55 / 63
55.
しおりを挟む
「いやぁ……、立本樹……。お前の名は我がA高の伝説として残るぞ」
「あざす!」
「3年間、少しもブレることなくずっと成績最下位を貫き、卒業後はサッと芸能界入り。……こんなヤツ、他にはいないぞ、きっとこれから先もな」
「うす!あざす!」
「褒めてないけどな。まぁ、しっかり頑張れよ。“あの人に会いたい”みたいな番組に出る時はちゃんと俺の名前出せよ」
「うはは!はい。お世話になりました」
「俺も呼んでくれよ!」
「すごいよねー、立本くん。頑張ってね、テレビ出たら応援するからね」
「やっぱしイケメンってスカウトされるんだねぇ。すごいなぁ」
卒業式の日。担任に生温かい言葉をかけられ、クラスメイトたちにも期待を込めて送り出され、俺たちは高校を後にした。
「心配すんなよ。俺の仕事が軌道に乗ったら一緒に暮らせるし、そしたらまた顔合わせる時間も増えるんだからな」
「ふふ。……うん」
「ちゃんとマメに連絡するから」
「うん。してよ。…できるだけね」
「おー。任せろ。……。」
「……。」
「……楽しかったな。高校生活」
「うん。……もう卒業しちゃったなんて、信じられないね」
「だな」
「一緒に通えて、楽しかったな。……ありがとう、樹。頑張って同じ高校に入ってくれて」
「ふふん。受験の時はマジで一生分の努力したからな。今となってはあれもいい思い出になったわ。じーさんになってもずっと言ってるぞ、俺。あん時はわしゃ死に物狂いだったんじゃーって」
「ふふっ…」
卒業式が終わって、最後の帰り道を並んでバス停まで歩く。なんとなく二人とも静かになる。
「……あ、ちょっと待って…。…ごめん、母さんから電話」
颯太がカバンの中をゴソゴソ漁ったかと思うとスマホを取り出し言った。
「おお。出ろよ」
「うん」
もしもしー、と颯太が話し始めた。俺はボーッと周りの景色を眺める。3年間、いろいろあったなぁ…。1年の時は半年ぐらい地獄を見たけど…、あれも結局は颯太が俺を庇いたいがために先輩の言いなりになるかたちで付き合ってたんだっけ。…愛されてんなぁ、俺。……よかった、マジで。あの野郎にヤられてなくて。ごめんな、俺が不安ばかりで疑っちまったから、あんなこじれて…。もう一生絶対に誰にも触らせないからな、颯太。
「えっ!」
「……?」
おばちゃんと話し出した颯太が急に大きな声を出す。…どうしたんだろ。
「え、う、ううんっ!そ、そんなの気にしないでよ、大丈夫だから。……ふふ、そんな、子どもじゃないんだから。…別に、そんな……。うん、ありがとう。……せっかくだからゆっくり楽しんできてよ。……うん、分かった。……帰り気を付けてね」
颯太の電話が終わった。何も言わずにカバンの中にスマホをしまう颯太。
「……大丈夫か?」
「えっ?!な、何がっ?!」
「……や、なんかあったのかと」
「……。な、……何も、ない」
「?……ならいいけど」
何でだろう。なんか急に顔が赤くなった颯太が、妙に緊張しているように見える。突然口数が少なくなった。気にはなったけど、詮索せずにバス停まで送ることにした。
「…………。」
「……っ、……、……っ、」
……明らかに何かおかしい。さっきから真っ赤な顔して、何か言おうとしては止めている感じがする。こっちから聞いた方がいいのか、……もう少し待った方がいいのか……。
そうこうしているうちについにバス停に着いてしまった。颯太はハッとした顔をして、ますますオロオロしだす。何があったのか心配な反面、さっきから一人でいろんな顔してて可愛くてしかたない。
「………………ね、ねぇっ」
あ、やっと喋った。
「どうした?」
「さ、さっき、母さんから電話があってさ」
「うん。知ってる。見てた」
「あ、だ、だよね。………………っ、」
「……。」
「なっ!なんか、さ、…………き、今日…………か、帰りが、……遅くなる、みたいで……。パート先の打ち上げか、なんかで」
「あ、へー。おばちゃんパート行ってんだ」
「あ、うん。そう。なんかショッピングセンターの中のレジ……、や、そ、それはいいんだけど!」
颯太が乗るバスが道路の向こうに小さく見えてきた。颯太がますます焦り出す。
「あ!……だ、だからね!うち、……誰もいないん、だけど……。よ、……夜まで……」
「うん…………。…へっ?!」
颯太は耳まで真っ赤にして言った。
「………………来る?うち…」
「………………。」
行かないわけがないですよね。
「あざす!」
「3年間、少しもブレることなくずっと成績最下位を貫き、卒業後はサッと芸能界入り。……こんなヤツ、他にはいないぞ、きっとこれから先もな」
「うす!あざす!」
