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(─────────っ!!)
バッ!!
咄嗟に美晴からスマホを乱暴に取り上げた。
「…………っ!!」
「……………………。」
(────しまった…………!)
おそらく迎えに行く前に美晴とやり取りをした後、そのままラインの画面を消してなかったんだろう。俺がよくやることだ。それにしても、よりにもよって、…こんな時にこんな……!
「…………っ、……」
「……………………。」
干からびたようにカラカラになった喉が震える。焦りすぎて声が出せないままそっと美晴を見ると、俺にスマホを取り上げられた姿勢のままピクリとも動かない。俯いている横顔は、呆然と固まっている。まばたきさえしない。
「……………………ちがう、からな」
真っ白な頭で、必死に声を絞り出しながら最善の言い訳を考える。
「…………誤解するな、よ……。…………っ、これ、…こいつは……」
「……………………。」
息が苦しい。全身に嫌な汗が滲む。……嘘くさいか?向こうから突然……俺は全くそんな気は…………何の感情もなくて、……もう、二度と会うことも………………
実際そうなのだが、この状況でこれらを言葉に出しても軽薄な言い訳にしか聞こえない気がしてますます躊躇してしまう。
よりにもよって、美晴に、こんなものを見られるなんて。美晴にだけは絶対に見せたくなかったものを。
「……………………。」
「……………………。」
───今度こそ本当にダメだ。
脳内に浮かび上がるその思考が俺の体を石のようにガチガチに固めてしまってこれ以上声がかけられない。さっきからずっと頭が真っ白で何を言えばいいのかがさっぱり分からない。
…ズッ……
「っ?!」
美晴の体がゆらりと動いて靴底が擦れる音がし、俺はビクッと大きく肩を上げる。美晴は俺を見ようともせずにゆっくりと歩き出した。
「…………っ!…………み、」
俺は地面に貼りついたような足をギシギシと動かし、美晴の後を追う。
「……………………。」
「…………。…………おい…」
美晴は無言でどこまでも歩いていく。……駐車場に向かっているのか?方向的にはそうだ。俺の車に乗ってくれるつもりだろうか。
だがこの通りを渡れば駐車場というところまで来て、それは違うのだと分かった。美晴は通りを渡らずにそのままタクシー乗り場に向かっていく。
「っ!!お、おいっ!美晴!!ちょっと待てよ!!」
それに気付いた途端に俺は美晴の手を掴んだ。
(…………っ!)
美晴の指先は氷のように冷たかった。さっきから一気に血の気が引いたままの俺の手もかなり冷たくなっているはずなのだが、美晴の手は俺どころじゃなかった。
その瞬間、美晴がどれほど傷付いているのかが分かった。
「美晴っ!……待てって!……な、ちゃんと話すから、車に行こう。……頼むから。……なぁ」
美晴は腕に力を込めて俺から逃れようとしている。だがいつも以上に弱々しいその力では抵抗されていないも同然だった。俺は振り返りもしない美晴の肩をそっと抱いた。
「……来いよ。ひとまず車に…」
「…はなして、ください…………おねがい……」
「……っ、」
小さく静かな声に、強い拒絶を感じ俺の胸は抉られたように痛んだ。ずっと俯いたまま、決して俺の顔を見ようとはしない。
「……絶対に離さねぇよ。……来いって」
ずっと抵抗し続けて足を前に出そうとしない美晴の背中に手を回し、強引に通りを渡る。
「………………いや……」
「…………。」
「………………いやだ…………」
「…………。」
小さな声で俺を刺す拒絶の言葉が辛い。それでも俺は美晴から腕を離さずに真っ暗な駐車場まで無理矢理連れて来た。
「………………ふ…………」
「……っ、」
車のロックを開けた時、美晴が嗚咽を漏らした。
「……ふ…………、……っく、……う……」
「……美晴…………、話を聞いてくれ……」
「いや……嫌だ…………聞きたくない…………聞きたくない……!」
美晴は俺の腕から逃れるとまた通りの方へ戻ろうとする。
「ちょっ!…なぁ、頼むから一回俺の話を」
「聞かない……!聞かない…………何も聞きたくない!」
「美晴っ!」
興奮してきたのかだんだんと美晴の抵抗の力が強くなってきた。何度腕を掴んでも必死で逃れようとする。
「何でだよ!いいから一回…」
「いやだぁっ!言わないで何にも…!」
「俺はお前を裏切ってねーよ!!」
ビクッ。
叫ぶような俺のデカい声に美晴が動きを止める。
「こないだいきなりマンションの前に押しかけてきたんだよ!!前に遊んでた女が!!見るなり飛びついてきてキスされたけどすぐに引き剥がしたし、部屋にも上げてねぇ!!好きなヤツがいるから二度と会わねーって言ったよ!!本当だ!!」
「………………。」
「何もしてねーよ!!お前以外のヤツに手なんか出さねぇよ!……裏切ってねーから、信じてくれよ。頼むから。一方的にされただけで、俺は何もしてねぇ。俺が迂闊だったよ。女のラインも今ブロックするから」
「………………。」
俺はいつの間にかまたポケットに入れていたスマホを取り出してすぐさまブロックした。
「…………ほら、した。な?」
「…………。」
「何もやましくねぇよ。俺にはお前だけ……………………あ」
……………………あれ?
……俺、……今、…………こいつに何つった?
「………………。」
美晴がゆっくりと俺を見上げる。
涙に濡れたその顔は耳まで真っ赤で、まるで声を出すのを我慢するかのように、口をキュッと真一文字に引き結んでいた。
バッ!!
