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慣れてきた生徒会
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生徒会役員としての仕事と、毎日出される宿題を両立するのは大変ですが、その分遣り甲斐もありました。
ラノアは、モンテカルロ侯爵令息とすっかり仲良くなっており、毎回役員会が終わるとチェスセットを持って来るのです。
「モンテカルロ様。今日こそは、勝たせていただきますわよ」
「残念ですが、今日も、私が勝たせていただきます」
二人は、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて、チェスボードを挟んで向かい合わせに座りました。
「毎回、よいところまでキプロスを追い込んでいるのだがなぁ~ラノア嬢は、あと一歩が足りないのだよ。貴重なキプロスの敗北を見届けないといけないからなぁ、席を外す事も出来ないではないかぁ。早く勝敗を決めてくれなくては、僕の執務が滞るばかりだぞぉ」
王太子殿下は、困ったなと頭を抱えながらも、一番対戦を見やすい席に移動しておられます。
「私も、簡単に勝てると思っておりましたのよ、王太子殿下。こんなに手強い相手は、初めてですわ。毎日、戦略を考えて挑んでおりますのに、悔しいですわ」
「そう簡単に、戦勝記録を止める訳にはいきませんからね。私も、手強い相手に油断は出来ませんから、毎日戦略を考えているのです」
モンテカルロ様も、放課後のこの時間がとても楽しみの様で、瞳を輝かせて話しておられました。
私も、ラノアを応援してあげたいのですが、早く帰らないとテオドール様がお怒りになるのです。
後ろ髪を惹かれる思いで、勝敗を見届けずに生徒会室を後にするのした。
とても残念ですが、仕方がありませんわ。
「私は、お先に失礼させていただきます。皆様、お疲れさまでした」
「お疲れ様です、ノワール嬢。気を付けてお帰りください」
モンテカルロ様は、爽やかな笑顔で帰りの挨拶をしてくださいます。
「リーゼリア嬢。束縛の激しい婚約者を持つと、大変だなぁ。たまには息抜きをしないと、精神が泣いてしまうぞぉ~」
「はい。確かに、そうですね。息抜きの方法を、考えてみますわ。殿下、お気遣い、ありがとうございます」
「グラナダ。お前は、息を抜き過ぎだろう。しわ寄せがきている臣下に、少しは申し訳ないと思わないのか?俺が、王宮へ送り届けてやってもよいのだぞ」
ハーデンベルギア様が、半分本気の表情で、王太子殿下を諫めております。
「あははっ。僕の事は、気にしないでぇ。ジルテックは、さっさと帰っていいよぉ~また明日ねぇ~」
王太子殿下が笑顔で手を振っておられるのを見て、ハーデンベルギア様は、やれやれと苦笑いを浮かべております。
私は、ラノアの方を向いて、別れの挨拶をしました。
「ラノア、また明日。チェス、頑張ってね」
「ありがとう、リーゼ。明日こそは、吉報を届けられる様に頑張るわね」
「ええ。楽しみにしているわ」
私が生徒会室を後にすると、ハーデンベルギア様が、必ず声を掛けてきます。
「ノワール伯爵令嬢、馬車止まりまで、一緒に行こう」
「はい。ありがとうございます」
ハーデンベルギア様は、いつも役員会が終わると、私を馬車止まりまでエスコートしてくださるのです。
自己紹介の時は少し怖い印象を持っていたのですが、二人きりになると、とてもお優しい方でした。
廊下を歩きながら貴重な留学時の経験や、他国のお話をしてくださり、話題も豊富なのです。
「留学先は、とても魅力的な国なのですね。私も、行ってみたいですわ」
「他国で学んだ事は、とても良い経験になったな。君が留学へ行くのならば、俺も同行させてくれ。案内したい場所が、沢山ある」
「まあ。それは、とても魅力的ですわ。留学の予定はありませんが、慣れている方が一緒に来てくださるのでしたら、心強いですわね」
ハーデンベルギア様は、瞳の色がテオドール様と似ている所為か、とても馴染みやすかったのです。
まだ出会って間もないのですが、冗談を言い合える程、私たちは打ち解けていたのでした。
学年が上という事もあり、よく勉強も見てもらっているのです。
生徒会の役員会がある日以外で会話をする事は殆どありませんでしたが、私が男子生徒と楽しそうにしているのは、テオドール様にとって面白くないご様子でした。
この日も、伯爵邸で私の帰りを待ち構えていたテオドール様から、お叱りの言葉をいただいてしまったのです。
「リーゼ!俺以外の男と同じ部屋で何をしているのかは知らないが、帰宅してからも笑みが漏れる程、楽しくて仕方がない様だな。生徒会は、男と親密度を上げる場所なのか?」
私は、テオドール様から指摘されるまでは、自分の頬が緩んでいた事にすら気付いておりませんでした。
ただ、見知らぬ国での生活が羨ましく、留学出来たならばと考えていただけなのです。
決してやましい事など考えてはいないのですが、どんなに説明をしても、テオドール様の機嫌は悪くなるばかりでした。
「何が留学だ!俺から離れる事が、そんなに楽しいのか!学園を卒業したら、お前は女伯爵としての執務を、本格的に学ぶのだろう。俺と結婚したら、伯爵になるのだろう!そんな浮ついた気持ちなど持っていても、良い事はない。今直ぐに捨ててしまえ!!!」
「私は、留学したいと言っているのでは…」
「黙れ!お前は、俺と結婚する事だけを考えていろ!余計な事はするな!!!」
テオドール様のお怒りは凄まじく、取りつく島もありませんでした。
私が生徒会に入った事が、余程気に入らなかったのだと思います。
王太子殿下の仰る通り、束縛の激しいテオドール様との今後を考えると、少し憂鬱になったのでした。
ラノアは、モンテカルロ侯爵令息とすっかり仲良くなっており、毎回役員会が終わるとチェスセットを持って来るのです。
「モンテカルロ様。今日こそは、勝たせていただきますわよ」
「残念ですが、今日も、私が勝たせていただきます」
二人は、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて、チェスボードを挟んで向かい合わせに座りました。
「毎回、よいところまでキプロスを追い込んでいるのだがなぁ~ラノア嬢は、あと一歩が足りないのだよ。貴重なキプロスの敗北を見届けないといけないからなぁ、席を外す事も出来ないではないかぁ。早く勝敗を決めてくれなくては、僕の執務が滞るばかりだぞぉ」
王太子殿下は、困ったなと頭を抱えながらも、一番対戦を見やすい席に移動しておられます。
「私も、簡単に勝てると思っておりましたのよ、王太子殿下。こんなに手強い相手は、初めてですわ。毎日、戦略を考えて挑んでおりますのに、悔しいですわ」
「そう簡単に、戦勝記録を止める訳にはいきませんからね。私も、手強い相手に油断は出来ませんから、毎日戦略を考えているのです」
モンテカルロ様も、放課後のこの時間がとても楽しみの様で、瞳を輝かせて話しておられました。
私も、ラノアを応援してあげたいのですが、早く帰らないとテオドール様がお怒りになるのです。
後ろ髪を惹かれる思いで、勝敗を見届けずに生徒会室を後にするのした。
とても残念ですが、仕方がありませんわ。
「私は、お先に失礼させていただきます。皆様、お疲れさまでした」
「お疲れ様です、ノワール嬢。気を付けてお帰りください」
モンテカルロ様は、爽やかな笑顔で帰りの挨拶をしてくださいます。
「リーゼリア嬢。束縛の激しい婚約者を持つと、大変だなぁ。たまには息抜きをしないと、精神が泣いてしまうぞぉ~」
「はい。確かに、そうですね。息抜きの方法を、考えてみますわ。殿下、お気遣い、ありがとうございます」
「グラナダ。お前は、息を抜き過ぎだろう。しわ寄せがきている臣下に、少しは申し訳ないと思わないのか?俺が、王宮へ送り届けてやってもよいのだぞ」
ハーデンベルギア様が、半分本気の表情で、王太子殿下を諫めております。
「あははっ。僕の事は、気にしないでぇ。ジルテックは、さっさと帰っていいよぉ~また明日ねぇ~」
王太子殿下が笑顔で手を振っておられるのを見て、ハーデンベルギア様は、やれやれと苦笑いを浮かべております。
私は、ラノアの方を向いて、別れの挨拶をしました。
「ラノア、また明日。チェス、頑張ってね」
「ありがとう、リーゼ。明日こそは、吉報を届けられる様に頑張るわね」
「ええ。楽しみにしているわ」
私が生徒会室を後にすると、ハーデンベルギア様が、必ず声を掛けてきます。
「ノワール伯爵令嬢、馬車止まりまで、一緒に行こう」
「はい。ありがとうございます」
ハーデンベルギア様は、いつも役員会が終わると、私を馬車止まりまでエスコートしてくださるのです。
自己紹介の時は少し怖い印象を持っていたのですが、二人きりになると、とてもお優しい方でした。
廊下を歩きながら貴重な留学時の経験や、他国のお話をしてくださり、話題も豊富なのです。
「留学先は、とても魅力的な国なのですね。私も、行ってみたいですわ」
「他国で学んだ事は、とても良い経験になったな。君が留学へ行くのならば、俺も同行させてくれ。案内したい場所が、沢山ある」
「まあ。それは、とても魅力的ですわ。留学の予定はありませんが、慣れている方が一緒に来てくださるのでしたら、心強いですわね」
ハーデンベルギア様は、瞳の色がテオドール様と似ている所為か、とても馴染みやすかったのです。
まだ出会って間もないのですが、冗談を言い合える程、私たちは打ち解けていたのでした。
学年が上という事もあり、よく勉強も見てもらっているのです。
生徒会の役員会がある日以外で会話をする事は殆どありませんでしたが、私が男子生徒と楽しそうにしているのは、テオドール様にとって面白くないご様子でした。
この日も、伯爵邸で私の帰りを待ち構えていたテオドール様から、お叱りの言葉をいただいてしまったのです。
「リーゼ!俺以外の男と同じ部屋で何をしているのかは知らないが、帰宅してからも笑みが漏れる程、楽しくて仕方がない様だな。生徒会は、男と親密度を上げる場所なのか?」
私は、テオドール様から指摘されるまでは、自分の頬が緩んでいた事にすら気付いておりませんでした。
ただ、見知らぬ国での生活が羨ましく、留学出来たならばと考えていただけなのです。
決してやましい事など考えてはいないのですが、どんなに説明をしても、テオドール様の機嫌は悪くなるばかりでした。
「何が留学だ!俺から離れる事が、そんなに楽しいのか!学園を卒業したら、お前は女伯爵としての執務を、本格的に学ぶのだろう。俺と結婚したら、伯爵になるのだろう!そんな浮ついた気持ちなど持っていても、良い事はない。今直ぐに捨ててしまえ!!!」
「私は、留学したいと言っているのでは…」
「黙れ!お前は、俺と結婚する事だけを考えていろ!余計な事はするな!!!」
テオドール様のお怒りは凄まじく、取りつく島もありませんでした。
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