7 / 33
幻獣がいない
しおりを挟む
ここしばらく、幻獣の気配がない。
ブランシュはそのことに気付くととても楽しい気持ちになった。
けれどそれは最初の1日目は、だった。2日目にはどうしたのかしら、と少し気になり。3日目には何かあったのかしら、と心配になった。
毎日話しかけてきた存在がいない。それはあの幻獣の声を最初に聞いてから初めてのことだった。
心にざわつくものが、生まれている。
しかし、これはこれで好都合かなとも、この三日間の事を振り返って思った。
ブランシュは学園の生徒から妬みを受けていた。最初は珍しい転入生とちらちらみられており、この学園には三つの派閥があるとそれぞれから声をかけられた。
それはどの派閥に入るのかという勧誘だった。
ブランシュは曖昧に誤魔化せばよかったものを、どこも選ばないと公衆の面前で告げてしまった。貴族の社会にもう少し踏み込んでいればどうするのが問題がないか理解しうまくかわせたのだろうが、ブランシュは引きこもっていた。
人との付き合いは下手だったのだ。ここで、断るまでならよかったのだがさらに踏み込んでそんな派閥など馬鹿らしいとまで言ってしまったのだ。
それをきいた三人の王子たちがまた面白がって、直接会いに来たのだから妬み嫉みは一気に募った。
そして嫌がらせが始まった。ブランシュにしてみればかわいいものだなというくらいだったので特に気にはしなかったが、幻獣が見ていたなら怒っただろう。
しかし、その発言の嫌がらせが悪化することがあったのだ。
三人の王子たちが声をかけてくる。それもしつこいほどに。
これは口説かれているのだろうか、とブランシュは考えてみたが、面倒になって考えることを放棄した。
授業にでれば彼らと会う。
だから今日もさぼろうとブランシュは校舎に背を向けた。
そう思ったのは、先程水をかけられたからだ。朝食をとろうとした食堂で、ピッチャーに入った水をばしゃりと。
泥水などではない、濡れただけだ。乾けば問題ないが、それは朝食をとる気も、教室に向かう気もなくすには十分だった。
人気のない方に自然と足は向き、あのレンガの建物にたどり着く。
今日も入口の鍵は閉まっている。しかし、少し高いところにある窓が開いていた。
背伸びをすれば中が見える。そこはどうやら、図書館のような場所らしい。
どんな場所なのか知ることかできてブランシュは少し楽しい。
そのまま、少し行儀が悪いかしらと思いつつ腰を下ろした。
土の上に腰を下ろすのは久しぶりだ。
「はぁ……いやがらせなんて子供みたいな……もう寮の部屋に引きこもろうかしら」
ひとりごちながら濡れた髪を引っ張る。風が吹けば少し肌寒いような気もしないでもない。
「今度同じことされたらやり返してやるわ。ピッチャーでばしゃっと2発よ! ……くしゅっ! うう、けどさすがに体を拭かずにきたのは馬鹿だったわ」
「ははっ、勇ましいことで」
「!?」
突然の声は頭の上から。
窓の中からだ。誰か中に、いるらしい。
「びしょ濡れらしいな。少しそこで待て」
響くのは落ち着いた男の声。この声は聞いたことはないとブランシュは思う。
何者かはわからないが敵意は感じない。ブランシュがそこでじっとしていると使えとばかりにタオルが視界の中に映った。
「ありがとう。お返しは何もできないわよ」
「そんなのは求めていない。遠慮なく使え」
苦笑するような声色。ブランシュはタオルを受け取り、髪を拭く。
「あなたがどちら様か、お尋ねしても?」
「尋ねてもいいが、答えるとは限らない」
「答えたくないのね、聞かないわ」
ブランシュは、わたしに名を教えて知り合うと面倒なことに巻き込まれるとわかっているのだろうなと、思う。
確かに、気まぐれかもしれないが優しさを向けてくれた人を巻き込むのはいただけない。
そう、思ったのだが。
「……困っているなら助けることはできるが」
その言葉はブランシュのことを知っており向けられたものなのだと感じた。
しかしそれにからかうようなものや、だまそうとするような。そういった嫌なものは無い。
真摯なものだとブランシュは感じた。
「名乗れないのに?」
「名乗ると、逆に俺が君を巻き込む」
ブランシュはなるほど、と思う。
顔の見えない窓際の男は、逆に巻き込むと言った。
巻き込まれるではなく。
つまり、この国の王子たちがブランシュをつついているこの状況をさらにややこしくしてしまう。
そういう立ち位置の人間なのだと察した。
「本当に、どうしてもどうにもならない。そんな時はお願いするわ」
「ああ」
「けど、名前がないと不便よ! わたしはあなたを、窓際さんと呼ぶわ」
「……その口ぶりは、またここにきて俺と話す、ということか?」
「ええ。わたしといまのところ、日常会話してくれるのは食堂のおばさまたちと、残念ながらあの王子たちだけなの」
実際は、あとひとり。顔は知らないが話しかけてくるものもいるが今は除外とブランシュは思う。
「あとひとりくらい増えてもいいかなと思ってたのよ」
「俺はいつもここにいるわけじゃない」
「逆にいつもいたら怖いわ」
「たまたま、いたときなら君の気の済むまで話し相手になろう」
仕方ないというような声色。しかし、楽しそうでもある。
ブランシュは名乗っていなかったわねと名を紡ごうしたのだがそれは制された。
自分だって窓際さんだ。君もあだ名にしようと。
「可憐で素敵な呼び名を考えてね」
「窓際さんの君がそれを言うのか……」
「だってわたしは、女の子よ」
どうしてそこにつながるのかわからないと窓際さんは言う。
すぐには思いつかないから、考えておくよと。
そう、窓際さんが返したところでくぎゅうと。かわいらしい音が鳴った。
それはブランシュの体が空腹を訴えるもの。
「……あ、朝ごはんを……食べてないからよ」
「なら食べに行くと言い。今はもう誰もいないだろうさ。食堂は、この建物の裏手から細い道がある。それを辿ればいい」
そんな道があったの、とブランシュは瞬く。道と言っても俺が作った獣道だと窓際さんは笑う。
ブランシュは使わせていただくわと告げ、タオルは今度返すわと言う。
そのまま返してくれて良いと窓際さんは言うのだがブランシュとしては認められない。
次の機会にと約束して裏手に回った。
その姿が見えなくなって、窓際さんとブランシュが呼んだ男は笑い零した。
「なかなか言うやつだな。この国の王子たちが本気かどうかはわからないが」
あいつらにやるのはもったいないなと言葉続いた。
余裕の笑み浮かべる窓際さんは、他国からの留学生だった。
隣国の王の妾腹の子。優秀ではあるが、頭の回転はそんなによろしくない。王位などの揉め事を厭うて今は国を離れている。という事になっているのだ。実際は、彼を王にすべく暗躍している者たちがいるのだが。
そして、知っているのだ。
放っていた間諜より、ブランシュが幻獣に気に入られていることを。
それが大いに役に立つ力であることを。
ブランシュはそのことに気付くととても楽しい気持ちになった。
けれどそれは最初の1日目は、だった。2日目にはどうしたのかしら、と少し気になり。3日目には何かあったのかしら、と心配になった。
毎日話しかけてきた存在がいない。それはあの幻獣の声を最初に聞いてから初めてのことだった。
心にざわつくものが、生まれている。
しかし、これはこれで好都合かなとも、この三日間の事を振り返って思った。
ブランシュは学園の生徒から妬みを受けていた。最初は珍しい転入生とちらちらみられており、この学園には三つの派閥があるとそれぞれから声をかけられた。
それはどの派閥に入るのかという勧誘だった。
ブランシュは曖昧に誤魔化せばよかったものを、どこも選ばないと公衆の面前で告げてしまった。貴族の社会にもう少し踏み込んでいればどうするのが問題がないか理解しうまくかわせたのだろうが、ブランシュは引きこもっていた。
人との付き合いは下手だったのだ。ここで、断るまでならよかったのだがさらに踏み込んでそんな派閥など馬鹿らしいとまで言ってしまったのだ。
それをきいた三人の王子たちがまた面白がって、直接会いに来たのだから妬み嫉みは一気に募った。
そして嫌がらせが始まった。ブランシュにしてみればかわいいものだなというくらいだったので特に気にはしなかったが、幻獣が見ていたなら怒っただろう。
しかし、その発言の嫌がらせが悪化することがあったのだ。
三人の王子たちが声をかけてくる。それもしつこいほどに。
これは口説かれているのだろうか、とブランシュは考えてみたが、面倒になって考えることを放棄した。
授業にでれば彼らと会う。
だから今日もさぼろうとブランシュは校舎に背を向けた。
そう思ったのは、先程水をかけられたからだ。朝食をとろうとした食堂で、ピッチャーに入った水をばしゃりと。
泥水などではない、濡れただけだ。乾けば問題ないが、それは朝食をとる気も、教室に向かう気もなくすには十分だった。
人気のない方に自然と足は向き、あのレンガの建物にたどり着く。
今日も入口の鍵は閉まっている。しかし、少し高いところにある窓が開いていた。
背伸びをすれば中が見える。そこはどうやら、図書館のような場所らしい。
どんな場所なのか知ることかできてブランシュは少し楽しい。
そのまま、少し行儀が悪いかしらと思いつつ腰を下ろした。
土の上に腰を下ろすのは久しぶりだ。
「はぁ……いやがらせなんて子供みたいな……もう寮の部屋に引きこもろうかしら」
ひとりごちながら濡れた髪を引っ張る。風が吹けば少し肌寒いような気もしないでもない。
「今度同じことされたらやり返してやるわ。ピッチャーでばしゃっと2発よ! ……くしゅっ! うう、けどさすがに体を拭かずにきたのは馬鹿だったわ」
「ははっ、勇ましいことで」
「!?」
突然の声は頭の上から。
窓の中からだ。誰か中に、いるらしい。
「びしょ濡れらしいな。少しそこで待て」
響くのは落ち着いた男の声。この声は聞いたことはないとブランシュは思う。
何者かはわからないが敵意は感じない。ブランシュがそこでじっとしていると使えとばかりにタオルが視界の中に映った。
「ありがとう。お返しは何もできないわよ」
「そんなのは求めていない。遠慮なく使え」
苦笑するような声色。ブランシュはタオルを受け取り、髪を拭く。
「あなたがどちら様か、お尋ねしても?」
「尋ねてもいいが、答えるとは限らない」
「答えたくないのね、聞かないわ」
ブランシュは、わたしに名を教えて知り合うと面倒なことに巻き込まれるとわかっているのだろうなと、思う。
確かに、気まぐれかもしれないが優しさを向けてくれた人を巻き込むのはいただけない。
そう、思ったのだが。
「……困っているなら助けることはできるが」
その言葉はブランシュのことを知っており向けられたものなのだと感じた。
しかしそれにからかうようなものや、だまそうとするような。そういった嫌なものは無い。
真摯なものだとブランシュは感じた。
「名乗れないのに?」
「名乗ると、逆に俺が君を巻き込む」
ブランシュはなるほど、と思う。
顔の見えない窓際の男は、逆に巻き込むと言った。
巻き込まれるではなく。
つまり、この国の王子たちがブランシュをつついているこの状況をさらにややこしくしてしまう。
そういう立ち位置の人間なのだと察した。
