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やっと会えた(ジルテック・ハーデンベルギア視点)
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やっと会えたと思ったのに、リーゼリアは、俺の事を覚えてはいなかった。
幼い頃に行った花祭りの日、俺は、リーゼリアに恋をした。
俺がまだ幼かった頃、母親が、父親と離縁をして屋敷から出て行ってしまった事がある。
一緒に花祭りを見に行くと約束をしていたのに、黙って俺の前から姿を消す筈がない。
父様から、何か酷い事を言われたのだと、勝手に勘違いをしたのだった。
訳も分からず俺は怒り狂って父親を責めたのだが、父様は悲し気な顔をするだけで、母様が出て行った理由は何も教えてくれなかった。
教えなかったのではなく、何も言えなかったが、正解なのだろう。
何故なら、母様は不貞を犯し妊娠した為、父様から離縁されたのだから。
俺がその事実を知ったのは、つい最近だった。
托卵は、大罪だ。
その場で処刑されても文句を言えないだけの事をしたのだから、父親に怒りをぶつけるのは筋違いだったのかもしれないが、幼い俺にはそんな大人の事情など分からなかった。
ただ悲しみが癒えぬまま、もしかすると母様に会えるかもしれないと期待をして、一人で花祭りに行ったのだが母親が来る筈もなかった。
帰ろうかと思い踵を返した時、一人の少女に視線を奪われた。
楽しそうに子供たちの輪の中で踊っている少女から、俺は視線を外す事が出来なくなっていた。
気が付くと、少女と同じ輪の中に入っており、自然と身体を動かしていた。
見知らぬ子供と手を繋ぎ、一緒に踊っていても、視線は少女から離れることはない。
一人、二人と、踊る相手が次々と変わっていく。
少しずつ少女との距離が縮まっていき、俺は期待で胸の鼓動が早くなった。
誰と踊ったのか、何と声をかけられたのかすら覚えていない。
少女と踊るまでは、曲が終わってくれるなと、心の中で叫んでいたのだ。
そして、やっと少女と一緒に踊る事が出来た時には、偶然最後の曲となっていた。
俺は運命を感じて、何故か泣きそうになるのを必死に堪えることに精一杯で、思う様に話しかける事が出来なかった。
俺の踊っている姿を、母様に見て貰いたかった。
気になっている少女を、母様に紹介したかった。
だが、俺の大好きだった母様は、何処か知らないところへ行ってしまったのだ。
せっかく気になる少女と踊っているのに、俺は喜びと悲しみで、ぎこちない笑顔を作っていたのだろう。
少女は、そんな俺の心を見透かしたのか、楽しめる様に心から気遣ってくれたのが分かった。
明るく笑い掛けながら、俺の心から悲しみを取り除こうと必死に語り掛けてくれた姿は、今でも鮮明に覚えている。
触れ合っていたのはとても短い時間だったが、俺は大人になったら、少女を妻にしたいと真剣に考えていた。
踊りが終わった後、別れるのが寂しくなり、気付けば少女にプロポーズをしていた。
誰にも渡したくはないと、強引に誓いのキスもした。
俺にとって初めてのキスだったが、心から彼女と結婚したいと思う気持ちに、嘘偽りはなかったのだ。
何処の誰かもわからない少女。
だが俺は、大人になったら必ず出会い、再会を喜び合えると信じて疑ってもいなかった。
誓いのキスをしたのだから、もう俺の妻になる事が決まったのだと、何故か安堵の気持ちで満たされていたのである。
今思えば、とてつもなく恥ずかしく、愚かな考えだったというのが分かる。
名前も素性も分からぬ少女と再会出来る確率がどれほどあるのか、公爵家の力を使わずとも神様が再会させてくれると信じて疑いもしていなかった幼少期の己を悔いた。
俺が年頃になると、父様は少女を探す気など初めからなかったのだろう、見知らぬ相手からの縁談が多数くるようになっていた。
一応釣書には目を通したが、残念ながら少女からの申し込みは、なかったのだ。
