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冀うならお早めに
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婚約者が浮気をしているらしい。やったね!破棄しよ!と考える令嬢。
その令嬢にいつもよりそう精霊。
そんなはなし。
友人たちから、婚約者の不義を聞いたのは私が他国にお呼ばれして帰ってきた時だった。
そういえば、今日は友人たちの恒例の茶会の日。突然の訪問は通常なら失礼にあたるが今回は他国に赴いて土産があり、早く顔をみせたかったと言えばまぁなんとでもなる。そもそも仲の良い友人達の間では礼儀はあってないようなものだから気にすることではないのかもしれない。
帰りのその足で友人の屋敷に向かえば、やはりいつもの茶会は行われていた。
私が声をかけると皆驚いて、座りなさいと私の土産話より先に話が始まったのだ。
慌てる友人たちをどうどうといさめつつ話を聞くと、どうやら婚約者のそばに女がいるらしい。
ほほう、それで?
私が詳しくきくと、その女はどこぞの男爵の娘とのこと。
我が家は公爵。
格下の家の娘が、私の婚約者に手を出したと。しかも婚約者はその女に絆され、のせられ。
有る事無い事吹き込んで、私と婚約破棄する! と、息巻いているらしい。
いや、うん。
嘆くことはないのよ、皆。
そもそもこの婚約は、我が家が望んだものではない。
彼の家が、彼があまりにもあんぽんたんだから私に手綱を握って欲しいと願ったことなのだから。
私は破棄できるなら、願ったりなのだ。悪い人ではないけど、面倒だし。
しかし、彼のところに行く前に、父と母に話を通さなくては。
私は友人たちに断って、一度家へ。
父と母に確認して、好きにしなさいというお言葉を貰った。なお丁度、相手方の家で明日、夜会があるそうだ。私ももちろん、招かれている。
なんにせよ、父と母からのお許しはいただいたので問題ない。
ああ、許しを貰う相手はもうひとりいた。
しかし、彼の事を嫌っていたから大喜びするだろう。いや、もう知っているのだろうけども。
きっと知っていて、何も言わずに他国に同道したのだろう。
なるほど。旅の間、ご機嫌だった理由はこれだ。
私がどうするかまで、わかっているから。
「セト、いる?」
『はいはーい、何用かな?』
「何用もなにも……いえ、うん。私は明日、婚約者とお別れしようと思うの」
『うんうん、それでぇ?』
「余計なことはしないでくれる?」
『余計なこと?』
「そう! 報復とか、手を貸さないとかそういうの。これは好機だから咎めなくていいの。仕返しはいらないってことね」
綺麗にさっぱり、婚約破棄する口実になるのだから!
『いいよー。このセトは何もしない』
「うん、それでお願い」
私は良かったと胸をなでおろす。
だから肝心なことをスルーしていたのだ。
セト、は。
セトが何もしなくても、彼以外の精霊は色々とやってしまうことをすっかりころっと、忘れていたのだ。
これについては申し訳ないことをしたな、と思う。
次の日の夜会で、私のあることないことを連ねて婚約破棄だ、と言った元婚約者。それはご両親に何も言わず勝手に自分で決めて、報告もせず言った事だった。
その理由をつらつらあげる元婚約者。私が彼の隣にいる令嬢をいじめたとかなんだかんだ。
でもね、それらの間、私は他国にいってたのよ?
どう考えても無理でしょう?
それは嘘だ、というけれど他国に嫁いだ姉に子が生まれたから会いに行ってたのだし。それについては姉の親友であった王女様からお手紙も預かったりとそういった面からも疑いようがない。
それを知らなかった元婚約者は嘘だなんだと喚いた。けれど彼の、というより。
彼の傍にいる男爵令嬢のぺらっぺらな嘘がはがれるのはすぐ。
彼の家での夜会は、彼の家のメンツをまるっと潰すような、そんな夜会になった。
私にはあんな男と婚約したかわいそうな令嬢、という肩書がついてしまったのだけど、それくらいならそのうちに消える。
それはそれで、置いといて。
そう、言葉通りセトは何もしなかった。けれど他の精霊達は三日三晩、彼の家と、彼の家の領地で荒れ狂い多大な被害をもたらした。
しかも局所的に。
どう見ても、やりすぎだという程に。
君の為なら何でもするよ精霊とやりすぎはこまるっていうの。
この後の展開思い浮かばない。
その令嬢にいつもよりそう精霊。
そんなはなし。
友人たちから、婚約者の不義を聞いたのは私が他国にお呼ばれして帰ってきた時だった。
そういえば、今日は友人たちの恒例の茶会の日。突然の訪問は通常なら失礼にあたるが今回は他国に赴いて土産があり、早く顔をみせたかったと言えばまぁなんとでもなる。そもそも仲の良い友人達の間では礼儀はあってないようなものだから気にすることではないのかもしれない。
帰りのその足で友人の屋敷に向かえば、やはりいつもの茶会は行われていた。
私が声をかけると皆驚いて、座りなさいと私の土産話より先に話が始まったのだ。
慌てる友人たちをどうどうといさめつつ話を聞くと、どうやら婚約者のそばに女がいるらしい。
ほほう、それで?
