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ナギ

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とかげのしっぽ

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ファンタジー
どじったマフィアか悪系ギルドかなんかの末端少年
それを拾った良い所のお嬢さん



【神様視点】
 その少年は路地裏で倒れていた。
 薄暗いゴミだまりのような路地裏でだ。そこは人も寄らぬような場所。
 腹の刺し傷からだくだくと血がながれ、ああこれは死ぬなと、少年は思っていた。このままゆっくりと瞳を閉じればきっと、と。
 しかし、そこで少年は死ねなかった。
 気づけば暖かなベッドの中。手が動くことを確認して、そろりと腹を撫でると布――包帯の感触だ。
 助けられた? あんなゴミだまりのような所に来るものがいるのかと薄ら笑う。
 しかし、今生きているのは事実。ころりと転がることもできぬほどに痛い身体の存在に、何があったのかを思い出す。
 自分は失敗をして、そして腹を刺され、そしてあの高いぼろアパートの上から落ちた。
 運よく、生きてはいたがいずれは死ぬと放っておかれたのだ。
 けれど、生きている。
「はは」
 思わず零れた声。
 しかし、誰が、どうして助けたのかはわからない。見える範囲に視線を巡らせる限りでは、相当良い家なのだろう。
 そんな家のものが、自分を助けるなんて相当、酔狂な相手なのだろうなと思った。
 今すぐその相手を知る事はできない。だから少年は瞳を閉じて寝入った。
 まぁ、そのうちわかるだろうと。


【少年視点】
 ばふっと、己を受け止める感覚。
 あ、まだ生きてる。
 けれど腹は熱い。さされた場所が熱い。
 手を当てればぬるりとした感触。それは間違いなく、血だ。
 ああ、俺死ぬなぁ。
 なんで刺されたんだっけ?
 記憶をたぐって思い出すのは、そうだ。俺は裏切られた。
 裏切られて、しっぽ切りをされた!
 俺は歯噛みして、そいつを思い浮かべる。この怒りで命を長らえさせる事ができるはず。
 そう思ったが、そんなに俺の受けた傷は甘くはなかった。
 止まらない血に身体の感覚が薄く、遠くなっていく。
 これはだめだ、俺は死ぬ。もういいか、別に良い人生だったわけでもない。
 このまま目を閉じればきっと死ねる。
 そう思って瞳を閉じた。
 閉じたはず、だったんだが。
 生きてる。
 ふかふかの清潔なベッド。ああ、手も動く。
 腹は、と撫でれば手当がしてある。包帯が巻いてある。
 誰が、何のために。
 そもそもあそこは見つかりにくい場所だろう。なんだこれ。
 俺は、そう。追い詰められて、そして腹刺されて、落ちて。ゴミだまりに受け止めてもらってそこでは、死ななかった。
 けど、血は止まりそうになかったし時間の問題だったはずだ。
 でも、生きている。
「はは」
 生きてる。
 その実感が、こみ上げてきた。
 何にせよ、助けてもらった相手に礼は言わなければいけない。
 助ける価値も無いような相手を助けた、そんなやつはきっとまともじゃない。
 どんな酔狂な相手がでてくるのか。すぐに知るすべは、今の俺にはないからおとなしくしていよう。
 もう一眠り、もう少し、微睡もう。


【お嬢視点】
 私の趣味は、庶民の格好をして街を歩くことだ。
 大体執事やら何やらには後で怒られるけども。
 それでも、これはやめられない。
 今日も今日とて、その時間。
 いつも通り、街の露店で果物一つ買って。それから、花屋で花を愛で。
 街をひとまわりしてさぁ、帰ろうと思った時のこと。
 視界の端に赤い色が見えた。
 赤? と思って私はその路地裏を覗きこんだ。
 錆びた匂いが微かにする。あの赤は、血だ。
 人が、倒れている。
 死んでいたなら放っておくつもりだったけど、近寄ってみればまだ生きている。
 なんとか、というところだけど。
 見つけてしまったなら、仕方ない。
 私はその、何者かもわからぬ怪我をした少年を背負った。あ、重い。
 あれ、この態勢大丈夫かな、傷口ぶしゃってならないかな?
 まぁ、いいか。
 そう思って路地をでた瞬間、いつも私が撒いている者達に見つかった。
 彼等は少年を私から奪って、我が家に連行する。
 うぅん、これは怒られそうだ。
 けれど人の命ひとつ、救えたのは良い事だと思う。




破天荒系のお嬢の予感しかなかった。
この後、お前をわたしの下僕にしてやる!
とかで、お嬢の命を狙いに来る相手とバトル展開じゃないかな…
しかしここまでかいて続きがないな、と思ったので打ち止め。
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