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私はこの日を繰り返す
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悪役令嬢
えんどれすする世界
悪夢
いつも、そう。
私はこの悪夢を繰り返している。これから脱することが、できない。
彼女が王子と幸せになっても。
国に仕えるある騎士と幸せになっても。
どこぞの商家の男と幸せになっても。
他の誰と幸せになっても――私は死ぬ。
多くの人々の前にさらされてぼろぼろの服を着せられ、そして首を撥ねられるのだ。
何も、していないのに。
最初は、そう。この繰り返しに気付いた時にこれから脱却しようと努力をした。
でも何をしても無駄だと知ったのは、一体何度繰り返したあとか。
家にこもって誰とも出会わなくても、私は彼女に対して悪事を働いたと言われる。
私は何度も何度も、断罪を受けているのだ。
そしてまたそろそろ、その時がやってくる。
それはいつも17歳の冬の終わり、春の始まりの頃だ。
気鬱。何を食べても味はしない。楽しいことなどなにもない。
父と母は部屋にこもる私を心配し、けれど悪いうわさが聞こえてきたらどういう事だという。
でも、私はずっと家にいたでしょう?
それで何かしたというの? と、問うと確かにと黙るのだけども。
どうしたらこの終わりのない繰り返しからぬけだせるのかしら。
その方法はわからない。誰も知らないのは、わかる。
どうしたら、いいのかしら。
自分で命を絶つと、次の巡りで一層ひどいことになる。
だから私は何もしない、という選択肢をここ最近、ずっと選んでいる。
無為に過ごした17年だったなと、毎回思うのだけれど。
ああ、ほら。
最後の時を知らせる、夜会への招待状。
これに応じないと、この家もろとも潰される。私が行けば、この家は何とか残るのだ。
育ててくれた恩として、そうはさせたくはない。
終わりのない終わりしかなくて、私は自嘲するように笑み零した。
終わらない。
まただ、あの女がまた死ぬ。
全部の罪を被って、また死ぬ。
僕の仕事は彼女の首を撥ねる事。数度、そうしなかった時もある。
処刑人の僕は、彼女のその時をいつも心待ちにしていた。
彼女の命を奪う一瞬は、酷く甘い。恍惚。
彼女のことを一番しっているのは、僕だと思う。
またあの時が巡ってくる。
いとしいいとしい、逢瀬の瞬間。
彼女が諦めきったのはいつからだろうか。
彼女が死んで、僕はまだ生きなければいけない。そして終わりを迎えて、また始まりを迎える。
成長するうちに、繰り返しに気付いて、そして彼女への気持ちも膨らむ。
もうすぐ、また彼女に会える。
けれど、彼女は絶望の底に沈んで、瞳にはもう輝きがない。
もしかして、彼女はこの繰り返しに気付いているのだろうか。
そう、思ってしまって。
僕は彼女に尋ねてしまった。
ねぇ、今、何度目と。
命を絶つ、瞬間に。
瞳見開いた彼女。次の生では、どうするのだろうか。
死ぬ間際に会える恋人同士、みたいな。
この後、次の巡りで彼女は同じように繰り返している人がいるって処刑人を探す。
処刑人はでてこない。というより、自分だとは明かさない。
けれど、処刑人の登場かなんかで、ちょっとかわってきて。
首を撥ねるのが発生せずに、天寿全う――とみせかけて。
どうして死んでくれないのって処刑人が最後でてくるエンドの予感。
繰り返し系はむずかしいかも。
えんどれすする世界
悪夢
いつも、そう。
私はこの悪夢を繰り返している。これから脱することが、できない。
彼女が王子と幸せになっても。
国に仕えるある騎士と幸せになっても。
どこぞの商家の男と幸せになっても。
他の誰と幸せになっても――私は死ぬ。
多くの人々の前にさらされてぼろぼろの服を着せられ、そして首を撥ねられるのだ。
何も、していないのに。
最初は、そう。この繰り返しに気付いた時にこれから脱却しようと努力をした。
でも何をしても無駄だと知ったのは、一体何度繰り返したあとか。
家にこもって誰とも出会わなくても、私は彼女に対して悪事を働いたと言われる。
私は何度も何度も、断罪を受けているのだ。
そしてまたそろそろ、その時がやってくる。
それはいつも17歳の冬の終わり、春の始まりの頃だ。
気鬱。何を食べても味はしない。楽しいことなどなにもない。
父と母は部屋にこもる私を心配し、けれど悪いうわさが聞こえてきたらどういう事だという。
でも、私はずっと家にいたでしょう?
それで何かしたというの? と、問うと確かにと黙るのだけども。
どうしたらこの終わりのない繰り返しからぬけだせるのかしら。
その方法はわからない。誰も知らないのは、わかる。
どうしたら、いいのかしら。
自分で命を絶つと、次の巡りで一層ひどいことになる。
だから私は何もしない、という選択肢をここ最近、ずっと選んでいる。
無為に過ごした17年だったなと、毎回思うのだけれど。
ああ、ほら。
最後の時を知らせる、夜会への招待状。
これに応じないと、この家もろとも潰される。私が行けば、この家は何とか残るのだ。
育ててくれた恩として、そうはさせたくはない。
終わりのない終わりしかなくて、私は自嘲するように笑み零した。
終わらない。
まただ、あの女がまた死ぬ。
全部の罪を被って、また死ぬ。
僕の仕事は彼女の首を撥ねる事。数度、そうしなかった時もある。
処刑人の僕は、彼女のその時をいつも心待ちにしていた。
彼女の命を奪う一瞬は、酷く甘い。恍惚。
彼女のことを一番しっているのは、僕だと思う。
またあの時が巡ってくる。
いとしいいとしい、逢瀬の瞬間。
彼女が諦めきったのはいつからだろうか。
彼女が死んで、僕はまだ生きなければいけない。そして終わりを迎えて、また始まりを迎える。
成長するうちに、繰り返しに気付いて、そして彼女への気持ちも膨らむ。
もうすぐ、また彼女に会える。
けれど、彼女は絶望の底に沈んで、瞳にはもう輝きがない。
もしかして、彼女はこの繰り返しに気付いているのだろうか。
そう、思ってしまって。
僕は彼女に尋ねてしまった。
ねぇ、今、何度目と。
命を絶つ、瞬間に。
瞳見開いた彼女。次の生では、どうするのだろうか。
死ぬ間際に会える恋人同士、みたいな。
この後、次の巡りで彼女は同じように繰り返している人がいるって処刑人を探す。
処刑人はでてこない。というより、自分だとは明かさない。
けれど、処刑人の登場かなんかで、ちょっとかわってきて。
首を撥ねるのが発生せずに、天寿全う――とみせかけて。
どうして死んでくれないのって処刑人が最後でてくるエンドの予感。
繰り返し系はむずかしいかも。
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