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高校2年の修学旅行。3泊4日、俺は幸せの絶頂だった。颯太の隣で鼻の下をデレッと伸ばして、受験の時に全部しっかり覚えたはずなのにもうすっかり忘れてしまった名前の分からない寺の数々をまわり、一緒に抹茶のスイーツを食べた。あらゆる場所で颯太の写真をバシャバシャと撮りまくり、俺だけじゃなくて一緒に撮ろうよ、と颯太に言われて慌ててツーショットも撮った。
「もー、何ひとつ覚えてないんだから…樹ってば……。逆にすごいよ」
颯太が呆れながら夕食の釜飯をつついている。
「ん、先生たちも同じこと言ってた。お前が進級できたのは奇跡だって。奇跡のA高生だってさ」
「…言っとくけど、それ褒め言葉じゃないからね」
「グループレポートはお前らに任せたぞ、颯太」
「任せたぞ、じゃないよ、もう」
そう言いながらも颯太は楽しそうにクスクスと笑っている。
よりにもよって京都か…、と、寺にひとつも興味のない俺は内心少しガッカリしたが、来てみるとめちゃくちゃ楽しい。颯太がいるからだ。今、颯太と旅行しているんだ、俺は!ついに!!子どもの時から互いにずっと夢見ていた、この時間……!丸4日間も一緒にいられるなんて……!また同じクラスになれたのは神様からのプレゼントなのか、俺たちの固い結びつきによる運の強さなのか。もう顔がニヤけて止まらない。俺はデレデレと茶碗蒸しを食べながら、颯太に言った。
「あとでちょっと外散歩しよーぜ」
「うん。でも、先生に見つからないように消灯時間までには部屋に戻らなきゃだよ」
大宴会場でクラス全員で賑やかに食事をしてる中、早めに切り上げて二人でそそくさと部屋を出る。ホテルのロビーを出て、空を見上げるともう星が出ていた。
「お、いいな。星空の下を二人で散歩…。なんてロマンチックなんだ。なぁ、颯太」
「…ふふ。本当だね。……嬉しい」
冗談っぽく言ってみたら颯太は頬を染めて本当に嬉しそうに笑う。……もう、体が溶けそう。颯太が可愛すぎて、もう溶けるよ、俺は。
しばらくホテルの周りを歩いて、裏口あたりのどこかの入り口前にある階段に並んで腰かける。空気が澄んでいて、気持ちいい。
空を見上げている颯太の横顔を見る。……いいな、こういうの。
「……なぁ」
「……ん?」
「こうやってさ、毎日朝から晩まで一緒にいられるのって、いいよな」
「うん。本当だね。おやすみって言って、並べた布団で隣で眠って、朝起きたら真っ先におはようって言えて。……すごい幸せ。……帰りたくないくらい」
「……うん」
「…………。」
「……なぁ。……早く一緒に暮らしたいな」
「っ!」
颯太は弾かれたように俺の顔を見る。でもすぐに俯いて、
「……うん」
恥ずかしそうに返事をした。
「……一緒に暮らそうな。……卒業して、大学生か……、社会人になったら。まだ具体的には、ちょっと分かんないけどさ」
「…………うん」
「なんでそんな照れるんだよ。前にもこんな話したじゃんか」
「…………。」
「その可愛い顔やめてくんない?エッチしたくなるから」
「っ?!な、何言ってるの!誰かに聞かれたらどうするんだよ!」
「はは。誰もいねーよ。人っ子ひとりいねーじゃん。……ほら。な?」
焦ってキョロキョロと見回す颯太の頬に手を当てる。唇を近づけると、颯太はピクンと肩を震わせ、そのまま大人しく目を閉じた。
凜と澄んだした空気の中、二人きりの空間で、颯太の唇の熱を味わう。……可愛い。俺の颯太。毎日顔が見れたら、一緒に暮らせたら、……幸せの絶頂が永遠に続くってことだよなぁ……。毎朝二人で、颯太が作ってくれたあのマグカップでコーヒーを飲むんだ。
ガキの頃からの大きな目標をついに達成した俺に、次の目標ができた。俺は颯太と二人で暮らす。それも良い暮らしをさせてやるんだ。俺が稼ぎ、颯太が家で待ってる奥さん、とか。
「………………。」
『お帰りなさい、樹。早く会いたくて寂しかったよ。ご飯にする?お風呂にする?それとも……、俺?』
ヒラリ。
『おっ、お前……っ!エ、エプロンの下、…何も着てねぇのかよ!』
『ん。だって……、……は、早く食べてほしくて……。……ダメ?こんなことする俺、…はしたない?』
『そ、颯太ぁ……っ!!』
