10 / 21
落としてしまったお守り
しおりを挟む
「無い、無い、無い!何処に落としちゃったの?」
マリーは、足元を見ながら、同じ場所を行ったり来たりしていた。
「エレインが作ってくれた大切なお守りを、落としちゃった。どうしよう、大事にしていたのに。見つからなかったら、どうしよう」
スカートのポケットに入れて、肌身離さずに持ち歩いていたのだが、穴が開いていて何処かへ落としてしまったのだ。
だんだんと日は暮れていき、瞳から涙が零れて地面を濡らしていく。
それでも諦めきれず、歩いたであろう場所を、隈なく探していたのだ。
「神様、お願いよ!私の大切なお守りを、返してください。贅沢はしません、我儘も言いません。どうかお守りを、私から取り上げないでください!」
「あははっ」
誰にも聞かれていないと思っていたマリーは、建物の陰から一人の大柄な男が出て来たのに驚いていた。
マリーが困っているのに、何故この男は笑っているのかと、思わず睨んでしまったのだが…
男は、拳をマリーに向かって突き出して来た。
「探していたのはこれかな?」
そう言って指を開くと、探していたお守りが、握られていたのだ。
「そう!それよ!私のお守り、とても大切にしていたの、見つけてくれてありがとう。凄く嬉しい」
マリーは男からお守りを受け取ると、しっかりと両手で握り絞めて、安堵の涙を流している。
嬉しい、ありがとうを、何度も頭を下げながら交互に繰り返していた。
すると男は、優しい眼差しで、マリーに話しかけてきたのだ。
「俺の名は、リッキー。護衛騎士をしているんだが、今日は非番だったんだ。君は、マリーだろう?元気そうで、良かった。もう時間も遅いし、寮まで送って行くよ。帝国での暮らしには、慣れたかな?」
「え?」
マリーは、思わずリッキーと名乗る護衛騎士の顔を見上げたが、知り合いではなさそうだと思うのだった。
しかしこの男は、確かに元気そうで良かったと、言ったのである。
まるで、古い知り合いの様に…
誰かと勘違いをしているのか?
それともマリーが忘れてしまっただけで、何処かで会った事があるのかと、古い記憶を辿り寄せてみた。
するとリッキーは、手で口元を隠し、苦笑いをしている。
「ふふっ。思い出さなくてもいいよ」
やはりリッキーは、マリーの事を知っているのだと確信した。
『どうしよう。優しそうな人だけれど、私の秘密を知っていたら困るわ』
マリーは、不安で胸がいっぱいになっていった。
もう毒杯は飲まなくても良いのだと分かってはいるが、盗賊に襲われた時の記憶を忘れた訳ではなかったのだ。
恐怖におののき、顔が青ざめていくのを見たリッキーは、慌てて自分の素性を明かしたのだった。
口をマリーの耳元に近付け、小声で語り掛ける。
「心配しないで。俺は、キャサリン皇弟妃の実家である、侯爵家に雇われている護衛騎士なんだよ」
「そうなの?」
マリーは、安心した様に、リッキーの瞳を覗き込んだ。
「うん。俺は、孤児院で育ったのだけれど、キャサリン妃殿下のお父上である侯爵様が、引き取って下さったんだ。剣術の才能があるからって、直接ご指導をして貰ったりもしている。侯爵家には、返しきれない程の恩を、受けているんだよ」
「そうだったんだ…」
「キャサリン妃殿下は、お元気にされている?」
「多分…私は下働きだから、顔を合わせる機会は殆どないわ。遠くから、庭園を歩いてらっしゃるのを、見かけるくらい」
「そうか、実はね…ここだけの話し、俺の初恋は、キャサリン妃殿下なんだよ」
思わぬリッキーの告白に、マリーは驚きで目を見開いた。
「そうなの?」
「うん。まだ幼過ぎて、全然相手にされなかったんだけれどね。大人になったら、立派な騎士になるから、結婚してくださいってプロポーズもしたんだ。庭園に咲いているタンポポを、直接渡した事がある」
「タンポポ?それって、雑草じゃない」
「そうなんだよ。子供の頃の俺は、雑草だとわからなかったんだ。庭園の花は、摘んではいけないでしょう?店で、花を買うだけのお金も持っていなかったからね」
リッキーは、照れ臭そうに笑っていた。
「キャサリン様は、受け取ってくれたの?」
「勿論。可愛らしいタンポポを、ありがとう。立派な騎士になってねって、言われたんだ。それで俺は、調子に乗って、翌日もタンポポを持って行こうとしたんだけれど…先輩騎士に見つかってしまって、こっぴどく叱られたよ」
「そうでしょうね。雇い主のお嬢様に、雑草を渡す騎士なんて、聞いた事がないわ」
マリーは、楽し気にクスクスと笑っている。
「そうだね。今思えば、とても恥ずかしい事だと分かるけれど、当時の俺は必至だったんだ」
マリーは、アルフレッドを、思い出していた。
大好きな婚約者の笑顔が見たくて、綺麗に咲いている薔薇の花を手折ろうとして、棘が刺さってしまった事があった。
あの時の気持ちを、思い出したのだ。
「好きな人の笑顔を、見たいと思う気持ちは、恥ずかしくなんてないよ」
あの時アルフレッドは、大慌てで医師を呼び、泣くじゃくるマルゲリーターの頭を撫でてくれていたのだ。
幼い日の、一番幸せだったころを思い出し、瞳から大粒の涙が零れてしまう。
突然泣き出してしまった理由がわからなくて、リッキーは慌てだした。
「ごめんね。泣かせるつもりで、話した訳ではないんだよ。恥ずかしくないって、言ってくれて、ありがとう。マリーは、とても優しい女性だね。幼い俺の失恋話なんて、誰が聞いても笑い話にしかならないのに」
リッキーは、ハンカチで、マリーの涙を拭っている。
「そんな、笑えないよ。だって、失恋は、凄く辛いもの」
「そうだね、とても辛いね」
リッキーは、マリーの頭をそっと撫でて、優しく慰めてくれた。
マリーは、その手の温もりに、何処か懐かしさを感じたのである。
マリーは、このリッキーと名乗る護衛騎士と面識がある事を、すっかりと忘れてしまっていた。
リッキーは、キャサリンからの依頼で、ルーカスを護るためにオルターナ公爵邸にいた事があったのだ。
ルーカスに叱られて、部屋を追い出された時に、マリーを担いで自分の部屋につれ戻された事もあった。
マリーが失恋をして悲しんでいた時も、ルーカスが不在の時に、代わりに傍で見守っていたのである。
護衛騎士をしているだけあって、大柄で一見怖そうな感じだが、とても紳士で心の優しい人物なのだ。
騎士の鏡ともいえる、人物である。
静かに、二人で夜道を歩きながら、マリーが住んでいる寮の近くまでやって来た。
「ありがとう。もう一人で帰れるよ」
「そうかい。何か困った事があれば、いつでも訪ねて来てね。俺で力になれる事があったら、何時でも手伝うから」
リッキーは、優しく微笑んで、マリーを見ていた。
「ありがとう、本当にお願いを聞いてくれるの?」
「俺に出来る事ならね」
「それじゃあ、早速だけれど、お守りを拾ってくれたお礼がしたいの」
リッキーは、思いがけない言葉に、目を丸くして考えてしまった。
「礼なんていらないけれど、そうだね。次の休みが一緒の時に、デートをして貰いたいな」
「デート?」
「うん。デート」
「それは、恋人同士がする事でしょう」
「友達デートって、いうのもあるんだよ」
「そうなの?」
「うん」
「わかったわ、友達デートね。何をするの?」
「一緒に食事をしたり、街をぶらぶらと歩いてみたり…そうだ!マリーは、動物は嫌いかな」
「動物って、馬の事?大きいから、ちょっと怖いわ。あまり、近付いた事がないもの」
「いいや、馬ではないよ。うさぎとか、アヒルみたいな、小さい生き物だよ」
「それは、見た事がないわ」
「そうか。今度の休みに、一緒に見に行こう。とても、可愛いよ」
「分かったわ」
マリーは、リッキーとデートの約束をすると、寮へと戻って行った。
マリーは、足元を見ながら、同じ場所を行ったり来たりしていた。
「エレインが作ってくれた大切なお守りを、落としちゃった。どうしよう、大事にしていたのに。見つからなかったら、どうしよう」
スカートのポケットに入れて、肌身離さずに持ち歩いていたのだが、穴が開いていて何処かへ落としてしまったのだ。
だんだんと日は暮れていき、瞳から涙が零れて地面を濡らしていく。
それでも諦めきれず、歩いたであろう場所を、隈なく探していたのだ。
「神様、お願いよ!私の大切なお守りを、返してください。贅沢はしません、我儘も言いません。どうかお守りを、私から取り上げないでください!」
「あははっ」
誰にも聞かれていないと思っていたマリーは、建物の陰から一人の大柄な男が出て来たのに驚いていた。
マリーが困っているのに、何故この男は笑っているのかと、思わず睨んでしまったのだが…
男は、拳をマリーに向かって突き出して来た。
「探していたのはこれかな?」
そう言って指を開くと、探していたお守りが、握られていたのだ。
「そう!それよ!私のお守り、とても大切にしていたの、見つけてくれてありがとう。凄く嬉しい」
マリーは男からお守りを受け取ると、しっかりと両手で握り絞めて、安堵の涙を流している。
嬉しい、ありがとうを、何度も頭を下げながら交互に繰り返していた。
すると男は、優しい眼差しで、マリーに話しかけてきたのだ。
「俺の名は、リッキー。護衛騎士をしているんだが、今日は非番だったんだ。君は、マリーだろう?元気そうで、良かった。もう時間も遅いし、寮まで送って行くよ。帝国での暮らしには、慣れたかな?」
「え?」
マリーは、思わずリッキーと名乗る護衛騎士の顔を見上げたが、知り合いではなさそうだと思うのだった。
しかしこの男は、確かに元気そうで良かったと、言ったのである。
まるで、古い知り合いの様に…
誰かと勘違いをしているのか?
それともマリーが忘れてしまっただけで、何処かで会った事があるのかと、古い記憶を辿り寄せてみた。
するとリッキーは、手で口元を隠し、苦笑いをしている。
「ふふっ。思い出さなくてもいいよ」
やはりリッキーは、マリーの事を知っているのだと確信した。
『どうしよう。優しそうな人だけれど、私の秘密を知っていたら困るわ』
マリーは、不安で胸がいっぱいになっていった。
もう毒杯は飲まなくても良いのだと分かってはいるが、盗賊に襲われた時の記憶を忘れた訳ではなかったのだ。
恐怖におののき、顔が青ざめていくのを見たリッキーは、慌てて自分の素性を明かしたのだった。
口をマリーの耳元に近付け、小声で語り掛ける。
「心配しないで。俺は、キャサリン皇弟妃の実家である、侯爵家に雇われている護衛騎士なんだよ」
「そうなの?」
マリーは、安心した様に、リッキーの瞳を覗き込んだ。
「うん。俺は、孤児院で育ったのだけれど、キャサリン妃殿下のお父上である侯爵様が、引き取って下さったんだ。剣術の才能があるからって、直接ご指導をして貰ったりもしている。侯爵家には、返しきれない程の恩を、受けているんだよ」
「そうだったんだ…」
「キャサリン妃殿下は、お元気にされている?」
「多分…私は下働きだから、顔を合わせる機会は殆どないわ。遠くから、庭園を歩いてらっしゃるのを、見かけるくらい」
「そうか、実はね…ここだけの話し、俺の初恋は、キャサリン妃殿下なんだよ」
思わぬリッキーの告白に、マリーは驚きで目を見開いた。
「そうなの?」
「うん。まだ幼過ぎて、全然相手にされなかったんだけれどね。大人になったら、立派な騎士になるから、結婚してくださいってプロポーズもしたんだ。庭園に咲いているタンポポを、直接渡した事がある」
「タンポポ?それって、雑草じゃない」
「そうなんだよ。子供の頃の俺は、雑草だとわからなかったんだ。庭園の花は、摘んではいけないでしょう?店で、花を買うだけのお金も持っていなかったからね」
リッキーは、照れ臭そうに笑っていた。
「キャサリン様は、受け取ってくれたの?」
「勿論。可愛らしいタンポポを、ありがとう。立派な騎士になってねって、言われたんだ。それで俺は、調子に乗って、翌日もタンポポを持って行こうとしたんだけれど…先輩騎士に見つかってしまって、こっぴどく叱られたよ」
「そうでしょうね。雇い主のお嬢様に、雑草を渡す騎士なんて、聞いた事がないわ」
マリーは、楽し気にクスクスと笑っている。
「そうだね。今思えば、とても恥ずかしい事だと分かるけれど、当時の俺は必至だったんだ」
マリーは、アルフレッドを、思い出していた。
大好きな婚約者の笑顔が見たくて、綺麗に咲いている薔薇の花を手折ろうとして、棘が刺さってしまった事があった。
あの時の気持ちを、思い出したのだ。
「好きな人の笑顔を、見たいと思う気持ちは、恥ずかしくなんてないよ」
あの時アルフレッドは、大慌てで医師を呼び、泣くじゃくるマルゲリーターの頭を撫でてくれていたのだ。
幼い日の、一番幸せだったころを思い出し、瞳から大粒の涙が零れてしまう。