「本当に、どうしてもどうにもならない。そんな時はお願いするわ」
「ああ」
「けど、名前がないと不便よ! わたしはあなたを、窓際さんと呼ぶわ」
「……その口ぶりは、またここにきて俺と話す、ということか?」
「ええ。わたしといまのところ、日常会話してくれるのは食堂のおばさまたちと、残念ながらあの王子たちだけなの」
実際は、あとひとり。顔は知らないが話しかけてくるものもいるが今は除外とブランシュは思う。
「あとひとりくらい増えてもいいかなと思ってたのよ」
「俺はいつもここにいるわけじゃない」
「逆にいつもいたら怖いわ」
「たまたま、いたときなら君の気の済むまで話し相手になろう」
仕方ないというような声色。しかし、楽しそうでもある。
ブランシュは名乗っていなかったわねと名を紡ごうしたのだがそれは制された。
自分だって窓際さんだ。君もあだ名にしようと。
「可憐で素敵な呼び名を考えてね」
「窓際さんの君がそれを言うのか……」
「だってわたしは、女の子よ」
どうしてそこにつながるのかわからないと窓際さんは言う。
すぐには思いつかないから、考えておくよと。
そう、窓際さんが返したところでくぎゅうと。かわいらしい音が鳴った。
それはブランシュの体が空腹を訴えるもの。
「……あ、朝ごはんを……食べてないからよ」
「なら食べに行くと言い。今はもう誰もいないだろうさ。食堂は、この建物の裏手から細い道がある。それを辿ればいい」
そんな道があったの、とブランシュは瞬く。道と言っても俺が作った獣道だと窓際さんは笑う。
ブランシュは使わせていただくわと告げ、タオルは今度返すわと言う。
そのまま返してくれて良いと窓際さんは言うのだがブランシュとしては認められない。
次の機会にと約束して裏手に回った。
その姿が見えなくなって、窓際さんとブランシュが呼んだ男は笑い零した。
「なかなか言うやつだな。この国の王子たちが本気かどうかはわからないが」
あいつらにやるのはもったいないなと言葉続いた。
余裕の笑み浮かべる窓際さんは、他国からの留学生だった。
隣国の王の妾腹の子。優秀ではあるが、頭の回転はそんなによろしくない。王位などの揉め事を厭うて今は国を離れている。という事になっているのだ。実際は、彼を王にすべく暗躍している者たちがいるのだが。
そして、知っているのだ。
放っていた間諜より、ブランシュが幻獣に気に入られていることを。
それが大いに役に立つ力であることを。
0
あなたにおすすめの小説
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
【完結】伯爵令嬢の25通の手紙 ~この手紙たちが、わたしを支えてくれますように~
朝日みらい
恋愛
煌びやかな晩餐会。クラリッサは上品に振る舞おうと努めるが、周囲の貴族は彼女の地味な外見を笑う。
婚約者ルネがワインを掲げて笑う。「俺は華のある令嬢が好きなんだ。すまないが、君では退屈だ。」
静寂と嘲笑の中、クラリッサは微笑みを崩さずに頭を下げる。
夜、涙をこらえて母宛てに手紙を書く。
「恥をかいたけれど、泣かないことを誇りに思いたいです。」
彼女の最初の手紙が、物語の始まりになるように――。
愛しの第一王子殿下
みつまめ つぼみ
恋愛
公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。
そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。
クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。
そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。
夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました
香木陽灯
恋愛
伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。
これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。
実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。
「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」
「自由……」
もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。
ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。
再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。
ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。
一方の元夫は、財政難に陥っていた。
「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」
元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。
「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」
※ふんわり設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる