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第二王子に捕まる
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タイミングが悪かった。
教えてもらった獣道を辿って、食堂が見える場所に出たと同時に。
「ブランシュ、探したよ」
ひらひらと手を振って現れたのは第二王子、バティストだ。
いくら引きこもっていたブランシュでも顔と名前くらいは覚えている。それと、夜会の旅に色々な令嬢、婦人に声をかけまくっていることも。
「ご機嫌いかがでございますか、バティスト様」
「やだなぁ、バティで良いって」
呼ぶか、と思いながら恐れ多いのでとブランシュは返す。
良く言えば明るく物怖じしない、なのだろう。しかしブランシュにしてみれば空気読まない、うざいと思う相手だ。
「何か御用ですか、バティスト様」
「……つれないなぁ。うん、お茶のお誘いに」
そう言って、バティストはブランシュの手を取りその指先に口づける。
こうやって口説いているのねと思うが、別に心揺れない。
確かに、王子達の見目はとてもよろしい。
金髪碧眼、それがこの国の三人の王子の共通点だ。年齢は同じ、しかし全員母親は違うという。
そういえば夜会で三人全員そろうのは、王主催のものだけで稀だったかしらとブランシュは思う。
しかし、この学園での色んな話を聞いて、偶然三人そろったところを目にした限りでは、不仲と言われているがそうではないように思えた。
兄弟ではあるが幼馴染、悪い遊び相手。そういう間柄ではないのかしらとブランシュは思ったのだ。
大体、時折視線を合わせているのだ。仲が悪ければそんなことはしないだろう。
そういう所を見れない時点で、この学園にはちゃんと現状把握できない人間の方が多いのだろうなと思った。
それは将来的に、国にとってとてもまずいことだろうなと思いつつだ。
「わたしをお茶に誘う前に、勉学の方はよろしいのですか?」
「問題ないよ」
バティストは表情緩めて微笑む。ああ、確かにこの微笑みを自分だけに向けられたらはしゃぐお嬢さんたちは多いだろうなぁと、向けられているのは自分なのだが他人事のようにブランシュは感じる。
そんな様子に、本当につれないなぁとバティストは笑って、いまだに手を離さない。
「君と話がしたいんだ」
「……そうすると、わたしがあなた様のことが大好きな皆々様に嫌がらせを受けるとわかって、いってらしゃるのですよね?」
「うん、そうだよ」
悪意を向けられていることをわかっていて、これだ。
しかしここで断ると、バティストが今はいない取り巻き達に、お茶に誘って断られたと話してあおることになるのだろう。
あおって、面白がる。
ここで断るのと、受けるのと、どちらのほうが痛手が少ないのかと考えてみれば、誘いを受ける方が利口だと思えた。
「わかりました。けれど、お茶一杯だけですので」
「あはは、まぁそれでいいかな。とりあえず今は」
その一杯を飲みきる前に次の約束も取り付けてみせるとバティストは言う。そんな約束するわけがないでしょうとブランシュは思いつつ、手を引かれるまま歩みだす。
「ところでどちらに」
「俺の寮で」
「……やはりご遠慮させていただきたいのですが」
「変なことはしないから、大丈夫。侍女もいるからね。彼女の入れるお茶は美味しいから」
それなら大丈夫かしらとブランシュは思う。
学園の中にある寮はいくつかある。国の重鎮向けの侍女や近侍を連れて入れる寮、自分で身の回りのことはする寮など。
王族の者は一番ランクの高い寮に入るのが常だ。ブランシュの寮はそこではないので、初めて足を踏み入れることになる。
どこよりも華美に、そして繊細に作られた寮。その寮にあるサロンにブランシュは連れて行かれた。
「部屋でもいいんだけど、さすがにそれはどうあっても拒むよね」
「はい」
「うん、だよね。サロンは今の時間は人はいないし」
日当たりの良い場所に準備をさせ、どうぞとバティストは促す。ブランシュは言われるままに座ると、にこにこと向けられる笑みに居心地の悪さを感じ、何かと問うた。
「いや、夜会で見たことはあったけどこうして向き合うと本当にかわいいなぁって思ってさ。どうして俺はちゃんと声をかけなかったんだろうね? 君はあまりそういうものにはでてこないし」
「わたしより綺麗でかわいいような、興味をそそられる方がいらっしゃったのでしょう?」
ブランシュは微笑んでかわす。
夜会など、必須のもの以外行かない。家に引きこもって過ごすのが一番だ。着飾る事は嫌いではないが、他人との関係は面倒なものだとブランシュは思っている。
だから必要以上に関わりたいになりたくない。そう思うようになった起因もあるにはあるのだが、目の前の王子に話すことではないのでブランシュは何も言わないのだ。
「……他のご令嬢は俺の気を引こうとするんだけどな。君はそういうのがまったくないね」
「媚びることが下手で申し訳ありません」
「いや、それは新鮮で面白い。うん、君をつつくのは退屈しないね、やっぱり」
こっちはいい迷惑だ! と声をあげたい。あげたいがそうすると余計面白がることもわかる。
「でも今日はこうして君をつつくためじゃなくて、君に聞きたいことがあって誘ったからそろそろ本題」
けれどその前に、と目の前にティーセットが置かれる。侍女に注がれる紅茶は良い匂い。そして目の前にスコーン、サンドイッチ、焼き菓子。
まぁ、食べるわよねとブランシュは思う。
「どうぞ、食べて。誘って何もなしもなぁと思って女の子が好きそうなものを準備しておきました」
遠慮なくと促され、ブランシュは手を伸ばす。サンドイッチはサーモンとオニオン、クリームチーズ。ちゃんとケッパーも入っていて美味しい。
何もいれていなかったお腹に入るものは何でもおいしい。
「……食べたね」
「え?」
「よし、食べたなら質問に答えてもらおうか」
にこにことしていたのに含まれる威圧。
あ、やられたとブランシュは思った。
食べたのだから、質問に答えてもらおうか。つまりそれは対価ということだ。
そう、楽しくお茶を飲みましょうという類のものではこれはなかったのだ。
「君、途中から学園に入ってくるとかなんなの? 家とかは調べてみたけど……何も変なことはでてこない。それに君の魔力は、ここの基準に達してなかった」
「よくお調べになりましたね」
それなりに手は回したけどねとバティストは言う。
魔力が達していない、ということは一部のものしかしらないことだ。別に隠すことでもないし、自分が此処にいるのはこの王子達の親のせいだったとブランシュは思い出す。
「色々あって、王にここに行けと言われました」
「父上に? あの野郎、何か企んでるな……」
ブランシュは焼き菓子を口に運ぶ手を止めた。今までへらへら、ふわふわとしていた声色が硬く沈んだものになったからだ。
それに瞬いてバティストに視線を向けるが、何かなと先程までと同じ笑顔。
この王子、猫かぶってるなとブランシュは思いつつなんでもないですと焼き菓子を食べる。
ひとつ食べれば何個食べても同じだ。嫌なことでなければ答えればいい。別に自分には何のデメリットもないとブランシュは割り切っていた。
「……君、幻獣は?」
「ノーコメントです」
その答えにバティストは喰いついてきた。なんで、どうして。どういうこと、と。
もしかして、ついている幻獣について色々知っているのは常識なのだろうかとブランシュは思ったのだがノーコメントを貫いた。
すると最終的にはバティストも諦めて引き下がった。一応は、だが。
そして、ティーセットの菓子も残るはあとひとつ。
それを見てバティストはよく全部入ったねと笑う。朝食抜きだったブランシュにしてみれば余裕の量だった。
ごくんと最後のひとつを食べきって、ついでだから聞いておこうとブランシュは口開く。
「今まですべて答えましたのでひとつお尋ねしてもよろしいですか?」
「うん? なに恋人がいるかどうかとかかな? いないよ」
「……」
「うそうそ、冷たい目をしないで。いいよ、どうぞ」
ブランシュは半眼でバティストを見つめていた。その視線の冷たさにバティストは苦笑し、冗談だと苦笑して続きを促す。
「わたしを遊びで口説いてらっしゃいますよね?」
「……何故、そう思うの?」
何故、と問われてブランシュは瞬く。そう感じたのは何故だろう。
言葉に熱がない、と思ったからだ。けれどそれは言わず、ただそう思ったのでと短く答える。
するとバティストはどうだろうねと答えをはぐらかした。
「ねぇ、また俺とこうしてお茶してくれる?」
「それはお断りですわ。お菓子とお茶は確かに美味しいものをいただけましたが、わたしは心躍るものがありませんもの」
「ぷっ。ははっ! はっきり言うなぁ……」
それでは次は、心躍る何かをご用意しましょうとバティストは改まる。
立ち上がり腰を折って礼をする。見た目は良く、動きも美しく洗練されている。
こういう面ばかり見ていれば確かに、この王子につく人もいるのだろうなとブランシュは思った。
ブランシュは送るよと差し出された手を取らず、結構ですと笑む。
そう、と無理に送るとは言わずバティストはブランシュを寮の出口まで見送った。
「……本気に、なれるかな」
少なくとも、今まで出会ってきたどの令嬢よりも、心逸るものがある。
バティストは取られないように二人に釘を刺しておこうかなぁと、どう切り出そうかと考える。
