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番外編 伯爵領
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「本当ですか!二人だけで領地の視察だなんて、新婚旅行みたいですわ。夢では無いのですよね?」
「新婚旅行ですか…領地の視察が目的ではありますが、確かに二人だけでの旅行は初めてですね」
「嬉しい!」
私は人目もはばからず、ハロルド様に抱き着いてしまいました。
ハロルド様は恥ずかしさのあまり、お顔を真っ赤にして固まってしまいました。
いけませんわ。
ハロルド様は純粋な方ですから、慣れていないのだと侍女たちに教わったと言うのに、ついついはしたない事をしてしまいました。
結婚してから、未だに初夜を迎えられないのは私の責任でもありますし、旅行では必ず子供を作らなければと思います。
こうなったら、お母様からご指導を受けなくてはなりませんわね。
子作りの復習をしっかりとして、後は私がハロルド様をリードしてさしあげなくてはなりません。
待っているだけでは、駄目なのです。
ハロルド様に似た、可愛い子供が欲しいのですもの。
両家の両親にも、早く孫の顔を見せてあげたいですしね。
準備を進めて、私たちは新婚旅行…ではなく、領地の視察に行きました。
伯爵家の領地では、主に小麦を作っております。
収穫の時期になると、辺り一面金色の布を敷き詰めた様な壮大な景色がみられるのです。
残念ながら今は収穫の時期ではありませんが、種付けされたばかりの苗が、山並みと相まって美しい緑色の景色を作っておりました。
「ハロルド様、見てください。もう直ぐ領地に着きますわ、田舎の景色がとても美しく心が癒されます」
「キャロライン、窓から身を乗り出すのは危険です。こちらに来てください、景色はここからでも充分に楽しめますよ」
ハロルド様は私を抱き寄せて、ご自身の膝の上に座らせて下さいました。
「空が近くなりましたわ。高い位置から見下ろす景色も、違った色合いに見えますのね」
「そうだね。私は別の意味でも、違った景色を楽しんでいますよ」
「あら、どのような景色なのですか?私も見たいので、教えてくださいませ」
「キャロラインを、見上げる事が出来ます」
「ハロルド様。それは景色とは言いませんのよ」
「何よりも美しい、絵画のようです。絵師を呼んで、描いて貰いたい気分なのですが、いけませんか?」
ハロルド様は、時々意味の分からない事を仰います。
私を見上げた姿を絵画にしたところで、何が楽しいのかさっぱり分かりません。
暫く進むと、伯爵家の領主邸が見えて来ました。
領地を一望出来る、小高い山の上にあるのです。
麓の街並みは、人で賑わっておりました。
収穫時の豊作を願って、種付けのこの時期に、お祭りが行われるのです。
「聞いていた通り、随分と賑わっていますね。領民も、楽しそうです。侯爵領では作物を作っておりませんでしたから、とても新鮮な景色ですね」
「侯爵領では、蚕の飼育を行っておりますよね。王国にとって無くてはならない産業ですし、初めて見た時は感動致しましたわ」
「まさか蚕の糸巻きをするとは、思いませんでしたよ。ご令嬢は、気味悪がって触りたがらない方もおりますから」
「虫を怖がっていては、種まきなんて出来ませんのよ」
「私の妻は、とても勇敢で頼りがいがありますね」
そう言ってハロルド様は、髪をひと房取って口付けたので、私はおでこにお返しの口付けを致しました。
耳まで真っ赤になったハロルド様が、とても愛おしく感じます。
人通りが多くなった所で一度馬車から降りて、街並みを散策する事に致しました。
綺麗なお花で飾られた建物が、多く見られます。
「キャロライン。あそこの店に入りませんか?ショウウィンドウに飾られている髪飾りが気になるのです」
「私も気になっていたのです。是非見てみたいですわ」
ハロルド様は、私の好みを良くご存じです。
初めて頂いたブローチは、年齢的に付ける事が出来なくなりましたが、今でも大切にしているのです。
「ハロルド様。この間仕立てたドレスに、合うと思いませんか?次回のお茶会で着けて行きたいのですが、どちらのお色が好みでしょう」
頭に髪飾りを乗せて、どちらの色がドレスに映えるのか、ハロルド様に見て貰いました。
「悩んでいるのでしたら、両方買って行きましょう。自領にお金を落とすのも、領主の勤めです」
そうですわね。
お小遣いも沢山持って来ましたし、せっかくですから思いきり楽しみましょう。
「でしたら、ハロルド様とお揃いになる物も欲しいです」
その後もいろいろなお店を見て周り、馬車に積み切らない程の買い物をしてしまったので、伯爵邸に送って貰う事になりました。
領主邸に着く頃には日が傾きかけており、夕餉の良い香りがしています。
二人きりで採る食事は、少し照れ臭くも感じました。
ですが、恥ずかしがっている場合ではないのです。
今夜こそ、頑張らないといけないのですもの。
沢山食べて、体力を付けなくてはなりません。
一人黙々と食事を口に運ぶ私の姿を、愛おしそうにハロルド様が見つめていた事に、気が付いておりませんでした。
お腹がいっぱいになった私は、旅の疲れもあって、あっと言う間に深い眠りに落ちて行ったのは言うまでもありません。
「新婚旅行ですか…領地の視察が目的ではありますが、確かに二人だけでの旅行は初めてですね」
「嬉しい!」
私は人目もはばからず、ハロルド様に抱き着いてしまいました。
ハロルド様は恥ずかしさのあまり、お顔を真っ赤にして固まってしまいました。
いけませんわ。
ハロルド様は純粋な方ですから、慣れていないのだと侍女たちに教わったと言うのに、ついついはしたない事をしてしまいました。
結婚してから、未だに初夜を迎えられないのは私の責任でもありますし、旅行では必ず子供を作らなければと思います。
こうなったら、お母様からご指導を受けなくてはなりませんわね。
子作りの復習をしっかりとして、後は私がハロルド様をリードしてさしあげなくてはなりません。
待っているだけでは、駄目なのです。
ハロルド様に似た、可愛い子供が欲しいのですもの。
両家の両親にも、早く孫の顔を見せてあげたいですしね。
準備を進めて、私たちは新婚旅行…ではなく、領地の視察に行きました。
伯爵家の領地では、主に小麦を作っております。
収穫の時期になると、辺り一面金色の布を敷き詰めた様な壮大な景色がみられるのです。
残念ながら今は収穫の時期ではありませんが、種付けされたばかりの苗が、山並みと相まって美しい緑色の景色を作っておりました。
「ハロルド様、見てください。もう直ぐ領地に着きますわ、田舎の景色がとても美しく心が癒されます」
「キャロライン、窓から身を乗り出すのは危険です。こちらに来てください、景色はここからでも充分に楽しめますよ」
ハロルド様は私を抱き寄せて、ご自身の膝の上に座らせて下さいました。
「空が近くなりましたわ。高い位置から見下ろす景色も、違った色合いに見えますのね」
「そうだね。私は別の意味でも、違った景色を楽しんでいますよ」
「あら、どのような景色なのですか?私も見たいので、教えてくださいませ」
「キャロラインを、見上げる事が出来ます」
「ハロルド様。それは景色とは言いませんのよ」
「何よりも美しい、絵画のようです。絵師を呼んで、描いて貰いたい気分なのですが、いけませんか?」
ハロルド様は、時々意味の分からない事を仰います。
私を見上げた姿を絵画にしたところで、何が楽しいのかさっぱり分かりません。
暫く進むと、伯爵家の領主邸が見えて来ました。
領地を一望出来る、小高い山の上にあるのです。
麓の街並みは、人で賑わっておりました。
収穫時の豊作を願って、種付けのこの時期に、お祭りが行われるのです。
「聞いていた通り、随分と賑わっていますね。領民も、楽しそうです。侯爵領では作物を作っておりませんでしたから、とても新鮮な景色ですね」
「侯爵領では、蚕の飼育を行っておりますよね。王国にとって無くてはならない産業ですし、初めて見た時は感動致しましたわ」
「まさか蚕の糸巻きをするとは、思いませんでしたよ。ご令嬢は、気味悪がって触りたがらない方もおりますから」
「虫を怖がっていては、種まきなんて出来ませんのよ」
「私の妻は、とても勇敢で頼りがいがありますね」
そう言ってハロルド様は、髪をひと房取って口付けたので、私はおでこにお返しの口付けを致しました。
耳まで真っ赤になったハロルド様が、とても愛おしく感じます。
人通りが多くなった所で一度馬車から降りて、街並みを散策する事に致しました。
綺麗なお花で飾られた建物が、多く見られます。
「キャロライン。あそこの店に入りませんか?ショウウィンドウに飾られている髪飾りが気になるのです」
「私も気になっていたのです。是非見てみたいですわ」
ハロルド様は、私の好みを良くご存じです。
初めて頂いたブローチは、年齢的に付ける事が出来なくなりましたが、今でも大切にしているのです。
「ハロルド様。この間仕立てたドレスに、合うと思いませんか?次回のお茶会で着けて行きたいのですが、どちらのお色が好みでしょう」
頭に髪飾りを乗せて、どちらの色がドレスに映えるのか、ハロルド様に見て貰いました。
「悩んでいるのでしたら、両方買って行きましょう。自領にお金を落とすのも、領主の勤めです」
そうですわね。
お小遣いも沢山持って来ましたし、せっかくですから思いきり楽しみましょう。
「でしたら、ハロルド様とお揃いになる物も欲しいです」
その後もいろいろなお店を見て周り、馬車に積み切らない程の買い物をしてしまったので、伯爵邸に送って貰う事になりました。
領主邸に着く頃には日が傾きかけており、夕餉の良い香りがしています。
二人きりで採る食事は、少し照れ臭くも感じました。
ですが、恥ずかしがっている場合ではないのです。
今夜こそ、頑張らないといけないのですもの。
沢山食べて、体力を付けなくてはなりません。
一人黙々と食事を口に運ぶ私の姿を、愛おしそうにハロルド様が見つめていた事に、気が付いておりませんでした。
お腹がいっぱいになった私は、旅の疲れもあって、あっと言う間に深い眠りに落ちて行ったのは言うまでもありません。
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