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昼行燈と令嬢
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常々思っている。
本当にあんなテンプレ馬鹿な存在は、成長する過程において生まれいでるのかと。
タイトル通り、昼行燈な王子と令嬢。
というより私テンプレ馬鹿かけないなと思っただけの。
我が国の王子は、とても馬鹿なのだ。見目は良いのに、馬鹿なのだ。
私は彼の婚約者候補筆頭らしいのだけど、正直勘弁してほしい。
だって勘違いなのだもの。
お前、俺の事が好きなんだろう? 喜べ、俺の妻にしてやる! と仰りますが私は好きではありません。
勉強もできませんし、権力を使い授業に出ず、周囲に人を侍らせて過ごしている。
本当に顔が良いだけ、なのです。
今日もほら。
学園の食堂で大騒ぎ。これはまずいとか、ちょっとぶつかっただけで無礼な、とか。
私がお前の頭をしばいてやろうか、と令嬢らしからぬことを思ってしまう程度には、あの方は駄目なのです。
ええ、本当に。
私は、あの方を更生させてほしいと傍につけられましたが、無理です。
どう考えても無理です。
本当に、無理。
「鬱だ死にたい、恥ずかしい、本当に苦行なんだがどうしたらいい」
「そうは言われましても」
「愚か者を演じるのにもほどがあるが私はやりすぎているのではないだろうか」
「いえいえ、あれくらいやりませんと王子の聡明さが際立ってしまいますので」
「私は気がふれた男を演じているような気がするのだが」
「大丈夫です、許容ラインです」
本当か? と私は思う。
人前で、あんなふうに騒いではしゃいで。無意味に人をののしり、そして嘲笑う。
とても恥ずかしいことをしている。穴があったら入りたい隠れたい。
「しかし、あれくらいせねば王子はお命を狙われてしまいます故」
「……私が愚か者だと示していれば、第二王妃は我が子に王位が転がると満足だろうしな……」
実際、周囲も私に王位を与えるのは、と思っている。そして、私の継承権はそろそろ無くなるだろう。
王族籍を剥奪し、身一つで放り出して欲しいものだ。
そのための準備はすでに終えているのだから。
「……お前にも迷惑をかける」
「いえ。これはあなたの御母上とのお約束でもありますし」
「そうだったな。お前は母上と、私の味方だ……しかし、彼女にも申し訳ないことをしているな。また、匿名で花を贈ってくれ」
「困ったような、悲しいような、そんなお顔をされますね」
「ああ……うん。私は彼女が好きなのだよ。だから、あんな一方的に怒鳴ったりなど、本当に心苦しい。こんな真似をしなくて良ければ、妻に望んでいただろう」
それに彼女が応じてくれるかは、わからないのだが。
彼女は私をたしなめるたびに諦めきった顔をする。この方には何を言っても、無駄なのだと。
高位貴族である彼女は幼いころから多彩な教育を受けていると聞く。
きっと、第二王妃は我が子の妻に彼女をと言うだろう。
私は王位はいらないが、それはなんとなく悔しいものがある。こんな、愚か者を演じていなければきっと、私は正面から彼女に向き合っていただろう。
「王位はいらぬが、彼女は欲しい」
「でしたら王子、王子をおやめになった後、名を変えて会いに行かれては?」
「そうできたらいいが……彼女は貴族で私は平民だ」
会う機会はないだろうと、私は思う。
何にせよあと少し。私の廃嫡が決まるまで、私は愚か者を演じるだけなのだ。
王位よりもなによりも、命の方が大事なのだから。
本当はバリバリ何でもこなせる系王子が、継承問題で愚か者を演じている。
それは誰にもさとられていない。
多分そんなかで何か事件がおこって、令嬢ちゃんにそれがばれて。
みたいな展開になるんだと思うけど最後まで書ききるためのその事件が思い浮かばないのでした。
