悪役令嬢の味方をしたら追放されました

神崎 ルナ

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17.はい、あたしがヒロインです

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「確かに私はリリアンヌですが、男爵家との養子縁組は解消されたので、今は違います」


そう答えるとラインさんは難しい顔になった。


「どういうこと? ああ、あれに書いてあった。だけど……」


何やらぶつぶつ言っているようだったが、それよりも気になることがあった。


「思案中のところ申し訳ありませんが、どうして私がリリアンヌだと分かったのでしょう?」


フリント王国ではともかく、ここは魔の森。


今の時代、情報網もそれほど発達しているとは思えない。


(これはもしかしてお仲間っ!?)


もしや同じ転生者か、と期待したのも束の間、


「知らないの? 君凄い有名人だよ。フリント王国から周辺の国に、事の顛末を記した書状が出回ってるし」


「はぁっ!?」


聞くと、王様はあたしを追放するだけでは気が収まらなかったらしい。


例の書状(もちろんあたしが悪役)はあちこちの街へも出回ってるという。


「ときどき買い出しに行くからある程度の情報は手に入るから……大丈夫かな?」



(神様、自分何か悪いこと……やっぱり自殺はあかんかったか)






(どないすんねん)


詰んだ、と地面に手をついていると、


「うわ。ほんとにо……いや、大丈夫かい?」


(んん? 今何か凄く気になる単語(しかもネットスラング)聞こえてきたような気がしたけど)


「だいじょばないです。何とかトレニア国に着いたとしても詰んでるじゃないですか」


「あー。うん、そこは否定できないね」


更にずん、と落ち込んだあたしに、


「とりあえずウチに来るかい? 夜露を凌ぐくらいならできるし」


「大丈夫なんですか?」


だって今のあたしは悪役令嬢ならぬ悪役ヒロイン。

一体どんな内容だったかは知らないけれど、あたしみたいなのを泊めていいんだろうか。


そう言うとラインさんは困ったような表情になった。

「君、それ自分で言うの?」


「だって仕方がないじゃないですか。それにあたしの悪行は知れ渡ってる、って言ったのラインさんですよ」


「それはそうなんだけど。何というか」


何か違うとかかんとか言ってるみたいだが、


「こちらとしては非常に有難いんですが、本当にいいんですか?」


「まあね。ここで野垂れ死にされても困るしね。一晩くらいなら」


「ありがとうございます!! 助かりますっ!! あ、宿賃替わりに何でもするんで言って下さいねっ!!」


(よかった。流石にここで野宿はキツいわ)


「君ねぇ……」


ラインさんが落ち込んでいるように見えるのは気のせいかな?


「若い女の子が何でもする、何て男に言っちゃだめだろう」


「え、」


思いがけないだめ出しが入った。


「でもラインさんは違うでしょ?」

「はぁ!?」


「だってあたしが悪女、ってのは知れ渡ってるみたいだし。わざわざワナにかかるなんて阿保みたいなこと、ラインさんはしないでしょ? あ、さっきの発言はもちろん、炊事やお洗濯します、って意味ですよ」


それにあたしの**年の人生経験がラインさんは大丈夫だと太鼓判を押しているのだ。


(んー、紳士ぶってる間に本命取られちゃうパターンの人かなあ)


とんでもないイケメンなのになあ、と愛想笑いをしていると、


「はぁ。とにかく男は皆オオカミなんだから、迂闊にそんな発言はしないように」


「はい、お父さん」


「俺はこんなメンドクサイ娘を持ったつもりはないよ」


「ひどい」



「あ、涙目になるんじゃないっ!! 目を潤ませるなっ!! こっとが悪いみたいだろうっ!!」





その後、あたし達はラインさんの家へ向かって歩き出したが、ラインさんがとても疲れてみえたのは気のせいだと思う。たぶん。




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