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戻って来たイブ
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今日はお天気がとても良かったので、昼食を摂った後、食休みをする為に西の庭園へ来ました。
綺麗な黄色いバラが見事に咲き誇るお庭は、圧巻の一言です。
これは目に焼き付けておかなければ損だと、皆考える事は同じとみえて、既に沢山の生徒たちで溢れ返っておりました。
この人ごみの中で座れそうな場所を探していると、覚えのある声に呼び止められたのです。
「リーゼリア。あんた、まだテオ君の周りをうろついていたのね。いい加減にしなさいよ」
振り返ると、停学になった筈のイブさんが、仁王立ちで私を睨み付けておりました。
学園にいらっしゃるという事は、あれから半年も経ったのですね。
なんだか、あっと言う間の様に感じました。
「お久し振りです、イブさん。いい加減とは、何の事でしょうか」
「ちょっと、誤魔化さないでよ。テオ君は、あたしの婚約者だって言っているでしょう!どうして分かってくれないの?この、泥棒猫が!」
またですか…私は言い訳をする気にもなれずに、黙ってイブさんの言葉を聞き流しておりました。
すると、何処にいたのでしょうか、テオドール様が来てくださいました。
「イブ。いい加減にするのは、お前の方だろう。復学早々、問題を起こしたら、今度こそ退学になるぞ」
「テオ君!会いたかったよ~屋敷に行っても、居ないって言われるんだもん。ずっとこの女に監禁されてるんでしょう?可哀想に、あたしが助け出してあげるからね」
「俺は、監禁なんてされていない。伯爵家に婿入りするんだからな、覚える事だって腐る程ある。お前の、鬱陶しい話に付き合ってやる暇なんて、微塵もないんだよ」
「そんな、無理やり押し付けられて、可哀想だよ。あたしが、かわりに断ってあげるから、心配しなくても大丈夫だからね」
この方は、相変わらず人の言葉を聞かないのですね。
我が家は、テオドール様に、無理やり婚姻を求めた訳ではないのですけれど…
そこへ、新たに声をかけてくる方がいたのです。
「リーゼリア、ごきげんよう。騒がしいと思ったら、もめ事かしら?公衆の面前で、見苦しくってよ」
「ペンタール公爵令嬢、ごきげんよう。お騒がせしてしまい、申し訳ありません」
私たちが悪い訳ではないのですけれど、爵位が高い方からのご指摘には逆らえません。
ラノアたちも悔しそうな顔をしておりますが、空気を読まないイブさんは、ペンタール公爵令嬢の存在を気にもしていないご様子です。
「ちょっと、あたしとテオ君にも謝ってよ。あんたの所為で、あたしは停学になっちゃうし、テオ君だって凄い迷惑をかけられ…」
「イブ!お前は、リーゼに絡むのを、今すぐに止めろ!俺は、可哀想でもないし、押し付けられた事は何もない。勝手な真似をするなと、何度も言っただろう。これ以上迷惑をかけるというのなら、商会への出入りも禁止するぞ!」
「どうして、そんなに酷い事を言うの?いつものテオ君じゃないよ。やっぱり、この女に脅されているんだよね」
呆れた空気が漂った時でした、突如ペンタール公爵令嬢が、笑いだしたのです。
「おほほほほほほほ~」
その何処までも優雅な高笑いに、周りにいた生徒たちの視線が集まります。
「フェナジン子爵令息。こちらの可愛らしいお嬢様を、わたくしに紹介して下さらないかしら」
一瞬動きを止めたテオドール様が、イブさんを紹介しておりました。
「俺の、幼馴染のイブです。常識もない図々しいやつなので、迷惑をかけたらすみません」
深く頭を下げて、先に謝罪をしているテオドール様の姿を見た所為か、イブさんもペンタール公爵令嬢が高貴な方だと察した様で緊張しているのが見て取れます。
先程までの勢いは、すっかりと鳴りを潜めてしまい、借りて来た猫の様にしおらしくなりました。
そしてイブさんの何処が気に入ったのか分かりませんが、ペンタール公爵令嬢は、彼女に公爵邸で開かれる茶会へと招待をしていたのです。
私は、以前参加した茶会での出来事を思い出して、背筋が凍り付きました。
まさかイブさんを、男妾に紹介しようと考えているのではないかと、心配になったのです。
しかし、公衆の面前でイブさんに伝える様な事ではありませんし、後でテオドール様に相談してみようと考えたのでした。
綺麗な黄色いバラが見事に咲き誇るお庭は、圧巻の一言です。
これは目に焼き付けておかなければ損だと、皆考える事は同じとみえて、既に沢山の生徒たちで溢れ返っておりました。
この人ごみの中で座れそうな場所を探していると、覚えのある声に呼び止められたのです。
「リーゼリア。あんた、まだテオ君の周りをうろついていたのね。いい加減にしなさいよ」
振り返ると、停学になった筈のイブさんが、仁王立ちで私を睨み付けておりました。
学園にいらっしゃるという事は、あれから半年も経ったのですね。
なんだか、あっと言う間の様に感じました。
「お久し振りです、イブさん。いい加減とは、何の事でしょうか」
「ちょっと、誤魔化さないでよ。テオ君は、あたしの婚約者だって言っているでしょう!どうして分かってくれないの?この、泥棒猫が!」
またですか…私は言い訳をする気にもなれずに、黙ってイブさんの言葉を聞き流しておりました。
すると、何処にいたのでしょうか、テオドール様が来てくださいました。
「イブ。いい加減にするのは、お前の方だろう。復学早々、問題を起こしたら、今度こそ退学になるぞ」
「テオ君!会いたかったよ~屋敷に行っても、居ないって言われるんだもん。ずっとこの女に監禁されてるんでしょう?可哀想に、あたしが助け出してあげるからね」
「俺は、監禁なんてされていない。伯爵家に婿入りするんだからな、覚える事だって腐る程ある。お前の、鬱陶しい話に付き合ってやる暇なんて、微塵もないんだよ」
「そんな、無理やり押し付けられて、可哀想だよ。あたしが、かわりに断ってあげるから、心配しなくても大丈夫だからね」
この方は、相変わらず人の言葉を聞かないのですね。
我が家は、テオドール様に、無理やり婚姻を求めた訳ではないのですけれど…
そこへ、新たに声をかけてくる方がいたのです。
「リーゼリア、ごきげんよう。騒がしいと思ったら、もめ事かしら?公衆の面前で、見苦しくってよ」
「ペンタール公爵令嬢、ごきげんよう。お騒がせしてしまい、申し訳ありません」
私たちが悪い訳ではないのですけれど、爵位が高い方からのご指摘には逆らえません。
ラノアたちも悔しそうな顔をしておりますが、空気を読まないイブさんは、ペンタール公爵令嬢の存在を気にもしていないご様子です。
「ちょっと、あたしとテオ君にも謝ってよ。あんたの所為で、あたしは停学になっちゃうし、テオ君だって凄い迷惑をかけられ…」
「イブ!お前は、リーゼに絡むのを、今すぐに止めろ!俺は、可哀想でもないし、押し付けられた事は何もない。勝手な真似をするなと、何度も言っただろう。これ以上迷惑をかけるというのなら、商会への出入りも禁止するぞ!」
「どうして、そんなに酷い事を言うの?いつものテオ君じゃないよ。やっぱり、この女に脅されているんだよね」
呆れた空気が漂った時でした、突如ペンタール公爵令嬢が、笑いだしたのです。
「おほほほほほほほ~」
その何処までも優雅な高笑いに、周りにいた生徒たちの視線が集まります。
「フェナジン子爵令息。こちらの可愛らしいお嬢様を、わたくしに紹介して下さらないかしら」
一瞬動きを止めたテオドール様が、イブさんを紹介しておりました。
「俺の、幼馴染のイブです。常識もない図々しいやつなので、迷惑をかけたらすみません」
深く頭を下げて、先に謝罪をしているテオドール様の姿を見た所為か、イブさんもペンタール公爵令嬢が高貴な方だと察した様で緊張しているのが見て取れます。
先程までの勢いは、すっかりと鳴りを潜めてしまい、借りて来た猫の様にしおらしくなりました。
そしてイブさんの何処が気に入ったのか分かりませんが、ペンタール公爵令嬢は、彼女に公爵邸で開かれる茶会へと招待をしていたのです。
私は、以前参加した茶会での出来事を思い出して、背筋が凍り付きました。
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