私が詳しくきくと、その女はどこぞの男爵の娘とのこと。
我が家は公爵。
格下の家の娘が、私の婚約者に手を出したと。しかも婚約者はその女に絆され、のせられ。
有る事無い事吹き込んで、私と婚約破棄する! と、息巻いているらしい。
いや、うん。
嘆くことはないのよ、皆。
そもそもこの婚約は、我が家が望んだものではない。
彼の家が、彼があまりにもあんぽんたんだから私に手綱を握って欲しいと願ったことなのだから。
私は破棄できるなら、願ったりなのだ。悪い人ではないけど、面倒だし。
しかし、彼のところに行く前に、父と母に話を通さなくては。
私は友人たちに断って、一度家へ。
父と母に確認して、好きにしなさいというお言葉を貰った。なお丁度、相手方の家で明日、夜会があるそうだ。私ももちろん、招かれている。
なんにせよ、父と母からのお許しはいただいたので問題ない。
ああ、許しを貰う相手はもうひとりいた。
しかし、彼の事を嫌っていたから大喜びするだろう。いや、もう知っているのだろうけども。
きっと知っていて、何も言わずに他国に同道したのだろう。
なるほど。旅の間、ご機嫌だった理由はこれだ。
私がどうするかまで、わかっているから。
「セト、いる?」
『はいはーい、何用かな?』
「何用もなにも……いえ、うん。私は明日、婚約者とお別れしようと思うの」
『うんうん、それでぇ?』
「余計なことはしないでくれる?」
『余計なこと?』
「そう! 報復とか、手を貸さないとかそういうの。これは好機だから咎めなくていいの。仕返しはいらないってことね」
綺麗にさっぱり、婚約破棄する口実になるのだから!
『いいよー。このセトは何もしない』
「うん、それでお願い」
私は良かったと胸をなでおろす。
だから肝心なことをスルーしていたのだ。
セト、は。
セトが何もしなくても、彼以外の精霊は色々とやってしまうことをすっかりころっと、忘れていたのだ。
これについては申し訳ないことをしたな、と思う。
次の日の夜会で、私のあることないことを連ねて婚約破棄だ、と言った元婚約者。それはご両親に何も言わず勝手に自分で決めて、報告もせず言った事だった。
その理由をつらつらあげる元婚約者。私が彼の隣にいる令嬢をいじめたとかなんだかんだ。
でもね、それらの間、私は他国にいってたのよ?
どう考えても無理でしょう?
それは嘘だ、というけれど他国に嫁いだ姉に子が生まれたから会いに行ってたのだし。それについては姉の親友であった王女様からお手紙も預かったりとそういった面からも疑いようがない。
それを知らなかった元婚約者は嘘だなんだと喚いた。けれど彼の、というより。
彼の傍にいる男爵令嬢のぺらっぺらな嘘がはがれるのはすぐ。
彼の家での夜会は、彼の家のメンツをまるっと潰すような、そんな夜会になった。
私にはあんな男と婚約したかわいそうな令嬢、という肩書がついてしまったのだけど、それくらいならそのうちに消える。
それはそれで、置いといて。
そう、言葉通りセトは何もしなかった。けれど他の精霊達は三日三晩、彼の家と、彼の家の領地で荒れ狂い多大な被害をもたらした。
しかも局所的に。
どう見ても、やりすぎだという程に。
君の為なら何でもするよ精霊とやりすぎはこまるっていうの。
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