王道で小さいころに会ってるみたいなのもいれられそう。
本当にあんなテンプレ馬鹿な存在は、成長する過程において生まれいでるのかと。
タイトル通り、昼行燈な王子と令嬢。
というより私テンプレ馬鹿かけないなと思っただけの。
我が国の王子は、とても馬鹿なのだ。見目は良いのに、馬鹿なのだ。
私は彼の婚約者候補筆頭らしいのだけど、正直勘弁してほしい。
だって勘違いなのだもの。
お前、俺の事が好きなんだろう? 喜べ、俺の妻にしてやる! と仰りますが私は好きではありません。
勉強もできませんし、権力を使い授業に出ず、周囲に人を侍らせて過ごしている。
本当に顔が良いだけ、なのです。
今日もほら。
学園の食堂で大騒ぎ。これはまずいとか、ちょっとぶつかっただけで無礼な、とか。
私がお前の頭をしばいてやろうか、と令嬢らしからぬことを思ってしまう程度には、あの方は駄目なのです。
ええ、本当に。
私は、あの方を更生させてほしいと傍につけられましたが、無理です。
どう考えても無理です。
本当に、無理。
「鬱だ死にたい、恥ずかしい、本当に苦行なんだがどうしたらいい」
「そうは言われましても」
「愚か者を演じるのにもほどがあるが私はやりすぎているのではないだろうか」
「いえいえ、あれくらいやりませんと王子の聡明さが際立ってしまいますので」
「私は気がふれた男を演じているような気がするのだが」
「大丈夫です、許容ラインです」
本当か? と私は思う。
人前で、あんなふうに騒いではしゃいで。無意味に人をののしり、そして嘲笑う。
とても恥ずかしいことをしている。穴があったら入りたい隠れたい。
「しかし、あれくらいせねば王子はお命を狙われてしまいます故」
「……私が愚か者だと示していれば、第二王妃は我が子に王位が転がると満足だろうしな……」
実際、周囲も私に王位を与えるのは、と思っている。そして、私の継承権はそろそろ無くなるだろう。
王族籍を剥奪し、身一つで放り出して欲しいものだ。
そのための準備はすでに終えているのだから。
「……お前にも迷惑をかける」
「いえ。これはあなたの御母上とのお約束でもありますし」
「そうだったな。お前は母上と、私の味方だ……しかし、彼女にも申し訳ないことをしているな。また、匿名で花を贈ってくれ」
「困ったような、悲しいような、そんなお顔をされますね」
「ああ……うん。私は彼女が好きなのだよ。だから、あんな一方的に怒鳴ったりなど、本当に心苦しい。こんな真似をしなくて良ければ、妻に望んでいただろう」
それに彼女が応じてくれるかは、わからないのだが。
彼女は私をたしなめるたびに諦めきった顔をする。この方には何を言っても、無駄なのだと。
高位貴族である彼女は幼いころから多彩な教育を受けていると聞く。
きっと、第二王妃は我が子の妻に彼女をと言うだろう。
私は王位はいらないが、それはなんとなく悔しいものがある。こんな、愚か者を演じていなければきっと、私は正面から彼女に向き合っていただろう。
「王位はいらぬが、彼女は欲しい」
「でしたら王子、王子をおやめになった後、名を変えて会いに行かれては?」
「そうできたらいいが……彼女は貴族で私は平民だ」
会う機会はないだろうと、私は思う。
何にせよあと少し。私の廃嫡が決まるまで、私は愚か者を演じるだけなのだ。
王位よりもなによりも、命の方が大事なのだから。
本当はバリバリ何でもこなせる系王子が、継承問題で愚か者を演じている。
それは誰にもさとられていない。
多分そんなかで何か事件がおこって、令嬢ちゃんにそれがばれて。
みたいな展開になるんだと思うけど最後まで書ききるためのその事件が思い浮かばないのでした。
王道で小さいころに会ってるみたいなのもいれられそう。
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