【完結】騙された私も愚かでした

鈴蘭

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何が起きているのか分かりません

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 唖然とする私を残して、淑女にあるまじき高笑いをしながら、メリーはメイド長を伴い去って行きました。
 扉には外側から鍵を掛けられてしまい、小さな部屋の小窓には、鉄格子がはめ込まれていて抜け出す事は出来ない様です。
 クローゼットには輿入れ用にとお父様が用意して下さったドレスではなく、お仕着せが二着だけで、下着も誰が着たのか分からないお古が入っておりました。
 小さな寝台と古びた机はありますが、レターセットも万年筆もありません。
 持って来た物は全て没収され、この状況をお父様に伝える術を、私は失ってしまったのだと悟りました。
 「今日は休んでいいと言われたけれど、もう寝る時間なのよ。本来ならば、ハロルド様との初夜なのに、どうしてなの?侯爵夫妻は、この事を黙認していたから、早々に領地へ戻ると言っていたの?まさか愛妾を、正妻と同じ屋敷に囲う為に、私を利用したと言うの…」
 暫く頭が混乱していて、現実を受け止める事も出来ずにいたのです。
 こんな時に、何時も優しく微笑みかけて下さるハロルド様の顔が、思い出されます。
 大切なパートナーとして接して下さっていたのも、全てが演技だったと言うのでしょうか。
 公爵夫妻の先程の態度を見ても、人を騙そうとしていたとは、とても思えないのです。
 それとも、私が未熟過ぎて、本性を見抜け無かったのでしょうか。
 どんなに一生懸命考えても、答えを見つける事等出来なかったのです。
 寝る事も忘れて呆然としていると、足音が近付いて来ました。
 ノックもせずに鍵が開けられると、メイド長が姿を見せたのです。
 「あら。流石にこの様な部屋では、一睡も出来ませんでしたか?泣いて喚いても無駄ですよ。ここにキャロラインの味方はおりません。さっさとお仕着せに着替えなさい。時間が勿体ないでしょう」
 私は、一夜を明かしてしまった様です。
 昨夜同様、呼び捨てで扱き下ろすメイド長は、何を考えているのでしょうか。
 こんな事に付き合わされる義理は、無いと思いましたので、実家に帰らせて頂きたいと思いました。
 「貴方。自分の立場を理解しているの?私は正式な手続きをして、この屋敷に嫁いで来たのよ。こんな仕打ちを受けるのなら、今直ぐ実家に帰ります。馬車を用意して頂戴」
 パシーンと大きな音がして、私は床に転がりました。
 何が起きたのか分からなかったのですが、昨日メリーに打たれた頬ではなく、腕がジワジワと痛みだしたのです。
 驚いてメイド長を見上げると、彼女は鞭を持って私を睨みつけていました。
 「まだ分からないのですか?貴方は、お飾りの妻になったのですよ。ハロルド様は、昨夜メリー様と初夜をお過ごしになられました。お二人の、真実の愛を邪魔するなんて、この私が許しませ………」
 メイド長が何かを言っていたけれど、私は腕の痛みに耐えきれず、途中で意識を失ってしまったようです。
 そして気が付くと寝台に寝かされ、腕と頬には手当がされた痕跡はあったのですが、高熱を出している様で直ぐに気を失ってしまいました。
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