おちょくられそうでもあるが、それよりも。
似たところのある兄弟が彼女に一層の興味を持つよりも早く手を打っておきたかった。
教えてもらった獣道を辿って、食堂が見える場所に出たと同時に。
「ブランシュ、探したよ」
ひらひらと手を振って現れたのは第二王子、バティストだ。
いくら引きこもっていたブランシュでも顔と名前くらいは覚えている。それと、夜会の旅に色々な令嬢、婦人に声をかけまくっていることも。
「ご機嫌いかがでございますか、バティスト様」
「やだなぁ、バティで良いって」
呼ぶか、と思いながら恐れ多いのでとブランシュは返す。
良く言えば明るく物怖じしない、なのだろう。しかしブランシュにしてみれば空気読まない、うざいと思う相手だ。
「何か御用ですか、バティスト様」
「……つれないなぁ。うん、お茶のお誘いに」
そう言って、バティストはブランシュの手を取りその指先に口づける。
こうやって口説いているのねと思うが、別に心揺れない。
確かに、王子達の見目はとてもよろしい。
金髪碧眼、それがこの国の三人の王子の共通点だ。年齢は同じ、しかし全員母親は違うという。
そういえば夜会で三人全員そろうのは、王主催のものだけで稀だったかしらとブランシュは思う。
しかし、この学園での色んな話を聞いて、偶然三人そろったところを目にした限りでは、不仲と言われているがそうではないように思えた。
兄弟ではあるが幼馴染、悪い遊び相手。そういう間柄ではないのかしらとブランシュは思ったのだ。
大体、時折視線を合わせているのだ。仲が悪ければそんなことはしないだろう。
そういう所を見れない時点で、この学園にはちゃんと現状把握できない人間の方が多いのだろうなと思った。
それは将来的に、国にとってとてもまずいことだろうなと思いつつだ。
「わたしをお茶に誘う前に、勉学の方はよろしいのですか?」
「問題ないよ」
バティストは表情緩めて微笑む。ああ、確かにこの微笑みを自分だけに向けられたらはしゃぐお嬢さんたちは多いだろうなぁと、向けられているのは自分なのだが他人事のようにブランシュは感じる。
そんな様子に、本当につれないなぁとバティストは笑って、いまだに手を離さない。
「君と話がしたいんだ」
「……そうすると、わたしがあなた様のことが大好きな皆々様に嫌がらせを受けるとわかって、いってらしゃるのですよね?」
「うん、そうだよ」
悪意を向けられていることをわかっていて、これだ。
しかしここで断ると、バティストが今はいない取り巻き達に、お茶に誘って断られたと話してあおることになるのだろう。
あおって、面白がる。
ここで断るのと、受けるのと、どちらのほうが痛手が少ないのかと考えてみれば、誘いを受ける方が利口だと思えた。
「わかりました。けれど、お茶一杯だけですので」
「あはは、まぁそれでいいかな。とりあえず今は」
その一杯を飲みきる前に次の約束も取り付けてみせるとバティストは言う。そんな約束するわけがないでしょうとブランシュは思いつつ、手を引かれるまま歩みだす。
「ところでどちらに」
「俺の寮で」
「……やはりご遠慮させていただきたいのですが」
「変なことはしないから、大丈夫。侍女もいるからね。彼女の入れるお茶は美味しいから」
それなら大丈夫かしらとブランシュは思う。
学園の中にある寮はいくつかある。国の重鎮向けの侍女や近侍を連れて入れる寮、自分で身の回りのことはする寮など。
王族の者は一番ランクの高い寮に入るのが常だ。ブランシュの寮はそこではないので、初めて足を踏み入れることになる。
どこよりも華美に、そして繊細に作られた寮。その寮にあるサロンにブランシュは連れて行かれた。
「部屋でもいいんだけど、さすがにそれはどうあっても拒むよね」
「はい」
「うん、だよね。サロンは今の時間は人はいないし」
日当たりの良い場所に準備をさせ、どうぞとバティストは促す。ブランシュは言われるままに座ると、にこにこと向けられる笑みに居心地の悪さを感じ、何かと問うた。
「いや、夜会で見たことはあったけどこうして向き合うと本当にかわいいなぁって思ってさ。どうして俺はちゃんと声をかけなかったんだろうね? 君はあまりそういうものにはでてこないし」
「わたしより綺麗でかわいいような、興味をそそられる方がいらっしゃったのでしょう?」
ブランシュは微笑んでかわす。
夜会など、必須のもの以外行かない。家に引きこもって過ごすのが一番だ。着飾る事は嫌いではないが、他人との関係は面倒なものだとブランシュは思っている。
だから必要以上に関わりたいになりたくない。そう思うようになった起因もあるにはあるのだが、目の前の王子に話すことではないのでブランシュは何も言わないのだ。
「……他のご令嬢は俺の気を引こうとするんだけどな。君はそういうのがまったくないね」
「媚びることが下手で申し訳ありません」
「いや、それは新鮮で面白い。うん、君をつつくのは退屈しないね、やっぱり」
こっちはいい迷惑だ! と声をあげたい。あげたいがそうすると余計面白がることもわかる。
「でも今日はこうして君をつつくためじゃなくて、君に聞きたいことがあって誘ったからそろそろ本題」
けれどその前に、と目の前にティーセットが置かれる。侍女に注がれる紅茶は良い匂い。そして目の前にスコーン、サンドイッチ、焼き菓子。
まぁ、食べるわよねとブランシュは思う。
「どうぞ、食べて。誘って何もなしもなぁと思って女の子が好きそうなものを準備しておきました」
遠慮なくと促され、ブランシュは手を伸ばす。サンドイッチはサーモンとオニオン、クリームチーズ。ちゃんとケッパーも入っていて美味しい。
何もいれていなかったお腹に入るものは何でもおいしい。
「……食べたね」
「え?」
「よし、食べたなら質問に答えてもらおうか」
にこにことしていたのに含まれる威圧。
あ、やられたとブランシュは思った。
食べたのだから、質問に答えてもらおうか。つまりそれは対価ということだ。
そう、楽しくお茶を飲みましょうという類のものではこれはなかったのだ。
「君、途中から学園に入ってくるとかなんなの? 家とかは調べてみたけど……何も変なことはでてこない。それに君の魔力は、ここの基準に達してなかった」
「よくお調べになりましたね」
それなりに手は回したけどねとバティストは言う。
魔力が達していない、ということは一部のものしかしらないことだ。別に隠すことでもないし、自分が此処にいるのはこの王子達の親のせいだったとブランシュは思い出す。
「色々あって、王にここに行けと言われました」
「父上に? あの野郎、何か企んでるな……」
ブランシュは焼き菓子を口に運ぶ手を止めた。今までへらへら、ふわふわとしていた声色が硬く沈んだものになったからだ。
それに瞬いてバティストに視線を向けるが、何かなと先程までと同じ笑顔。
この王子、猫かぶってるなとブランシュは思いつつなんでもないですと焼き菓子を食べる。
ひとつ食べれば何個食べても同じだ。嫌なことでなければ答えればいい。別に自分には何のデメリットもないとブランシュは割り切っていた。
「……君、幻獣は?」
「ノーコメントです」
その答えにバティストは喰いついてきた。なんで、どうして。どういうこと、と。
もしかして、ついている幻獣について色々知っているのは常識なのだろうかとブランシュは思ったのだがノーコメントを貫いた。
すると最終的にはバティストも諦めて引き下がった。一応は、だが。
そして、ティーセットの菓子も残るはあとひとつ。
それを見てバティストはよく全部入ったねと笑う。朝食抜きだったブランシュにしてみれば余裕の量だった。
ごくんと最後のひとつを食べきって、ついでだから聞いておこうとブランシュは口開く。
「今まですべて答えましたのでひとつお尋ねしてもよろしいですか?」
「うん? なに恋人がいるかどうかとかかな? いないよ」
「……」
「うそうそ、冷たい目をしないで。いいよ、どうぞ」
ブランシュは半眼でバティストを見つめていた。その視線の冷たさにバティストは苦笑し、冗談だと苦笑して続きを促す。
「わたしを遊びで口説いてらっしゃいますよね?」
「……何故、そう思うの?」
何故、と問われてブランシュは瞬く。そう感じたのは何故だろう。
言葉に熱がない、と思ったからだ。けれどそれは言わず、ただそう思ったのでと短く答える。
するとバティストはどうだろうねと答えをはぐらかした。
「ねぇ、また俺とこうしてお茶してくれる?」
「それはお断りですわ。お菓子とお茶は確かに美味しいものをいただけましたが、わたしは心躍るものがありませんもの」
「ぷっ。ははっ! はっきり言うなぁ……」
それでは次は、心躍る何かをご用意しましょうとバティストは改まる。
立ち上がり腰を折って礼をする。見た目は良く、動きも美しく洗練されている。
こういう面ばかり見ていれば確かに、この王子につく人もいるのだろうなとブランシュは思った。
ブランシュは送るよと差し出された手を取らず、結構ですと笑む。
そう、と無理に送るとは言わずバティストはブランシュを寮の出口まで見送った。
「……本気に、なれるかな」
少なくとも、今まで出会ってきたどの令嬢よりも、心逸るものがある。
バティストは取られないように二人に釘を刺しておこうかなぁと、どう切り出そうかと考える。
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