『えっ?!あ、待っ、……待ってぇっ!ここじゃ……、……あぁんっ』
…………むふ。それもいいな。
「……何ニヤニヤしてるの?」
「……いろいろ妄想してた」
「こわっ」
「もー、何ひとつ覚えてないんだから…樹ってば……。逆にすごいよ」
颯太が呆れながら夕食の釜飯をつついている。
「ん、先生たちも同じこと言ってた。お前が進級できたのは奇跡だって。奇跡のA高生だってさ」
「…言っとくけど、それ褒め言葉じゃないからね」
「グループレポートはお前らに任せたぞ、颯太」
「任せたぞ、じゃないよ、もう」
そう言いながらも颯太は楽しそうにクスクスと笑っている。
よりにもよって京都か…、と、寺にひとつも興味のない俺は内心少しガッカリしたが、来てみるとめちゃくちゃ楽しい。颯太がいるからだ。今、颯太と旅行しているんだ、俺は!ついに!!子どもの時から互いにずっと夢見ていた、この時間……!丸4日間も一緒にいられるなんて……!また同じクラスになれたのは神様からのプレゼントなのか、俺たちの固い結びつきによる運の強さなのか。もう顔がニヤけて止まらない。俺はデレデレと茶碗蒸しを食べながら、颯太に言った。
「あとでちょっと外散歩しよーぜ」
「うん。でも、先生に見つからないように消灯時間までには部屋に戻らなきゃだよ」
大宴会場でクラス全員で賑やかに食事をしてる中、早めに切り上げて二人でそそくさと部屋を出る。ホテルのロビーを出て、空を見上げるともう星が出ていた。
「お、いいな。星空の下を二人で散歩…。なんてロマンチックなんだ。なぁ、颯太」
「…ふふ。本当だね。……嬉しい」
冗談っぽく言ってみたら颯太は頬を染めて本当に嬉しそうに笑う。……もう、体が溶けそう。颯太が可愛すぎて、もう溶けるよ、俺は。
しばらくホテルの周りを歩いて、裏口あたりのどこかの入り口前にある階段に並んで腰かける。空気が澄んでいて、気持ちいい。
空を見上げている颯太の横顔を見る。……いいな、こういうの。
「……なぁ」
「……ん?」
「こうやってさ、毎日朝から晩まで一緒にいられるのって、いいよな」
「うん。本当だね。おやすみって言って、並べた布団で隣で眠って、朝起きたら真っ先におはようって言えて。……すごい幸せ。……帰りたくないくらい」
「……うん」
「…………。」
「……なぁ。……早く一緒に暮らしたいな」
「っ!」
颯太は弾かれたように俺の顔を見る。でもすぐに俯いて、
「……うん」
恥ずかしそうに返事をした。
「……一緒に暮らそうな。……卒業して、大学生か……、社会人になったら。まだ具体的には、ちょっと分かんないけどさ」
「…………うん」
「なんでそんな照れるんだよ。前にもこんな話したじゃんか」
「…………。」
「その可愛い顔やめてくんない?エッチしたくなるから」
「っ?!な、何言ってるの!誰かに聞かれたらどうするんだよ!」
「はは。誰もいねーよ。人っ子ひとりいねーじゃん。……ほら。な?」
焦ってキョロキョロと見回す颯太の頬に手を当てる。唇を近づけると、颯太はピクンと肩を震わせ、そのまま大人しく目を閉じた。
凜と澄んだした空気の中、二人きりの空間で、颯太の唇の熱を味わう。……可愛い。俺の颯太。毎日顔が見れたら、一緒に暮らせたら、……幸せの絶頂が永遠に続くってことだよなぁ……。毎朝二人で、颯太が作ってくれたあのマグカップでコーヒーを飲むんだ。
ガキの頃からの大きな目標をついに達成した俺に、次の目標ができた。俺は颯太と二人で暮らす。それも良い暮らしをさせてやるんだ。俺が稼ぎ、颯太が家で待ってる奥さん、とか。
「………………。」
『お帰りなさい、樹。早く会いたくて寂しかったよ。ご飯にする?お風呂にする?それとも……、俺?』
ヒラリ。
『おっ、お前……っ!エ、エプロンの下、…何も着てねぇのかよ!』
『ん。だって……、……は、早く食べてほしくて……。……ダメ?こんなことする俺、…はしたない?』
『そ、颯太ぁ……っ!!』
『えっ?!あ、待っ、……待ってぇっ!ここじゃ……、……あぁんっ』
…………むふ。それもいいな。
「……何ニヤニヤしてるの?」
「……いろいろ妄想してた」
「こわっ」
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