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18.お世話になります
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ライン(ラインでいいと言われた)がこの森に棲んでいるというのは本当らしく、先ほどよりずっと歩きやすい。
(というか、木々が避けてるっ!?)
前を歩くラインのローブに少しも枝がかかる気配はなく、それどころか彼が手を伸ばして枝をどかそうとするより先に、枝の方が避けたように見えた。
「あのー」
つい確認するとラインは軽く肩を竦めてみせた。
「ああ。ここで暮らし始めたころ、いろいろあってね。お互い不干渉を貫く、ってことで合意したんだ」
(魔の森と停戦協定って――)
思わず引いた目をしていると、
「君も人のこと言えないじゃない? あのオークを火魔法なしで対処しようなんて普通は思わないよ」
「言わないで下さい」
「はい、これ」
「え?」
差し出された小瓶とラインの顔を代わる代わる見比べてると、
「回復薬。まだ歩くからね」
「それって高価なものなんじゃ――」
断りかけると、
「そんなフラフラになっていてよく言うね。歩いてるのもやっとなんだろう?」
(う、バレてた)
МP切れは本当にヤバくて、なかにはその場で倒れてしまう人もいるみたい。
「お幾らですか?」
「今回はいいよ。ここで倒れられても迷惑だからね」
ひどい言われようだけど、何故か嫌味に聞こえない。
「ありがとうございます」
礼を言って飲み干すと、それにはハーブが混ざっているようだった。
(何かすっきりする)
身体の倦怠感が消えていく。
「じゃあ行こうか」
「はい」
(身体が軽っ!! え、急にペース上がったっ!!)
だけど回復薬のお陰でしっかりついて行くことができた。
そこはまさに山小屋と表現するのがしっくりくる建物だった。
二階建てだけど、大人数で暮らすようには見えない。
「さてと」
くるりと振り向かれて、
「はい?」
頭に疑問符を浮かべていると、
「そこの井戸で悪いけど、その煤落としておいで。早くしないと夕食のシチューが遅くなるけど」
言われてあたしは自分の恰好に気付いた。
例の蔦が絡みついていたお陰でベストやチュニックはすっかり草臥れ、おまけに煤がこびりついてしまっている。
(うぇ、これってどう洗っても無理なパターン)
現状を把握して固まってしまっているあたしをよそに、ラインはさっさと山小屋の扉を開けた。
とたん、シチューのいい匂いが広がり、お腹が鳴ってしまった。
「はは。さっさと井戸へお行き」
「……はい」
ぼろけてしまった布袋を抱えて井戸へ向かったけれど、脳裏にふと疑問が浮かんだ。
(今のってブイヨン? まさか)
ブイヨンはこちらの世界には存在しない。
まだ『リリアンヌ』が王子達を手玉に取っていたころ、王宮で食事を取ることがあったようだけど、ブイヨンはなかったハズ。
「どうしたの?」
「あ、いえ。あんまり美味しそうだったので」
「お世辞が上手いね。でも食べてから言ってね」
「この匂いだけでも充分伝わりますよ」
謙遜するラインに反射的にそう返し、あたし達は食前の祈りを捧げた。
そして――。
「「いただきます」」
まずはひと口。
とたんにやさしい風味が口の中に広がる。
(とろっとろに煮込んだ野菜と肉が調和して……何これ)
強いていうなら『沁みる』だろうか。
そして心のどこかでほっとする感覚。
(どうしよ。止まらない)
深皿に盛られたシチューを完食すると、
「もう一杯いるかな?」
「ぜひお願いしますっ!!」
淑女にあるまじき態度を取ってしまった。
ラインは呆気に取られていたようだけど、すぐに気を取り直したようで、
「分かったよ。大盛りだね」
苦笑しながら言われてしまった。
「……すみません」
(うわあぁぁぁっ!! 乙女ゲームのヒロインがこれっていいのっ!? いやそもそも中身があたしってのが何かの間違いだからっ!!)
結局、その後開き直ってもう二杯おかわりしたのはあたしです。
(ごめんて。でもやっぱり、花……イケメンより団子だと思ふ)
(というか、木々が避けてるっ!?)
前を歩くラインのローブに少しも枝がかかる気配はなく、それどころか彼が手を伸ばして枝をどかそうとするより先に、枝の方が避けたように見えた。
「あのー」
つい確認するとラインは軽く肩を竦めてみせた。
「ああ。ここで暮らし始めたころ、いろいろあってね。お互い不干渉を貫く、ってことで合意したんだ」
(魔の森と停戦協定って――)
思わず引いた目をしていると、
「君も人のこと言えないじゃない? あのオークを火魔法なしで対処しようなんて普通は思わないよ」
「言わないで下さい」
「はい、これ」
「え?」
差し出された小瓶とラインの顔を代わる代わる見比べてると、
「回復薬。まだ歩くからね」
「それって高価なものなんじゃ――」
断りかけると、
「そんなフラフラになっていてよく言うね。歩いてるのもやっとなんだろう?」
(う、バレてた)
МP切れは本当にヤバくて、なかにはその場で倒れてしまう人もいるみたい。
「お幾らですか?」
「今回はいいよ。ここで倒れられても迷惑だからね」
ひどい言われようだけど、何故か嫌味に聞こえない。
「ありがとうございます」
礼を言って飲み干すと、それにはハーブが混ざっているようだった。
(何かすっきりする)
身体の倦怠感が消えていく。
「じゃあ行こうか」
「はい」
(身体が軽っ!! え、急にペース上がったっ!!)
だけど回復薬のお陰でしっかりついて行くことができた。
そこはまさに山小屋と表現するのがしっくりくる建物だった。
二階建てだけど、大人数で暮らすようには見えない。
「さてと」
くるりと振り向かれて、
「はい?」
頭に疑問符を浮かべていると、
「そこの井戸で悪いけど、その煤落としておいで。早くしないと夕食のシチューが遅くなるけど」
言われてあたしは自分の恰好に気付いた。
例の蔦が絡みついていたお陰でベストやチュニックはすっかり草臥れ、おまけに煤がこびりついてしまっている。
(うぇ、これってどう洗っても無理なパターン)
現状を把握して固まってしまっているあたしをよそに、ラインはさっさと山小屋の扉を開けた。
とたん、シチューのいい匂いが広がり、お腹が鳴ってしまった。
「はは。さっさと井戸へお行き」
「……はい」
ぼろけてしまった布袋を抱えて井戸へ向かったけれど、脳裏にふと疑問が浮かんだ。
(今のってブイヨン? まさか)
ブイヨンはこちらの世界には存在しない。
まだ『リリアンヌ』が王子達を手玉に取っていたころ、王宮で食事を取ることがあったようだけど、ブイヨンはなかったハズ。
「どうしたの?」
「あ、いえ。あんまり美味しそうだったので」
「お世辞が上手いね。でも食べてから言ってね」
「この匂いだけでも充分伝わりますよ」
謙遜するラインに反射的にそう返し、あたし達は食前の祈りを捧げた。
そして――。
「「いただきます」」
まずはひと口。
とたんにやさしい風味が口の中に広がる。
(とろっとろに煮込んだ野菜と肉が調和して……何これ)
強いていうなら『沁みる』だろうか。
そして心のどこかでほっとする感覚。
(どうしよ。止まらない)
深皿に盛られたシチューを完食すると、
「もう一杯いるかな?」
「ぜひお願いしますっ!!」
淑女にあるまじき態度を取ってしまった。
ラインは呆気に取られていたようだけど、すぐに気を取り直したようで、
「分かったよ。大盛りだね」
苦笑しながら言われてしまった。
「……すみません」
(うわあぁぁぁっ!! 乙女ゲームのヒロインがこれっていいのっ!? いやそもそも中身があたしってのが何かの間違いだからっ!!)
結局、その後開き直ってもう二杯おかわりしたのはあたしです。
(ごめんて。でもやっぱり、花……イケメンより団子だと思ふ)
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