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59.商談二日目前夜(5)
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「とにかく。ハッキリしてんのは、副本部長は弱みを潰してくれる味方に泣きついたってことさ。その味方が、どうして関西最大手の釣具屋さんだったのかは分からないけど」
「むむー。謎がいっぱいなお仕事だね」
「まぁまぁ、いいんじゃない? 大阪でデートができる、いい機会が回ってきたって考えれば」
「旅行デート?」
その問いに頷くや、ミオは顔をほころばせ、女の子座りのまま抱きついてきた。ルームウェアの下にはシャツを着ていないようで、襟元の隙間からは、薄い胸板がチラリと見える。
男の子だから、胸のふくらみが無いのは当然だとしても、このアングルから見下ろせてしまうだけでドキドキする。
俺に対して全くの無警戒だからこそ、こういった幸運が巡ってくるわけだが、同時に里親という立場でもあるからこそ、今は理性を保たなければならないのだ。
ミオって、いつから俺のお嫁さんになれるんだろ? 近年の法改正で、女性の婚姻可能な年齢が、十六歳から十八歳まで引き上げられたのは知っている。
でも、それは異性同士の婚姻に限った話なわけで、同性婚・あるいはパートナーシップ証明制度(※「パートナーシップ宣誓制度」など、自治体により名称が異なる)の場合だと、婚姻に年齢制限を定めてあるのかどうかが分からない。
「なぁ、ミオ」
「んん? なぁにー?」
「法律とか、難しい話は置いといてさ。ミオは何歳でお嫁さんになりたいんだい?」
「今すぐ!」
これ以上ない即答に面食らってしまった。
たぶんそう言うだろうとは思ってたけどさぁ、今っつったってな。ミオはまだ十歳だぞ。
もし、パートナーシップの成立可能な年齢が異成婚に準ずるのであれば、少なくとも、ミオはあと八年待たなきゃダメってことになる。
「あのさ。念の為に聞くけど、おムコさんじゃなくて、お嫁さんになりたいんだよな?」
「そうだよ。ボクは男の子だけど、お兄ちゃんのお嫁さんになるのー」
ブレないねぇ。この矛盾した返事を額面通りに解釈すると、ものすごく頭が混乱しそうなんだが、あらためて情報を整理すれば大丈夫。
ミオはショタっ娘という、限りなく女性に近い美貌と体つきを備えた男の子であり、性自認も男だ。身近にいる俺に言わせれば、ミオと女性との違いは、「ついているか否か」でしかない。
とはいえ、繰り返しになるが、ミオは男の子ながらも、俺のお嫁さんになる事を強く希望している。言わば「ショタ嫁」ってわけだ。
つまり、俺という男との結婚が成立して、嫁か妻になったミオは、立場上、女性として見なされるのか?
……ダメだ! 情報を整理したらしたで、新たに分からんところが山ほど出てきた。とにかく、あくまで嫁として娶って欲しいのだから、この子が女性に恋愛感情を抱くことは絶対にない。
ハッキリしているのはその一点だけだ。
「嬉しいけど、ほんとに俺でいいのかい?」
「うん。お兄ちゃんじゃなきゃ嫌なんだもん」
「じゃあ、ミオはおムコさんにはならないんだ?」
「ならないよー。お兄ちゃんがお嫁さんになったら変でしょ?」
「え? あ、まぁ……確かに似合わないね」
そういう意味で尋ねたわけじゃないんだけど、ミオの返事を聞いて、俺のウェディングドレス姿を想像したら、イヤーな汗が流れてきた。
かような現実を踏まえるなら、お嫁さんにふさわしいのは、女性的なショタっ娘ちゃんの方だよな。ミオといいレニィ君といい、ボーイッシュなユニィ君といい。
「むむー。謎がいっぱいなお仕事だね」
「まぁまぁ、いいんじゃない? 大阪でデートができる、いい機会が回ってきたって考えれば」
「旅行デート?」
その問いに頷くや、ミオは顔をほころばせ、女の子座りのまま抱きついてきた。ルームウェアの下にはシャツを着ていないようで、襟元の隙間からは、薄い胸板がチラリと見える。
男の子だから、胸のふくらみが無いのは当然だとしても、このアングルから見下ろせてしまうだけでドキドキする。
俺に対して全くの無警戒だからこそ、こういった幸運が巡ってくるわけだが、同時に里親という立場でもあるからこそ、今は理性を保たなければならないのだ。
ミオって、いつから俺のお嫁さんになれるんだろ? 近年の法改正で、女性の婚姻可能な年齢が、十六歳から十八歳まで引き上げられたのは知っている。
でも、それは異性同士の婚姻に限った話なわけで、同性婚・あるいはパートナーシップ証明制度(※「パートナーシップ宣誓制度」など、自治体により名称が異なる)の場合だと、婚姻に年齢制限を定めてあるのかどうかが分からない。
「なぁ、ミオ」
「んん? なぁにー?」
「法律とか、難しい話は置いといてさ。ミオは何歳でお嫁さんになりたいんだい?」
「今すぐ!」
これ以上ない即答に面食らってしまった。
たぶんそう言うだろうとは思ってたけどさぁ、今っつったってな。ミオはまだ十歳だぞ。
もし、パートナーシップの成立可能な年齢が異成婚に準ずるのであれば、少なくとも、ミオはあと八年待たなきゃダメってことになる。
「あのさ。念の為に聞くけど、おムコさんじゃなくて、お嫁さんになりたいんだよな?」
「そうだよ。ボクは男の子だけど、お兄ちゃんのお嫁さんになるのー」
ブレないねぇ。この矛盾した返事を額面通りに解釈すると、ものすごく頭が混乱しそうなんだが、あらためて情報を整理すれば大丈夫。
ミオはショタっ娘という、限りなく女性に近い美貌と体つきを備えた男の子であり、性自認も男だ。身近にいる俺に言わせれば、ミオと女性との違いは、「ついているか否か」でしかない。
とはいえ、繰り返しになるが、ミオは男の子ながらも、俺のお嫁さんになる事を強く希望している。言わば「ショタ嫁」ってわけだ。
つまり、俺という男との結婚が成立して、嫁か妻になったミオは、立場上、女性として見なされるのか?
……ダメだ! 情報を整理したらしたで、新たに分からんところが山ほど出てきた。とにかく、あくまで嫁として娶って欲しいのだから、この子が女性に恋愛感情を抱くことは絶対にない。
ハッキリしているのはその一点だけだ。
「嬉しいけど、ほんとに俺でいいのかい?」
「うん。お兄ちゃんじゃなきゃ嫌なんだもん」
「じゃあ、ミオはおムコさんにはならないんだ?」
「ならないよー。お兄ちゃんがお嫁さんになったら変でしょ?」
「え? あ、まぁ……確かに似合わないね」
そういう意味で尋ねたわけじゃないんだけど、ミオの返事を聞いて、俺のウェディングドレス姿を想像したら、イヤーな汗が流れてきた。
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