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かみさまののろい
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大国の王様と小国の姫君的な
かみさま のろい ときかた
世界の作りは簡単で、中心は誰も入れぬ神域がある。
いうなれば『かみさま』の住む場所だ。
神域は一段高く、大瀑布の上にあるからこそ、誰も行けない世界。
そしてその大瀑布の落ちる先、水の恩恵を受けた世界は大小さまざまな国が広がっていた。
誇り高き『獅子』の国、狡猾なる『鴉』の国、平穏なる『白鳥』の国と、他にもさまざまな国があった。
その中の一つ――嘆きの『花鳥』の国が、私の住む国。
花鳥というのは、花の蜜を食して生きる鳥の事。それが私たちの祖先。
それがいつか人の形をとって、国を作った。
嘆きの、というのは神話の話の所以なのだけど、今はとりあえず横に置いておく。
私の国は、ちょっとした大雨と、ちょっとした災害でもって傾いていた。
ちょっとした、というのは本当に国の一部でのことなのだけど、それは国の食糧庫たる穀倉地帯でのことだった。
当然、飢えるものが出て、私の国は近隣で一番大きな、誇り高き『獅子』の国に助けを求めた。
誇り高き『獅子』の国の王様は、すぐさま民のためにと手を差し伸べてくださった。
その王様にお礼をすべく、今この国へとお招きしている。
王様は25歳。結婚相手をお探しのようだ。
だから、私の国の、王家の結婚適齢期のお嬢さん達は色めき立っている。私以外は、だけど。
姉たちは数日前から自分を磨きあげることに余念がない。私も最低限、見目は整えている。
逆に、もう結婚している姉や兄から、なんて色気のない! とおしかりを受けているくらいだ。
いいじゃない、別に。自然体で。
けれど、お役目としてそうも言ってはいられず、ちゃんとドレスを着て、髪を整えて、化粧をして。
彼の王様を歓迎するパーティーに出ていた。
「もう帰りたいって顔してるね」
「うん……お部屋に帰りたいよぅ……」
我慢しなよと言いながら私をエスコートしてくれているのは、私の異母兄。ちなみに年齢差は、たったの三か月!
私の父上は、とっても子だくさんで。私には腹違いの兄や姉や弟や妹がたくさんいる。
全員がとっても仲良し! というわけではないけど。毒殺してしまおう! とかそういう考えは全くない。
すごく、和が王家は平穏なのだ。ただちょっと政治能力が低いのはと思うけど。
だからこそ、ちょっとした大雨と、災害への対処が遅れたのだから。
けど、この兄はそう言う部分が聡い。次の王が誰になるかはまだわからないけど、きっと補佐して色々補ってくれるだろう。
「そういえば、王様にはもうお会いした?」
「ううん、まだ。綺麗な金髪で凛々しくてイケメンだったってお姉さまたちははしゃいでたけど」
「うん。側妃でも、お嫁入りできれば大国で暮らせるからね」
こんな田舎よりは心躍るものがあるんじゃないかなと兄は言う。
私は、その気持ちがよくわからない。確かにこの国は田舎の小国だけど自然はたくさんあるし。
とっても暮らしやすい。
大国なんかに行って、政治の世界にうっかり巻き込まれちゃったら対処できないわよ、お姉さま方! と、思うのだけど。
そこまで頭が回らないからこそ、嘆きの『花鳥』の国の姫なのだと思う。
まぁ、つまり。面倒な裏工作なんてない平和ボケした国なのだ。
私も難しい事わからないからぽわぽわっと、過ごしていたい。
「あ、いらっしゃるみたい」
会場に響き渡るファンファーレ。それから歌。
お父様とともに入ってこられた、輝くばかりの金糸に力強い赤茶の瞳。
輝ける獅子――確かに、私はそう思った。
お父様と王様が歩んでいく。私達はその歩みにあわせて礼をしていく。
私と兄もそれに合わせて頭を下げたのだけど、ふと。
ざわめきが近づいてくるような。
何かな、と思って瞳開けると、目の前に足。
うん?
「面をあげて、貰えるかな」
聞いたことのない声。私がそろりと顔をあげると目の前には王様がいらっしゃった。
なんで、どうして。
王様は私を見るなり、あなただと零して跪いた。
「花も何もなくて申し訳ない。しかしここに私のすべてをもって、貴女に冀おう」
ぞわりとする感覚があった。
見上げられる私、見下ろす私。
王様は綺麗な笑みを浮かべて、言の葉を紡ぐ。
「誇り高き『獅子』の国の主たる私ではなく、私個人として……貴女を伴侶に迎えたい」
「え、いやです」
その恐ろしい言葉に、私は何も隠すことなく即答してしまった。
隣の兄は、ああーと声零し。私を見上げる王様は瞬いた後に、苦笑していた。
「では、お友達から」
え、どうすればいいの?
そもそも伴侶にとか言われた相手に、お友達からと言われても本当にー? って思うんだけど。
あと、お姉さまたちからの視線がとっても怖い。
兄に軽くつつかれて、私はそれならと頷いた。
王様はまた後でと言って、お父様の傍へと戻る。
うん。お部屋に帰って、いいかしら?
ここから始まる王様の攻撃。
みたいな。
王様は神様からありがたい呪いを頂いていて。
全身真っ黒になって死ぬ、みたいな呪いなんだけどそれは神話時代の獅子さんの咎。
しかしそれを許してくれるのは、心より愛する相手から心より愛する言葉をもらうとかそういうので。
主人公はこの後、王様の国に拉致(語弊)されてそれで、神話の色々も知りつつ、
王様のことを好きに……好きに……なる(多分)
神話時代の嘆きの花鳥ちゃんもまたいろいろある感じ。
昔書いてるというか今も色々練ってるお話をちょっと、色々いじってみたけど元の話の方が面白い気がする。
かみさま のろい ときかた
世界の作りは簡単で、中心は誰も入れぬ神域がある。
いうなれば『かみさま』の住む場所だ。
神域は一段高く、大瀑布の上にあるからこそ、誰も行けない世界。
そしてその大瀑布の落ちる先、水の恩恵を受けた世界は大小さまざまな国が広がっていた。
誇り高き『獅子』の国、狡猾なる『鴉』の国、平穏なる『白鳥』の国と、他にもさまざまな国があった。
その中の一つ――嘆きの『花鳥』の国が、私の住む国。
花鳥というのは、花の蜜を食して生きる鳥の事。それが私たちの祖先。
それがいつか人の形をとって、国を作った。
嘆きの、というのは神話の話の所以なのだけど、今はとりあえず横に置いておく。
私の国は、ちょっとした大雨と、ちょっとした災害でもって傾いていた。
ちょっとした、というのは本当に国の一部でのことなのだけど、それは国の食糧庫たる穀倉地帯でのことだった。
当然、飢えるものが出て、私の国は近隣で一番大きな、誇り高き『獅子』の国に助けを求めた。
誇り高き『獅子』の国の王様は、すぐさま民のためにと手を差し伸べてくださった。
その王様にお礼をすべく、今この国へとお招きしている。
王様は25歳。結婚相手をお探しのようだ。
だから、私の国の、王家の結婚適齢期のお嬢さん達は色めき立っている。私以外は、だけど。
姉たちは数日前から自分を磨きあげることに余念がない。私も最低限、見目は整えている。
逆に、もう結婚している姉や兄から、なんて色気のない! とおしかりを受けているくらいだ。
いいじゃない、別に。自然体で。
けれど、お役目としてそうも言ってはいられず、ちゃんとドレスを着て、髪を整えて、化粧をして。
彼の王様を歓迎するパーティーに出ていた。
「もう帰りたいって顔してるね」
「うん……お部屋に帰りたいよぅ……」
我慢しなよと言いながら私をエスコートしてくれているのは、私の異母兄。ちなみに年齢差は、たったの三か月!
私の父上は、とっても子だくさんで。私には腹違いの兄や姉や弟や妹がたくさんいる。
全員がとっても仲良し! というわけではないけど。毒殺してしまおう! とかそういう考えは全くない。
すごく、和が王家は平穏なのだ。ただちょっと政治能力が低いのはと思うけど。
だからこそ、ちょっとした大雨と、災害への対処が遅れたのだから。
けど、この兄はそう言う部分が聡い。次の王が誰になるかはまだわからないけど、きっと補佐して色々補ってくれるだろう。
「そういえば、王様にはもうお会いした?」
「ううん、まだ。綺麗な金髪で凛々しくてイケメンだったってお姉さまたちははしゃいでたけど」
「うん。側妃でも、お嫁入りできれば大国で暮らせるからね」
こんな田舎よりは心躍るものがあるんじゃないかなと兄は言う。
私は、その気持ちがよくわからない。確かにこの国は田舎の小国だけど自然はたくさんあるし。
とっても暮らしやすい。
大国なんかに行って、政治の世界にうっかり巻き込まれちゃったら対処できないわよ、お姉さま方! と、思うのだけど。
そこまで頭が回らないからこそ、嘆きの『花鳥』の国の姫なのだと思う。
まぁ、つまり。面倒な裏工作なんてない平和ボケした国なのだ。
私も難しい事わからないからぽわぽわっと、過ごしていたい。
「あ、いらっしゃるみたい」
会場に響き渡るファンファーレ。それから歌。
お父様とともに入ってこられた、輝くばかりの金糸に力強い赤茶の瞳。
輝ける獅子――確かに、私はそう思った。
お父様と王様が歩んでいく。私達はその歩みにあわせて礼をしていく。
私と兄もそれに合わせて頭を下げたのだけど、ふと。
ざわめきが近づいてくるような。
何かな、と思って瞳開けると、目の前に足。
うん?
「面をあげて、貰えるかな」
聞いたことのない声。私がそろりと顔をあげると目の前には王様がいらっしゃった。
なんで、どうして。
王様は私を見るなり、あなただと零して跪いた。
「花も何もなくて申し訳ない。しかしここに私のすべてをもって、貴女に冀おう」
ぞわりとする感覚があった。
見上げられる私、見下ろす私。
王様は綺麗な笑みを浮かべて、言の葉を紡ぐ。
「誇り高き『獅子』の国の主たる私ではなく、私個人として……貴女を伴侶に迎えたい」
「え、いやです」
その恐ろしい言葉に、私は何も隠すことなく即答してしまった。
隣の兄は、ああーと声零し。私を見上げる王様は瞬いた後に、苦笑していた。
「では、お友達から」
え、どうすればいいの?
そもそも伴侶にとか言われた相手に、お友達からと言われても本当にー? って思うんだけど。
あと、お姉さまたちからの視線がとっても怖い。
兄に軽くつつかれて、私はそれならと頷いた。
王様はまた後でと言って、お父様の傍へと戻る。
うん。お部屋に帰って、いいかしら?
ここから始まる王様の攻撃。
みたいな。
王様は神様からありがたい呪いを頂いていて。
全身真っ黒になって死ぬ、みたいな呪いなんだけどそれは神話時代の獅子さんの咎。
しかしそれを許してくれるのは、心より愛する相手から心より愛する言葉をもらうとかそういうので。
主人公はこの後、王様の国に拉致(語弊)されてそれで、神話の色々も知りつつ、
王様のことを好きに……好きに……なる(多分)
神話時代の嘆きの花鳥ちゃんもまたいろいろある感じ。
昔書いてるというか今も色々練ってるお話をちょっと、色々いじってみたけど元の話の方が面白い気がする。
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