咄嗟に美晴からスマホを乱暴に取り上げた。
「…………っ!!」
「……………………。」
(────しまった…………!)
おそらく迎えに行く前に美晴とやり取りをした後、そのままラインの画面を消してなかったんだろう。俺がよくやることだ。それにしても、よりにもよって、…こんな時にこんな……!
「…………っ、……」
「……………………。」
干からびたようにカラカラになった喉が震える。焦りすぎて声が出せないままそっと美晴を見ると、俺にスマホを取り上げられた姿勢のままピクリとも動かない。俯いている横顔は、呆然と固まっている。まばたきさえしない。
「……………………ちがう、からな」
真っ白な頭で、必死に声を絞り出しながら最善の言い訳を考える。
「…………誤解するな、よ……。…………っ、これ、…こいつは……」
「……………………。」
息が苦しい。全身に嫌な汗が滲む。……嘘くさいか?向こうから突然……俺は全くそんな気は…………何の感情もなくて、……もう、二度と会うことも………………
実際そうなのだが、この状況でこれらを言葉に出しても軽薄な言い訳にしか聞こえない気がしてますます躊躇してしまう。
よりにもよって、美晴に、こんなものを見られるなんて。美晴にだけは絶対に見せたくなかったものを。
「……………………。」
「……………………。」
───今度こそ本当にダメだ。
脳内に浮かび上がるその思考が俺の体を石のようにガチガチに固めてしまってこれ以上声がかけられない。さっきからずっと頭が真っ白で何を言えばいいのかがさっぱり分からない。
…ズッ……
「っ?!」
美晴の体がゆらりと動いて靴底が擦れる音がし、俺はビクッと大きく肩を上げる。美晴は俺を見ようともせずにゆっくりと歩き出した。
「…………っ!…………み、」
俺は地面に貼りついたような足をギシギシと動かし、美晴の後を追う。
「……………………。」
「…………。…………おい…」
美晴は無言でどこまでも歩いていく。……駐車場に向かっているのか?方向的にはそうだ。俺の車に乗ってくれるつもりだろうか。
だがこの通りを渡れば駐車場というところまで来て、それは違うのだと分かった。美晴は通りを渡らずにそのままタクシー乗り場に向かっていく。
「っ!!お、おいっ!美晴!!ちょっと待てよ!!」
それに気付いた途端に俺は美晴の手を掴んだ。
(…………っ!)
美晴の指先は氷のように冷たかった。さっきから一気に血の気が引いたままの俺の手もかなり冷たくなっているはずなのだが、美晴の手は俺どころじゃなかった。
その瞬間、美晴がどれほど傷付いているのかが分かった。
「美晴っ!……待てって!……な、ちゃんと話すから、車に行こう。……頼むから。……なぁ」
美晴は腕に力を込めて俺から逃れようとしている。だがいつも以上に弱々しいその力では抵抗されていないも同然だった。俺は振り返りもしない美晴の肩をそっと抱いた。
「……来いよ。ひとまず車に…」
「…はなして、ください…………おねがい……」
「……っ、」
小さく静かな声に、強い拒絶を感じ俺の胸は抉られたように痛んだ。ずっと俯いたまま、決して俺の顔を見ようとはしない。
「……絶対に離さねぇよ。……来いって」
ずっと抵抗し続けて足を前に出そうとしない美晴の背中に手を回し、強引に通りを渡る。
「………………いや……」
「…………。」
「………………いやだ…………」
「…………。」
小さな声で俺を刺す拒絶の言葉が辛い。それでも俺は美晴から腕を離さずに真っ暗な駐車場まで無理矢理連れて来た。
「………………ふ…………」
「……っ、」
車のロックを開けた時、美晴が嗚咽を漏らした。
「……ふ…………、……っく、……う……」
「……美晴…………、話を聞いてくれ……」
「いや……嫌だ…………聞きたくない…………聞きたくない……!」
美晴は俺の腕から逃れるとまた通りの方へ戻ろうとする。
「ちょっ!…なぁ、頼むから一回俺の話を」
「聞かない……!聞かない…………何も聞きたくない!」
「美晴っ!」
興奮してきたのかだんだんと美晴の抵抗の力が強くなってきた。何度腕を掴んでも必死で逃れようとする。
「何でだよ!いいから一回…」
「いやだぁっ!言わないで何にも…!」
「俺はお前を裏切ってねーよ!!」
ビクッ。
叫ぶような俺のデカい声に美晴が動きを止める。
「こないだいきなりマンションの前に押しかけてきたんだよ!!前に遊んでた女が!!見るなり飛びついてきてキスされたけどすぐに引き剥がしたし、部屋にも上げてねぇ!!好きなヤツがいるから二度と会わねーって言ったよ!!本当だ!!」
「………………。」
「何もしてねーよ!!お前以外のヤツに手なんか出さねぇよ!……裏切ってねーから、信じてくれよ。頼むから。一方的にされただけで、俺は何もしてねぇ。俺が迂闊だったよ。女のラインも今ブロックするから」
「………………。」
俺はいつの間にかまたポケットに入れていたスマホを取り出してすぐさまブロックした。
「…………ほら、した。な?」
「…………。」
「何もやましくねぇよ。俺にはお前だけ……………………あ」
……………………あれ?
……俺、……今、…………こいつに何つった?
「………………。」
美晴がゆっくりと俺を見上げる。
涙に濡れたその顔は耳まで真っ赤で、まるで声を出すのを我慢するかのように、口をキュッと真一文字に引き結んでいた。
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