとしてもアースィムを前にすればきっと綻びが出る。ゆえに全身を布で覆い、表情を悟れぬようにしたのだろう。
精霊王に加担するような言葉を述べたのはきっと、偽りだ。夫を人質に取られたゆえ、そうするしかなかったのだ。
ラフィアの口から直接聞いた訳ではない。しかしアースィムは確信していた。
ラフィアは今も砂漠と砂竜族を愛している。そして、アースィムのことも……。
0
あなたにおすすめの小説
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる