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10.王子様の主張
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「このリリアンヌと俺は婚姻の儀を執り行うっ!!」
講堂の中の温度が一気に下がったようだった。
(わわっ、公爵様っ!! こっちへ来るのはちょっと待ってっ!!)
あたしは予定していた台詞を吐いた。
「え、いやですけど」
場の空気が違う意味で凍ったようだった。
その隙に、とあたしは一気に話し出した。
「あのー。急にそんなこと言われても困るんですけど。あたし、美味しいご飯が食べられてきれいなドレスが着られる、って聞いたからお供しただけです。あたしと殿下が結婚? まさかあたしがゆくゆくは王妃様、とかそんなことないですよね?」
「いや、だが君も……」
「そりゃあ好きですよ。アルフォート様はこの国の第一王子ですから、この国の国民だったら皆、そう答えると思いますけど?」
「だがこの間、この女――いや、カタリナに苛められたと」
(今、『女狐』って言いかけたな)
あたしは勢いよく頭を下げた。
「ごめんなさい。あれ、あたしの勘違いでした」
「……は?」
「無くしたと思っていた教材、見つかりましたし、悪い噂も聞き違いだったみたいで」
「カタリナが走り去るのを見たのでは……」
「見間違いだったみたいです」
てへ、と笑ってみせると場に静寂が降りた。
一応、これが皆で考えたあまり周囲に影響が出ないだろう作戦なのだけど。
本当はあたしがもっと悪い娘になる予定だったのだげど、カタリナ嬢が反対してこの案に落ち着いた。
「まあ考えてみればあの完璧なカタリナ様がそんなことするわけないですよね」
そう言ってアルフォート殿下の方を見ると肩を震わせていた。
「昔からずっとそうだった。どのような授業もあの女狐だけが褒められて……」
(え、何これ)
何か凄い行き違いっぽくなってない?
「カタリナ様は――」
「お前まであいつの味方をするのかっ!?」
こちらをニラみつけたアルフォート殿下が手にしていたグラスを投げつけてきた。
(うわ、)
ガラスはこの世界ではとても高価なもの。
特に薄手のものは貴族であってもめったに目にすることはない。
そのためここで使用されているのは、ぶ厚くて透明度も低いものなんだけれど、それって投げたら立派な凶器になるよね。
とっさに顔の前に両手をクロスさせて目を瞑る。
(ある意味自業自得だけど、痛いのはやだなぁ)
鈍い音がした。
(きたっ!!)
だけど予想していた衝撃はなく。
(――?)
あたしは誰かに庇われていたらしい。
目を開けると、見覚えのあるハチミツ色の髪に水色のドレス。
(……カタリナ嬢)
「……リンツ皇子」
だけどその庇っていたハズのカタリナ嬢も呆然として、目の前の広い背中を見つめているようだった。
「女性の顔に傷をつけるつもりですか」
静かな、だけどあきらかに怒気を含んだ台詞がアルフォート殿下へ向けられる。
講堂の中の温度が一気に下がったようだった。
(わわっ、公爵様っ!! こっちへ来るのはちょっと待ってっ!!)
あたしは予定していた台詞を吐いた。
「え、いやですけど」
場の空気が違う意味で凍ったようだった。
その隙に、とあたしは一気に話し出した。
「あのー。急にそんなこと言われても困るんですけど。あたし、美味しいご飯が食べられてきれいなドレスが着られる、って聞いたからお供しただけです。あたしと殿下が結婚? まさかあたしがゆくゆくは王妃様、とかそんなことないですよね?」
「いや、だが君も……」
「そりゃあ好きですよ。アルフォート様はこの国の第一王子ですから、この国の国民だったら皆、そう答えると思いますけど?」
「だがこの間、この女――いや、カタリナに苛められたと」
(今、『女狐』って言いかけたな)
あたしは勢いよく頭を下げた。
「ごめんなさい。あれ、あたしの勘違いでした」
「……は?」
「無くしたと思っていた教材、見つかりましたし、悪い噂も聞き違いだったみたいで」
「カタリナが走り去るのを見たのでは……」
「見間違いだったみたいです」
てへ、と笑ってみせると場に静寂が降りた。
一応、これが皆で考えたあまり周囲に影響が出ないだろう作戦なのだけど。
本当はあたしがもっと悪い娘になる予定だったのだげど、カタリナ嬢が反対してこの案に落ち着いた。
「まあ考えてみればあの完璧なカタリナ様がそんなことするわけないですよね」
そう言ってアルフォート殿下の方を見ると肩を震わせていた。
「昔からずっとそうだった。どのような授業もあの女狐だけが褒められて……」
(え、何これ)
何か凄い行き違いっぽくなってない?
「カタリナ様は――」
「お前まであいつの味方をするのかっ!?」
こちらをニラみつけたアルフォート殿下が手にしていたグラスを投げつけてきた。
(うわ、)
ガラスはこの世界ではとても高価なもの。
特に薄手のものは貴族であってもめったに目にすることはない。
そのためここで使用されているのは、ぶ厚くて透明度も低いものなんだけれど、それって投げたら立派な凶器になるよね。
とっさに顔の前に両手をクロスさせて目を瞑る。
(ある意味自業自得だけど、痛いのはやだなぁ)
鈍い音がした。
(きたっ!!)
だけど予想していた衝撃はなく。
(――?)
あたしは誰かに庇われていたらしい。
目を開けると、見覚えのあるハチミツ色の髪に水色のドレス。
(……カタリナ嬢)
「……リンツ皇子」
だけどその庇っていたハズのカタリナ嬢も呆然として、目の前の広い背中を見つめているようだった。
「女性の顔に傷をつけるつもりですか」
静かな、だけどあきらかに怒気を含んだ台詞がアルフォート殿下へ向けられる。
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