突然泣き出してしまった理由がわからなくて、リッキーは慌てだした。
「ごめんね。泣かせるつもりで、話した訳ではないんだよ。恥ずかしくないって、言ってくれて、ありがとう。マリーは、とても優しい女性だね。幼い俺の失恋話なんて、誰が聞いても笑い話にしかならないのに」
リッキーは、ハンカチで、マリーの涙を拭っている。
「そんな、笑えないよ。だって、失恋は、凄く辛いもの」
「そうだね、とても辛いね」
リッキーは、マリーの頭をそっと撫でて、優しく慰めてくれた。
マリーは、その手の温もりに、何処か懐かしさを感じたのである。
マリーは、このリッキーと名乗る護衛騎士と面識がある事を、すっかりと忘れてしまっていた。
リッキーは、キャサリンからの依頼で、ルーカスを護るためにオルターナ公爵邸にいた事があったのだ。
ルーカスに叱られて、部屋を追い出された時に、マリーを担いで自分の部屋につれ戻された事もあった。
マリーが失恋をして悲しんでいた時も、ルーカスが不在の時に、代わりに傍で見守っていたのである。
護衛騎士をしているだけあって、大柄で一見怖そうな感じだが、とても紳士で心の優しい人物なのだ。
騎士の鏡ともいえる、人物である。
静かに、二人で夜道を歩きながら、マリーが住んでいる寮の近くまでやって来た。
「ありがとう。もう一人で帰れるよ」
「そうかい。何か困った事があれば、いつでも訪ねて来てね。俺で力になれる事があったら、何時でも手伝うから」
リッキーは、優しく微笑んで、マリーを見ていた。
「ありがとう、本当にお願いを聞いてくれるの?」
「俺に出来る事ならね」
「それじゃあ、早速だけれど、お守りを拾ってくれたお礼がしたいの」
リッキーは、思いがけない言葉に、目を丸くして考えてしまった。
「礼なんていらないけれど、そうだね。次の休みが一緒の時に、デートをして貰いたいな」
「デート?」
「うん。デート」
「それは、恋人同士がする事でしょう」
「友達デートって、いうのもあるんだよ」
「そうなの?」
「うん」
「わかったわ、友達デートね。何をするの?」
「一緒に食事をしたり、街をぶらぶらと歩いてみたり…そうだ!マリーは、動物は嫌いかな」
「動物って、馬の事?大きいから、ちょっと怖いわ。あまり、近付いた事がないもの」
「いいや、馬ではないよ。うさぎとか、アヒルみたいな、小さい生き物だよ」
「それは、見た事がないわ」
「そうか。今度の休みに、一緒に見に行こう。とても、可愛いよ」
「分かったわ」
マリーは、リッキーとデートの約束をすると、寮へと戻って行った。
69
あなたにおすすめの小説
【完結】あなたに抱きしめられたくてー。
彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。
そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。
やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。
大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。
同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。
*ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。
もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。
【完結】髪は女の命と言いますが、それよりも大事なものがある〜年下天才魔法使いの愛には応えられません〜
大森 樹
恋愛
髪は女の命。しかし、レベッカの髪は切ったら二度と伸びない。
みんなには秘密だが、レベッカの髪には魔法が宿っている。長い髪を切って、昔助けた男の子レオンが天才魔法使いとなって目の前に現れた。
「あなたを愛しています!絶対に絶対に幸せにするので、俺と結婚してください!よろしくお願いします!!」
婚約破棄されてから、一人で生きていくために真面目に魔法省の事務員として働いていたレベッカ。天才魔法使いとして入団してきた新人レオンに急に告白されるが、それを拒否する。しかし彼は全く諦める気配はない。
