短編詰め合わせ

変な声しかでない

超どいなかから出てきた令嬢のはーとふるすとーりー（嘘）


　完璧な礼を、したのです。
　したのですが、それは何だというような視線を向けられる。
　私はこの視線の意味がまったく、わからなかったのです。
　それを救ってくださったのは王太子殿下でした。
「はは、すばらしい礼だね。そんな礼を目にするとは、思わなかったよ」
　私は顔をあげ、にっこりと微笑む。
　すると王太子殿下は面食らったような顔をして、参ったなと零されたのです。
　そしてこちらに、とエスコートされ私はテラスへと連れ出されたのです。
　周囲からはきゃあきゃあと令嬢たちの声。
「色々と面倒だから、さらっと話すけどね」
「はい」
「君のその、見事な礼も、何もかも――すでに王都ではすたれてしまったものなのだよ」
「仰っている、意味が……」
「うん。わからないだろうね。こういった夜会もね、フランクなものなんだよ。本当に遊ぶだけで、貴族の思惑も何もない」
　君がいたところは、ど田舎だからねぇと王太子殿下は苦笑され。
「つまり時代遅れなんだよ、君のその、振る舞いすべてが。そのドレスだって、豪奢に飾り立てて馬鹿ではないのか、というところかな」
「……本当に、ですか」
「ああ。令嬢達の服装を見てごらん。もっとスカートも軽いだろう」
「そう、ですわね……」
「……君はこういう夜会が、政治的な思惑の絡む場所だと思ってたんだろうけど、そうじゃない。これは若者が集って……気楽に恋を楽しむ夜会だからね」
「え？」
「簡単に言うと……うん、一夜の相手を探す会」
　ふらりとよろめく。
　何をお仰ってるのかわからなくて、私はなにそれと思わず変な声を零した。
「……１０年ぶりに会ったけど、綺麗になったね」
「え？　あ……あの、覚えて？」
「ああ。あんなど田舎にいっていろんな体験したこと、忘れるわけないだろう。俺のお転婆姫」
「っ！」
「さて、お転婆姫。ここは一夜の相手をと俺は言ったわけだが……一夜と言わずずっとお願いしたい」
　さきほどまでにこにこしていたというにに。
　王太子殿下の瞳がぎらつく。変貌、というのが一番しっくりくるのでしょう。
　するりと私の手をとって、引き寄せると腰を抱く。
　さぁどうする、とその瞳は問いかけてきました。





世界から隔絶されたようなど田舎の辺境貴族がいろいろあって王都に出てきて
夜会に出席しないといけなくて
ばりばりのごてごてで出陣したらみんなにひそひそされる。
そこに現れた王太子が助けてくれた、のか…みたいな。
ど田舎ちゃんは古き良き貴族の色々を叩きこまれているので、王都などのちゃらい貴族と？？？？ってなる。そんな話。
王都の皆様は自由ですね、と思うど田舎ちゃんは古き良きもちゃんと理解している王太子と昔あってる。
きっと結婚しよみたいな約束してるけどど田舎ちゃんは忘れてるやつ。