俺は、公爵家の嫡男だ。
いずれは妻を娶り、跡継ぎをもうけなくてはならない。
その為には、家格に見合った相手を選ばなければいけないという事も、大人になった今なら充分に理解出来る。
しかし、俺はどうしても初恋の少女を忘れる事が出来ず、顔合わせに来た令嬢たちに冷たい態度をとってしまう。
自分でそう仕向けたのだから当然の事だが、縁談はことごとく失敗に終わってしまったのだ。
そんな俺の態度を深刻に考えた父様は、醜聞が広まる前に隣国の親戚に預ける事にしたらしい。
学園へ通える歳になると、直ぐに留学させられたのだ。
この国を離れてしまったら、少女に出会えなくなると不満は大いにあったが、公爵家の当主である父親に逆らえる訳がない。
俺は、親友で幼馴染でもある王太子のグラナダに、少女の特徴を伝えて一緒に探して欲しいと頼んでから隣国へと旅立った。
その後はグラナダからの手紙を心待ちにしていたが、何処の誰かも分からない少女を探すのは非常に困難で、いたずらに時間だけが過ぎていく。
それでも俺は諦めきれず、少女の行方を探し続けた。
そして待ちわびていたグラナダからの手紙が届き、少女らしき人物が見つかったとの報告を受けた時は、目の前が美しい花々で彩られた様な感覚に陥ったのだ。
彼女の名はリーゼリア。
ノワール伯爵家の令嬢であり、家柄的には俺の妻にしても問題はない。
ならば何故、釣書が届かなかったのか?
その疑問は、手紙を読み進めていくうちに、直ぐに理解出来た。
『リーゼリアには、婚約予定の令息がいる』
この一文が頭の中から離れなくなってしまい、とても受け入れ難いもので、己の運命を呪った。
リーゼリアが、長い間探し続けていた少女であるかを確かめる為に、帰国する気力すら失くしてしまったのだ。
確かめたところで、彼女が本当に探し求めていた少女であったのならば、この思いを封印しなくてはならない。
俺は、残酷な現実を受け止める事が出来ずに、ただ打ちひしがれる事しか出来なかったのだ。
こんなにも心が弱いとは思わず、乾いた笑みが漏れる。
それからどれ程の月日が流れただろうか?
グラナダからの手紙で、リーゼリアが、テオドールから酷い扱いを受けている事を知らされて唖然とした。
結婚相手だと思っていたテオドールとは、学園に入った後も正式な婚約を結ばずにいる。
それだけではなく、彼は女子生徒と派手な付き合いをしており、リーゼリアとの仲は良好とはいえない様子だと書かれていた。
手紙を読んだ直後は、怒りで頭の中が真っ白になってしまった。
きちんと婚約もせず、リーゼリアを蔑ろにするなど、あってはならない事だ。
だが冷静になって考えると、俺にとっては、またとない朗報だと思えた。
このチャンスを、逃す手はない。
俺は、留学を切り上げ国へ戻る事を決めた。
グラナダは、俺が探している少女とは別人かもしれないと手紙に記していたが、俺はリーゼリアこそが運命の相手だと確信していたのだった。
だから迷わず帰国を決め、今度こそリーゼリアに正式な婚約を申し込むと決めたのだ。
父様は反対するだろうが、俺は爵位なんかどうでもよい。
リーゼリアと幸せになれるのなら、平民になっても構わないとさえ思っていた。
ただ、伯爵家が没落するのは、リーゼリアは望まないだろう。
伯爵家が抱える負債を返し、尚且つリーゼリアを養うだけの財力を持たなくては、俺はプロポーズさえ出来ないのだ。
悔しい事だが、将来公爵家を継ぐ為の知識しか身に着けてこなかった俺には、手持ちの小遣いを増やす方法が分からない。
リーゼリアと婚約予定であるテオドールは、自分の商会を持っていて利益も上げていると聞く。
女癖は悪くても、自分で生きていけるだけの収入を得ている事だけは、尊敬に値するのだろう。
それに比べて俺は、思いを寄せる女性が負債で苦しんでいると知っていても、助けてあげる事すら出来ない未熟者だ。
生徒会の役員になり、リーゼリアと話す機会は持てたが、先輩と後輩という立場から抜け出す事が出来ない。
この先、どうしたら良いのか?
