【完結】騙された私も愚かでした

鈴蘭

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結婚式の後で

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 あれから毎日、正妻は私なのだからと自分に言い訳をして、堪えてきました。
 しかし不安は募るばかりで、一週間が瞬く間に過ぎてしまい、結婚式の当日を迎えてしまいました。
 式場に入ると真っ白いタキシードを着たハロルド様が、優しい笑顔でバージンロードを歩く私を待ってくれておりました。
 とても手紙を送って来た人と、同一人物とは思えません。
 お父様の手から、ハロルド様が差しだした手に、私の手を添えます。
 「キャロライン、とても綺麗だよ。私は君の気持ちを尊重するから、安心するといい。これから二人で、幸せな家庭を築いていこう」
 「はい…ハロルド様も素敵ですわ」
 私の気持ちを尊重すると言いながら、酷い仕打ちを平気でなさるのですね。
 ハロルド様の二面性に呆れながらも、心の中を見透かされない様に、淑女の笑みを絶やさずに結婚式は滞りなく行われました。
 共にいる時のハロルド様は、相変わらず私を大切に扱って下さるので、メリーの事は何かの間違いなのではないのかと錯覚してしまいそうになりました。
 参列者からも沢山の祝福を頂き、結婚式の後は侯爵邸で盛大に披露宴が行われました。
 私が正式なハロルド様の妻として侯爵邸に迎えられ、披露宴も無事に終わると、侯爵夫妻は私にお言葉を下さいました。
 「キャロライン、とても素敵な花嫁でしたわ。これからもハロルドの事を支えて、侯爵邸をしっかりと守って頂戴ね」
 「はい、お義母様。不束者ですが、末永く宜しくお願い致します」
 「キャロライン。其方の聡明さは、よく知っている。ハロルドに嫁いで来てくれてありがとう。不肖の息子だが、宜しく頼む」
 「勿体ないお言葉です、お義父様。精一杯務めさせて頂きます」
 義両親は早朝に屋敷を出るそうなので、ハロルド様と二人でご挨拶を致しました。
 「明日は早くに屋敷を出るから、見送りは不要だ。お前たちも疲れただろう。私たちの事は気にせずに、ゆっくり休みなさい」
 「ありがとうございます、父上。お気を付けて、お帰りください」
 「キャロライン。貴方は準備があるでしょう、ここで良いわ。先に着替えて休んで頂戴」
 「はい、お義母様。ありがとうございます。明日はどうか気を付けてお帰りください」
 今夜はハロルド様との初夜ですから、義両親は気を遣って下さったのでしょう、私はお言葉に甘えさせて頂いたのです。
 これから新婚生活が始まるのだと思って、疑いもしていなかった私は愚かでした。
 まさか屋敷の使用人たちが、私の事を主として認めずに監禁するなんて、どうして想像出来たでしょうか。
 私が連れて来られた部屋は、使用人にあてがわれる小さな個室だったのです。
 そこで着ていたドレスも、身に着けていた装身具も全て、メリーに奪われました。
 「どうして。メリー、貴方自分が何をしているのか、理解しているの?」
 「当たり前でしょう。最初からあんたは、ハロルドに愛されてなんかいなかったのよ」
 「こんな事をして、無事でいられる訳が無いわ。考え直して頂戴、今なら未だ間に合う…キャッ」
 メリーから平手打ちをされて、私は床に崩れ落ちてしまったのです。
 「五月蠅いわね。ハロルドから、あんたの事は好きにしていいって言われているの。今日から私があんたの主人なのよ、痛い思いをしたくなかったら、逆らわないようにしなさい」
 本当に目の前のメリーは、我が家にいたメリーと同一人物なのでしょうか?
 言葉使いも、仕草もまるで別人の様に恐ろしく感じました。
 「旦那様から、言伝を預かっております。『今日は休んでも良いが、明日からは下女として働く様に』との事です。日の出前に起しに来ますので、身支度をしておくように。わかりましたね、キャロライン」

 メイド長からも、見下されてしまったのです。
 本当に、ハロルド様が私を下女にすると言ったのでしょうか?
 私は現実を受け止める事が出来ませんでした。
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