「レベッカさん!レベッカさん!」とまとわりつくレオンを迷惑に思いながらも、ストレートに愛を伝えてくる彼に次第に心惹かれていく…….。しかし、レベッカはレオンの気持ちに答えられないある理由があった。
年上訳あり真面目ヒロイン×年下可愛い系一途なヒーローの年の差ラブストーリーです。
殿下、毒殺はお断りいたします
石里 唯
恋愛
公爵令嬢エリザベスは、王太子エドワードから幼いころから熱烈に求婚され続けているが、頑なに断り続けている。
彼女には、前世、心から愛した相手と結ばれ、毒殺された記憶があり、今生の目標は、ただ穏やかな結婚と人生を全うすることなのだ。
容姿端麗、文武両道、加えて王太子という立場で国中の令嬢たちの憧れであるエドワードと結婚するなどとんでもない選択なのだ。
彼女の拒絶を全く意に介しない王太子、彼女を溺愛し生涯手元に置くと公言する兄を振り切って彼女は人生の目標を達成できるのだろうか。
「小説家になろう」サイトで完結済みです。大まかな流れに変更はありません。
「小説家になろう」サイトで番外編を投稿しています。
呪いのせいで太ったら離婚宣告されました!どうしましょう!
ルーシャオ
恋愛
若きグレーゼ侯爵ベレンガリオが半年間の遠征から帰ると、愛するグレーゼ侯爵夫人ジョヴァンナがまるまると太って出迎え、あまりの出来事にベレンガリオは「お前とは離婚する」と言い放ちました。
しかし、ジョヴァンナが太ったのはあくまでベレンガリオへ向けられた『呪い』を代わりに受けた影響であり、決して不摂生ではない……と弁解しようとしますが、ベレンガリオは呪いを信じていません。それもそのはず、おとぎ話に出てくるような魔法や呪いは、とっくの昔に失われてしまっているからです。
仕方なく、ジョヴァンナは痩せようとしますが——。
愛している妻がいつの間にか二倍の体重になる程太ったための離婚の危機、グレーゼ侯爵家はどうなってしまうのか。
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。
派手にしない工房は、今日もちゃんと続いている
ふわふわ
恋愛
名門でも、流行でもない。
選ばなかったからこそ、残った場所がある。
街の片隅で、小さな工房を営む職人シオンと、帳簿と現実を見つめ続けるリリカ。
派手な宣伝も、無理な拡大もせず、ただ「ちゃんと作る」ことを選び続けてきた二人の工房は、いつの間にか人々の日常の一部になっていた。
しかし、再開発と条件変更という現実が、その場所を静かに揺さぶる。
移るか、変えるか、終わらせるか――
迫られる選択の中で、二人が選んだのは「何も変えない」という、最も難しい決断だった。
特別にならなくていい。
成功と呼ばれなくてもいい。
ただ、今日も続いていることに意味がある。
これは、成り上がらない。
ざまぁもしない。
けれど確かに「生き方」を選びきった人たちの物語。
終わらせなかったからこそ辿り着いた、
静かで、確かな完結。
【完結】私の愛する人は、あなただけなのだから
よどら文鳥
恋愛
私ヒマリ=ファールドとレン=ジェイムスは、小さい頃から仲が良かった。
五年前からは恋仲になり、その後両親をなんとか説得して婚約まで発展した。
私たちは相思相愛で理想のカップルと言えるほど良い関係だと思っていた。
だが、レンからいきなり婚約破棄して欲しいと言われてしまう。
「俺には最愛の女性がいる。その人の幸せを第一に考えている」
この言葉を聞いて涙を流しながらその場を去る。
あれほど酷いことを言われってしまったのに、私はそれでもレンのことばかり考えてしまっている。
婚約破棄された当日、ギャレット=メルトラ第二王子殿下から縁談の話が来ていることをお父様から聞く。
両親は恋人ごっこなど終わりにして王子と結婚しろと強く言われてしまう。
だが、それでも私の心の中には……。
※冒頭はざまぁっぽいですが、ざまぁがメインではありません。
※第一話投稿の段階で完結まで全て書き終えていますので、途中で更新が止まることはありませんのでご安心ください。
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる