好きになったり、嫌いになったり

鈴蘭

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ラノアの挑戦状

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 お茶を飲みながらのんびりと待っていると、当番を終えたラノアが生徒会室にやって来ました。

 開け放たれた扉の前に立つと、優雅な笑みを浮かべて、自己紹介をしたのです。
 「お待たせして申し訳ありませんでした。ラノア・シェフレラでございます。どうぞ宜しくお願いいたします」

 「当番、お疲れ様でした。生徒会役員が揃いましたので、お茶を淹れ直しましょうか。今日は初日ですので、自己紹介をしながら、お互いの顔合わせを致しましょう」
 モンテカルロ侯爵令息は、立ち上がって給湯室へと向かいました。
 私とラノアも、お手伝いの為に付いて来ています。
 やはり棚の中に並んでいる茶葉の種類に驚きを隠せない様子で、ラノアは目を瞬かせておりました。

 「シェフレラ嬢も、お好きな茶葉を選んでください。私は、茶菓子を用意しておりますね」
 「ありがとうございます。茶葉の種類が豊富ですのね、どなたかの趣味なのでしょうか」
 「学園長が、茶葉を集めるのがお好きな様で、新しい物が入ると声を掛けてくださるのです」
 「まあ。それは知りませんでしたわ」
 私も、初耳でしたわ。

 お茶菓子とお茶の用意をして生徒会室に戻って来ると、王太子殿下と令息はお話が終わった様で、本を閉じて雑談をしておりました。
 「ごきげんよう。初めましてだねぇ、ラノア嬢。生徒会へ、ようこそぉ~早速だけれど、皆で自己紹介を、しよ~う。先ずは、僕からだねぇ。今年度から生徒会長になった、グラナダ・アムステルダムだぁ。知っての通り、我が国の王太子でもあるが、気さくに接して欲しいぞぉ。趣味は、人間観察だぁ。以上!」

 なんと大雑把な自己紹介なのでしょうか。
 何を話そうかと、悩んで損をした気分になりましたわ。
 「俺は、副会長を押し付けられた、ジルテック・ハーデンベルギアだ。去年まで隣国へ留学していた。この学園の事は何も分からないので、俺を頼らないで欲しい。以上」
 この方が、ハーデリンベルギア公爵家の嫡男でしたのね…押し付けられたと、堂々と仰るところが凄いですわ。
 
 「私は、会計を任されたキプロス・モンテカルロです。殿下の側近と、雑務係を兼務しておりますので、何か問題がありましたら直ぐに知らせてくださいね。趣味は乗馬に、バイオリンに、ピアノも少々。戦術を考えるのも好きで、チェスと…」
 「そこまでだぁ!キプロス。お前の趣味を聞いていたら、お日様が沈んで、また昇ってしまうだろう。勘弁してくれぇ」
 「そうでしたね、殿下。失礼いたしました。それでは、追々知っていただく事にいたしましょうか。次は、書記のお二人でしたね。どちらからでも構いませんよ」

 私とラノアが見つめ合っていると、痺れを切らした殿下からご指名がありました。
 「リーゼリア嬢からでいいよぉ~」
 「はい。私は、リーゼリア・ノワールと申します。生徒会の役員に選んでいただき、とても光栄に…」
 「そこまでぇ~!リーゼリア嬢は、堅苦しい挨拶をしたので、終了だねぇ。ペナルティ、ひとつだよ~ん!次は、ラノア嬢。いってみよぉ~」
 「ペナルティ…」
 私は、唖然と立ち尽くしてしまいました。

 「すみません、ノワール嬢。殿下は、堅苦しい事が嫌いだと、言い忘れてしまった私の責任ですね。ペナルティは、何もありませんので、安心して下さい。ラノア嬢も、生徒会では堅苦しい挨拶はしなくても大丈夫ですから、気楽にお願いします」
 私は、安心して、椅子に座り直しました。
 ラノアの表情も、和らいだ気がします。

 「了解です。私は、シェフレラ伯爵家のラノアと申します。趣味はチェスなので、モンテカルロ侯爵令息に、挑戦状を送りますわ!」
 ラノアはチェスがとても強いので、いつも対戦相手を探しておりました。
 モンテカルロ侯爵令息へ、挑戦状を送った事に興味を示された王太子殿下が、目を輝かせております。

 「おお~それは、面白そうだぞぉ!おい、キプロス。不敗記録を破る強者が現れたぞ、楽しみだなぁ」
 「何を仰いますか、殿下。私は、負ける気など一切ありませんよ。シェフレラ嬢、その挑戦状、しかと受け取りました。早速ですが、チェスを持って来ますので、一戦交えましょうか」
 「望むところですわ」
 
 『え?今ですか???』
 生徒会室にチェスが置いてある事もですが、自己紹介で終わってしまった役員会にも、私は驚いていたのでした。
 『生徒会って、もっと堅苦しいイメージがあったのだけれど、違うのかもしれまんせわね…』
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