親に縋り付く事しか出来ない、己の不甲斐なさに反吐が出る。
幼い頃に行った花祭りの日、俺は、リーゼリアに恋をした。
俺がまだ幼かった頃、母親が、父親と離縁をして屋敷から出て行ってしまった事がある。
一緒に花祭りを見に行くと約束をしていたのに、黙って俺の前から姿を消す筈がない。
父様から、何か酷い事を言われたのだと、勝手に勘違いをしたのだった。
訳も分からず俺は怒り狂って父親を責めたのだが、父様は悲し気な顔をするだけで、母様が出て行った理由は何も教えてくれなかった。
教えなかったのではなく、何も言えなかったが、正解なのだろう。
何故なら、母様は不貞を犯し妊娠した為、父様から離縁されたのだから。
俺がその事実を知ったのは、つい最近だった。
托卵は、大罪だ。
その場で処刑されても文句を言えないだけの事をしたのだから、父親に怒りをぶつけるのは筋違いだったのかもしれないが、幼い俺にはそんな大人の事情など分からなかった。
ただ悲しみが癒えぬまま、もしかすると母様に会えるかもしれないと期待をして、一人で花祭りに行ったのだが母親が来る筈もなかった。
帰ろうかと思い踵を返した時、一人の少女に視線を奪われた。
楽しそうに子供たちの輪の中で踊っている少女から、俺は視線を外す事が出来なくなっていた。
気が付くと、少女と同じ輪の中に入っており、自然と身体を動かしていた。
見知らぬ子供と手を繋ぎ、一緒に踊っていても、視線は少女から離れることはない。
一人、二人と、踊る相手が次々と変わっていく。
少しずつ少女との距離が縮まっていき、俺は期待で胸の鼓動が早くなった。
誰と踊ったのか、何と声をかけられたのかすら覚えていない。
少女と踊るまでは、曲が終わってくれるなと、心の中で叫んでいたのだ。
そして、やっと少女と一緒に踊る事が出来た時には、偶然最後の曲となっていた。
俺は運命を感じて、何故か泣きそうになるのを必死に堪えることに精一杯で、思う様に話しかける事が出来なかった。
俺の踊っている姿を、母様に見て貰いたかった。
気になっている少女を、母様に紹介したかった。
だが、俺の大好きだった母様は、何処か知らないところへ行ってしまったのだ。
せっかく気になる少女と踊っているのに、俺は喜びと悲しみで、ぎこちない笑顔を作っていたのだろう。
少女は、そんな俺の心を見透かしたのか、楽しめる様に心から気遣ってくれたのが分かった。
明るく笑い掛けながら、俺の心から悲しみを取り除こうと必死に語り掛けてくれた姿は、今でも鮮明に覚えている。
触れ合っていたのはとても短い時間だったが、俺は大人になったら、少女を妻にしたいと真剣に考えていた。
踊りが終わった後、別れるのが寂しくなり、気付けば少女にプロポーズをしていた。
誰にも渡したくはないと、強引に誓いのキスもした。
俺にとって初めてのキスだったが、心から彼女と結婚したいと思う気持ちに、嘘偽りはなかったのだ。
何処の誰かもわからない少女。
だが俺は、大人になったら必ず出会い、再会を喜び合えると信じて疑ってもいなかった。
誓いのキスをしたのだから、もう俺の妻になる事が決まったのだと、何故か安堵の気持ちで満たされていたのである。
今思えば、とてつもなく恥ずかしく、愚かな考えだったというのが分かる。
名前も素性も分からぬ少女と再会出来る確率がどれほどあるのか、公爵家の力を使わずとも神様が再会させてくれると信じて疑いもしていなかった幼少期の己を悔いた。
俺が年頃になると、父様は少女を探す気など初めからなかったのだろう、見知らぬ相手からの縁談が多数くるようになっていた。
一応釣書には目を通したが、残念ながら少女からの申し込みは、なかったのだ。
俺は、公爵家の嫡男だ。
いずれは妻を娶り、跡継ぎをもうけなくてはならない。
その為には、家格に見合った相手を選ばなければいけないという事も、大人になった今なら充分に理解出来る。
しかし、俺はどうしても初恋の少女を忘れる事が出来ず、顔合わせに来た令嬢たちに冷たい態度をとってしまう。
自分でそう仕向けたのだから当然の事だが、縁談はことごとく失敗に終わってしまったのだ。
そんな俺の態度を深刻に考えた父様は、醜聞が広まる前に隣国の親戚に預ける事にしたらしい。
学園へ通える歳になると、直ぐに留学させられたのだ。
この国を離れてしまったら、少女に出会えなくなると不満は大いにあったが、公爵家の当主である父親に逆らえる訳がない。
俺は、親友で幼馴染でもある王太子のグラナダに、少女の特徴を伝えて一緒に探して欲しいと頼んでから隣国へと旅立った。
その後はグラナダからの手紙を心待ちにしていたが、何処の誰かも分からない少女を探すのは非常に困難で、いたずらに時間だけが過ぎていく。
それでも俺は諦めきれず、少女の行方を探し続けた。
そして待ちわびていたグラナダからの手紙が届き、少女らしき人物が見つかったとの報告を受けた時は、目の前が美しい花々で彩られた様な感覚に陥ったのだ。
彼女の名はリーゼリア。
ノワール伯爵家の令嬢であり、家柄的には俺の妻にしても問題はない。
ならば何故、釣書が届かなかったのか?
その疑問は、手紙を読み進めていくうちに、直ぐに理解出来た。
『リーゼリアには、婚約予定の令息がいる』
この一文が頭の中から離れなくなってしまい、とても受け入れ難いもので、己の運命を呪った。
リーゼリアが、長い間探し続けていた少女であるかを確かめる為に、帰国する気力すら失くしてしまったのだ。
確かめたところで、彼女が本当に探し求めていた少女であったのならば、この思いを封印しなくてはならない。
俺は、残酷な現実を受け止める事が出来ずに、ただ打ちひしがれる事しか出来なかったのだ。
こんなにも心が弱いとは思わず、乾いた笑みが漏れる。
それからどれ程の月日が流れただろうか?
グラナダからの手紙で、リーゼリアが、テオドールから酷い扱いを受けている事を知らされて唖然とした。
結婚相手だと思っていたテオドールとは、学園に入った後も正式な婚約を結ばずにいる。
それだけではなく、彼は女子生徒と派手な付き合いをしており、リーゼリアとの仲は良好とはいえない様子だと書かれていた。
手紙を読んだ直後は、怒りで頭の中が真っ白になってしまった。
きちんと婚約もせず、リーゼリアを蔑ろにするなど、あってはならない事だ。
だが冷静になって考えると、俺にとっては、またとない朗報だと思えた。
このチャンスを、逃す手はない。
俺は、留学を切り上げ国へ戻る事を決めた。
グラナダは、俺が探している少女とは別人かもしれないと手紙に記していたが、俺はリーゼリアこそが運命の相手だと確信していたのだった。
だから迷わず帰国を決め、今度こそリーゼリアに正式な婚約を申し込むと決めたのだ。
父様は反対するだろうが、俺は爵位なんかどうでもよい。
リーゼリアと幸せになれるのなら、平民になっても構わないとさえ思っていた。
ただ、伯爵家が没落するのは、リーゼリアは望まないだろう。
伯爵家が抱える負債を返し、尚且つリーゼリアを養うだけの財力を持たなくては、俺はプロポーズさえ出来ないのだ。
悔しい事だが、将来公爵家を継ぐ為の知識しか身に着けてこなかった俺には、手持ちの小遣いを増やす方法が分からない。
リーゼリアと婚約予定であるテオドールは、自分の商会を持っていて利益も上げていると聞く。
女癖は悪くても、自分で生きていけるだけの収入を得ている事だけは、尊敬に値するのだろう。
それに比べて俺は、思いを寄せる女性が負債で苦しんでいると知っていても、助けてあげる事すら出来ない未熟者だ。
生徒会の役員になり、リーゼリアと話す機会は持てたが、先輩と後輩という立場から抜け出す事が出来ない。
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