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43.疑惑
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「さて、下の階層へ向かう前に『彼』を捜さないといけませんね」
『彼』というのは、先日ここでゴルゴンの犠牲になった案内人の彼のことだ。
カサンドラ嬢が付いて来たのもその辺りのことがあったようで、
「はい、賢者様」
「では私はこちらから」
カサンドラ嬢をサポートしながら、セクトルさんが左奥へ向かった。
やはり、というかカサンドラ嬢はその場所を詳しく覚えていなかった。
『仕方がないでしょうっ!! 逃げ、退却するのに必死でしたものっ!!』
(うん、あたしでもそうすると思う)
ラインとカイン様とあたしは右奥を探索することになった。
「ゼンさーんっ!!」
「聞こえたら返事して下さいっ!!」
ダンジョンの中で大声を出すのは危険かもしれないが、この階層のボス的存在であるゴルゴンは倒したし、現在このダンジョンは立入禁止にしているので、見知らぬ冒険者が出て来る可能性は限りなく低い。
カサンドラ嬢によると、案内人はゼンといい、このダンジョンの案内を十年はしている熟練者だということだった。
「おかしいな」
その話を聞いたラインが首を捻った。
「ライン?」
「何故そんなベテランが近道への扉が壊されているのを見て何も言わなかったんだ?」
(確かに。そういうのって報告義務あるよね)
その辺の懸念もあって、ラインはあたしを置いてきたかったようだけど、元社会人歴**年を舐めないで欲しい。
オハナシアイの後、
「君、前世ではもしかしてお局……いや何でもないよ」
とかラインが呟いたのは聞こえてない、ったら聞こえてないっ!!
「おい、あれ」
カイン様の声にそちらを見ると、大人ほどの石が幾つか集まっている場所へ出た。
「まさか、あれって――」
「恐らくゴルゴンの犠牲者達だろうね。だけどここにこんなにあるなんて。やはりこれは――」
「あっ、こいつまだ生きてるぞっ!!」
「カイン様っ!!」
足場の悪いなか、何とか近寄ると、年の頃は四十くらいのガタイのいい男性が座り込んでいた。
その体から下は石と化していたけれど、見ると鳩尾の辺りに矢が刺さっていた。
ラインがまだ無事に見える頭部に手を添え、やがて首を振った。
「だめだね。もう」
その言葉を待っていたかのように男性の石化が進み、周りにあった石像と同じようになってしまった。
その遺骸に頭を下げてから、ラインが『フライ』をかけて魔導具へ入れた。
会話をする気も起きず、先ほどのところまで戻ると、すでにカサンドラ嬢達が戻ってきていた。
「どうでしたか?」
「やはり彼は亡くなっていたようです。石化の時間経過から、恐らく間違いないと思いますが、後で確認を取らないといけないでしょうね」
「そうですか。彼には悪いことをしてしまいましたね」
カサンドラ嬢には哀悼の意が込められているように思えた。
「まあ、こういった職業にはつきものでしょう」
淡々とラインが告げ、更に下の階層へ移動しようか、という段になって、
「なあ。そいつのこと、弓矢で止めさしたの、お前じゃないのか?」
カイン様の指は、しっかりとセクトルさんを指していた。
『彼』というのは、先日ここでゴルゴンの犠牲になった案内人の彼のことだ。
カサンドラ嬢が付いて来たのもその辺りのことがあったようで、
「はい、賢者様」
「では私はこちらから」
カサンドラ嬢をサポートしながら、セクトルさんが左奥へ向かった。
やはり、というかカサンドラ嬢はその場所を詳しく覚えていなかった。
『仕方がないでしょうっ!! 逃げ、退却するのに必死でしたものっ!!』
(うん、あたしでもそうすると思う)
ラインとカイン様とあたしは右奥を探索することになった。
「ゼンさーんっ!!」
「聞こえたら返事して下さいっ!!」
ダンジョンの中で大声を出すのは危険かもしれないが、この階層のボス的存在であるゴルゴンは倒したし、現在このダンジョンは立入禁止にしているので、見知らぬ冒険者が出て来る可能性は限りなく低い。
カサンドラ嬢によると、案内人はゼンといい、このダンジョンの案内を十年はしている熟練者だということだった。
「おかしいな」
その話を聞いたラインが首を捻った。
「ライン?」
「何故そんなベテランが近道への扉が壊されているのを見て何も言わなかったんだ?」
(確かに。そういうのって報告義務あるよね)
その辺の懸念もあって、ラインはあたしを置いてきたかったようだけど、元社会人歴**年を舐めないで欲しい。
オハナシアイの後、
「君、前世ではもしかしてお局……いや何でもないよ」
とかラインが呟いたのは聞こえてない、ったら聞こえてないっ!!
「おい、あれ」
カイン様の声にそちらを見ると、大人ほどの石が幾つか集まっている場所へ出た。
「まさか、あれって――」
「恐らくゴルゴンの犠牲者達だろうね。だけどここにこんなにあるなんて。やはりこれは――」
「あっ、こいつまだ生きてるぞっ!!」
「カイン様っ!!」
足場の悪いなか、何とか近寄ると、年の頃は四十くらいのガタイのいい男性が座り込んでいた。
その体から下は石と化していたけれど、見ると鳩尾の辺りに矢が刺さっていた。
ラインがまだ無事に見える頭部に手を添え、やがて首を振った。
「だめだね。もう」
その言葉を待っていたかのように男性の石化が進み、周りにあった石像と同じようになってしまった。
その遺骸に頭を下げてから、ラインが『フライ』をかけて魔導具へ入れた。
会話をする気も起きず、先ほどのところまで戻ると、すでにカサンドラ嬢達が戻ってきていた。
「どうでしたか?」
「やはり彼は亡くなっていたようです。石化の時間経過から、恐らく間違いないと思いますが、後で確認を取らないといけないでしょうね」
「そうですか。彼には悪いことをしてしまいましたね」
カサンドラ嬢には哀悼の意が込められているように思えた。
「まあ、こういった職業にはつきものでしょう」
淡々とラインが告げ、更に下の階層へ移動しようか、という段になって、
「なあ。そいつのこと、弓矢で止めさしたの、お前じゃないのか?」
カイン様の指は、しっかりとセクトルさんを指していた。
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