「褒めてないけどな。まぁ、しっかり頑張れよ。“あの人に会いたい”みたいな番組に出る時はちゃんと俺の名前出せよ」
「うはは!はい。お世話になりました」
「俺も呼んでくれよ!」
「すごいよねー、立本くん。頑張ってね、テレビ出たら応援するからね」
「やっぱしイケメンってスカウトされるんだねぇ。すごいなぁ」
卒業式の日。担任に生温かい言葉をかけられ、クラスメイトたちにも期待を込めて送り出され、俺たちは高校を後にした。
「心配すんなよ。俺の仕事が軌道に乗ったら一緒に暮らせるし、そしたらまた顔合わせる時間も増えるんだからな」
「ふふ。……うん」
「ちゃんとマメに連絡するから」
「うん。してよ。…できるだけね」
「おー。任せろ。……。」
「……。」
「……楽しかったな。高校生活」
「うん。……もう卒業しちゃったなんて、信じられないね」
「だな」
「一緒に通えて、楽しかったな。……ありがとう、樹。頑張って同じ高校に入ってくれて」
「ふふん。受験の時はマジで一生分の努力したからな。今となってはあれもいい思い出になったわ。じーさんになってもずっと言ってるぞ、俺。あん時はわしゃ死に物狂いだったんじゃーって」
「ふふっ…」
卒業式が終わって、最後の帰り道を並んでバス停まで歩く。なんとなく二人とも静かになる。
「……あ、ちょっと待って…。…ごめん、母さんから電話」
颯太がカバンの中をゴソゴソ漁ったかと思うとスマホを取り出し言った。
「おお。出ろよ」
「うん」
もしもしー、と颯太が話し始めた。俺はボーッと周りの景色を眺める。3年間、いろいろあったなぁ…。1年の時は半年ぐらい地獄を見たけど…、あれも結局は颯太が俺を庇いたいがために先輩の言いなりになるかたちで付き合ってたんだっけ。…愛されてんなぁ、俺。……よかった、マジで。あの野郎にヤられてなくて。ごめんな、俺が不安ばかりで疑っちまったから、あんなこじれて…。もう一生絶対に誰にも触らせないからな、颯太。
「えっ!」
「……?」
おばちゃんと話し出した颯太が急に大きな声を出す。…どうしたんだろ。
「え、う、ううんっ!そ、そんなの気にしないでよ、大丈夫だから。……ふふ、そんな、子どもじゃないんだから。…別に、そんな……。うん、ありがとう。……せっかくだからゆっくり楽しんできてよ。……うん、分かった。……帰り気を付けてね」
颯太の電話が終わった。何も言わずにカバンの中にスマホをしまう颯太。
「……大丈夫か?」
「えっ?!な、何がっ?!」
「……や、なんかあったのかと」
「……。な、……何も、ない」
「?……ならいいけど」
何でだろう。なんか急に顔が赤くなった颯太が、妙に緊張しているように見える。突然口数が少なくなった。気にはなったけど、詮索せずにバス停まで送ることにした。
「…………。」
「……っ、……、……っ、」
……明らかに何かおかしい。さっきから真っ赤な顔して、何か言おうとしては止めている感じがする。こっちから聞いた方がいいのか、……もう少し待った方がいいのか……。
そうこうしているうちについにバス停に着いてしまった。颯太はハッとした顔をして、ますますオロオロしだす。何があったのか心配な反面、さっきから一人でいろんな顔してて可愛くてしかたない。
「………………ね、ねぇっ」
あ、やっと喋った。
「どうした?」
「さ、さっき、母さんから電話があってさ」
「うん。知ってる。見てた」
「あ、だ、だよね。………………っ、」
「……。」
「なっ!なんか、さ、…………き、今日…………か、帰りが、……遅くなる、みたいで……。パート先の打ち上げか、なんかで」
「あ、へー。おばちゃんパート行ってんだ」
「あ、うん。そう。なんかショッピングセンターの中のレジ……、や、そ、それはいいんだけど!」
颯太が乗るバスが道路の向こうに小さく見えてきた。颯太がますます焦り出す。
「あ!……だ、だからね!うち、……誰もいないん、だけど……。よ、……夜まで……」
「うん…………。…へっ?!」
颯太は耳まで真っ赤にして言った。
「………………来る?うち…」
「………………。」
行かないわけがないですよね。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】ずっと一緒にいたいから
隅枝 輝羽
BL
榛名はあまり目立ったところはないものの、真面目な縁の下の力持ちとして仕事に貢献していた。そんな榛名の人に言えないお楽しみは、お気に入りのおもちゃで後ろをいじること。社員旅行の前日もア○ニーですっきりさせて、気の進まないまま旅行に出発したのだが……。
J庭57のために書き下ろしたお話。
同人誌は両視点両A面だったのだけど、どこまで載せようか。全部載せることにしましたー!
君と運命になっていく
やらぎはら響
BL
母親から冷遇されている町田伊織(まちだいおり)は病気だから薬を欠かさず飲むことを厳命されていた。
ある日倒れて伊織はオメガであり今まで飲むように言われていたのは強い抑制剤だと教えられる。
体調を整えるためにも世界バース保護機関にアルファとのマッチングをするよう言われてしまった。
マッチング相手は外国人のリルトで、大きくて大人の男なのに何だか子犬のように可愛く見えてしまい絆されていく。
【完結】恋愛初学者の僕、完璧すぎる幼馴染に「恋」を学ぶ
鳥羽ミワ
BL
志村春希は高校二年生で、同い年の幼馴染・須藤涼太のことが大好き。その仲良しぶりといったら、お互い「リョウちゃん」「ハルくん」と呼び合うほどだ。
勉強が好きな春希には、どうしてもひとつだけ、全く理解できないことがあった。それは、恋心。学年一位の天才でもある涼太にそのもどかしさを愚痴ったら、「恋」を教えようかと提案される。
仮初の恋人になる二人だけど、春希が恋を知ったら、幼馴染の友達同士のままではいられない。慌てる春希に「パラダイムシフトを起こそうよ」と提案する涼太。手を重ねて、耳元で囁く涼太。水族館デートに誘う涼太。あまあまに迫られて、恋愛初学者の春希が陥落しないはずもなく……。
恋を知ったら友達でいられない。でもこの思いは止められない。
葛藤する春希の隣で涼太だけが、この関係は両片思いだと知っていた。
幼馴染の溺愛恋愛ケーススタディ、開幕! 最後はもちろんハッピーエンド!
※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうへ投稿しています
【完結】幼馴染に告白されたけれど、実は俺の方がずっと前から好きだったんです 〜初恋のあわい~
上杉
BL
ずっとお前のことが好きだったんだ。
ある日、突然告白された西脇新汰(にしわきあらた)は驚いた。何故ならその相手は幼馴染の清宮理久(きよみやりく)だったから。思わずパニックになり新汰が返答できずにいると、理久はこう続ける。
「驚いていると思う。だけど少しずつ意識してほしい」
そう言って普段から次々とアプローチを繰り返してくるようになったが、実は新汰の方が昔から理久のことが好きで、それは今も続いている初恋だった。
完全に返答のタイミングを失ってしまった新汰が、気持ちを伝え完全な両想いになる日はやって来るのか?
初めから好き同士の高校生が送る青春小説です!お楽しみ下さい。
高貴なオメガは、ただ愛を囁かれたい【本編完結】
きど
BL
愛されていないのに形だけの番になるのは、ごめんだ。
オメガの王族でもアルファと番えば王位継承を認めているエステート王国。
そこの第一王子でオメガのヴィルムには長年思い続けている相手がいる。それは幼馴染で王位継承権を得るための番候補でもあるアルファのアーシュレイ・フィリアス。
アーシュレイは、自分を王太子にするために、番になろうとしてると勘違いしているヴィルムは、アーシュレイを拒絶し続ける。しかし、発情期の度にアーシュレイに抱かれる幻想をみてしまい思いに蓋をし続けることが難しくなっていた。
そんな時に大国のアルファの王族から番になる打診が来て、アーシュレイを諦めるためにそれを受けようとしたら、とうとうアーシュレイが痺れを切らして…。
二人の想いは無事通じ合うのか。
現在、スピンオフ作品の
ヤンデレベータ×性悪アルファを連載中
幼馴染は僕を選ばない。
佳乃
BL
ずっと続くと思っていた〈腐れ縁〉は〈腐った縁〉だった。
僕は好きだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに。
僕がいた場所は僕じゃ無い誰かの場所となり、繋がっていると思っていた縁は腐り果てて切れてしまった。
好きだった。
好きだった。
好きだった。
離れることで断ち切った縁。
気付いた時に断ち切られていた縁。
辛いのは、苦しいのは彼なのか、僕なのか…。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
【完結】スパダリを目指していたらスパダリに食われた話
紫蘇
BL
給湯室で女の子が話していた。
理想の彼氏はスパダリよ!
スパダリ、というやつになったらモテるらしいと分かった俺、安田陽向(ヒナタ)は、スパダリになるべく会社でも有名なスパダリ…長船政景(マサカゲ)課長に弟子入りするのであった。
受:安田陽向
天性の人たらしで、誰からも好かれる人間。
社会人になってからは友人と遊ぶことも減り、独り身の寂しさを噛み締めている。
社内システム開発課という変人どもの集まりの中で唯一まともに一般人と会話できる貴重な存在。
ただ、孤独を脱したいからスパダリになろうという思考はやはり変人のそれである。
攻:長船政景
35歳、大人の雰囲気を漂わせる男前。
いわゆるスパダリ、中身は拗らせ変態。
妹の美咲がモデルをしており、交友関係にキラキラしたものが垣間見える。
サブキャラ
長船美咲:27歳、長船政景の年の離れた妹。
抜群のスタイルを生かし、ランウェイで長らく活躍しているモデル。
兄の恋を応援するつもりがまさかこんなことになるとは。
高田寿也:28歳、美咲の彼氏。
そろそろ美咲と結婚したいなと思っているが、義理の兄がコレになるのかと思うと悩ましい。
義理の兄の恋愛事情に巻き込まれ、事件にだけはならないでくれと祈る日々が始まる…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる