悪役令嬢の味方をしたら追放されました

神崎 ルナ

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68.幕間――王の血筋⑤

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あの賑やかな『お嬢様』と弓使いが去り、ダンジョンで見付かった女の人が回復し、皆の気がゆるんだだろう今夜――。



俺は宿の二階から辺りを見回し、持っていた角灯ランタンを右回りに一回、左に一回、まわした。


すると少し離れた路地で同じように灯りが回った。


(よし、行ける)


俺だってただ単に外へ出たわけじゃない。


あの時、この辺にいた俺と同じ位の奴らに声を掛け、頼んでおいたんだ。



悪い奴らから逃げるのに力を貸してくれ、ってな。



正直、俺はこの国の奴らがどうなろうか知ったことじゃない。


第一王位継承者? そんなの、あの王サマが王妃様でも娶れば幾らでもできるだろ。



(母ちゃん)


勝手知ったる手つきで下へ降りると、



「火事だーっ!!」


あちこちから煙みたいなものが立ち上る。



(おお、けっこう凄いな)


最初に声を掛けたのは二人だったはずなんだけど、人数が増えたみたいだった。



(悪いな、皆)


『自分で考えなさい』


大賢者あんたは言ったよな。



俺は母ちゃんのこと、納得してないからな。





路地を幾つか曲がり、街を囲む城壁を目指す。



この間仕入れた情報によると、城壁に子供ひとり位なら入れる穴が開いていて、まだ直してないらしい。



周りがだんだんと静かになっていく中、俺はそこを目指して駆け抜ける。



目的地は魔法大国といわれるフリント王国。



そこで魔法を身に付けて復讐してやる。


あいつらは多分、断首まではいかないと思うから。



勢いをつけて角を曲がったとき、俺は何かにぶつかった。



ってえ」


尻もちをついてしまい、そっちに意識を持っていかれてると、


「気ぃつけろ、坊主」


「待て、こいつ結構いい服着てるじゃねぇか」



(ごろつきか)



俺が育った下町にもよくこんな奴らがいたな。


(さっきの火事で呼んじまったか)


おそらく火事場泥棒でもするつもりなんだろう。



(人数は……二人。いや、物陰にもう一人いるな)


俺はとっさに下がって体勢を整えた。


「お、何だやる気か? いいとこの坊ちゃんにしては珍しいな」


二人のうち、背が高い方がからかうように言って手を伸ばす。



(捕まったらヤバいっ!!)


人数の差もあるが、俺にはここの土地勘がない。



「おっと」


「ちょこまかと」


何とか逃げ回っていたが、やっぱり限界が来ちまった。



「うわっ」


「ハハッ、捕まえたぞ、坊主っ!!」



「ん? 銀の髪か? 珍しいな。どっかに好事家に」



逃れようともがいていたとき、その声は聞こえた。



「フレイム」


一気に辺りが明るくなった。


「子供ひとりに随分と大げさですね」


そこにいたのは、十六、七くらいの金髪のきれいな姉ちゃんだった。



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