アゲイン!ー私が当て馬?ふざけないで!逆行した公爵令嬢は2度目の人生は一生に一度の恋を所望するー

支倉りおと

文字の大きさ
5 / 11

5

しおりを挟む
「リアどうした?何かあったのか?」

 昼間の号泣騒動から心配気にするお父様に少し苦笑しながら近づくと私はお父様に懇願した。

「お父様お願いがございます」

 滅多にお願い事をしない私がわざわざ訪ねて来たのでお父様は嬉しそうにするも私のただならぬ雰囲気に少し顔を強張らせた。

「なんだい?」

「お父様、私領地に帰りたいです」

「え?どういう事だいリア?」

 突然領地に帰りたいと言い出した娘に驚くのは当然よね。とにかく納得してもらわなければいけないわね。

 さすがに一度死んでもう一度人生をやり直してます。私の死の原因になる王太子殿下と離れたいなんて言っても信じて貰えるはずもないからここは私の演技力が試される所よね。

「お父様、私は王都に居たくありません領地にいるお母様の所へ帰りたい。必要以上に王子様に関わりたくないです。お兄様やお父様に会えないのは寂しいですけど、せめて学園に通うまで領地で過ごしたいです」

 ポロポロと涙を零しながら切実に訴えてみる。

「そ、そんなにリアは王都がイヤなのか……。私もリアが苦しむ場所へ留まらせるのは本意ではないし、またあの我儘王子に私のかわいいリアが振り回されるなんて事があったらリアが可哀相だな。寂しいけれどリア、お母様の待つ領地に帰りなさい。リアが心穏やかに過ごせる環境が今一番大切だ」

 私の頭を撫でながらお父様が寂しそうにこう言ってくれた。

「ありがとうございますお父様。私は王都のような賑やかな場所が苦手です。我儘ばかり言ってごめんなさい」

「いや、気にするな。私は政務があるからリアの側にあまり居てやれないのだから……。リアが望むのなら君が過ごしたい場所で過ごしなさい。でも領地ではお母様の言う事をよく聞いてお勉強も頑張るのだよ」

「はい、わかりました」

 そう言うとお父様は私を抱きしめた。






 あの悪夢の邂逅から数日、私はお父様と決めた予定通り領地へ帰る準備をしていると、突然自室の扉が開き弾丸の如く飛び込んで来たのは。

「リア!!領地に帰るってどういう事だい???」

 叫びながら飛び込んで来たのは私の兄のクリスティアン・オクレールだった。彼は憤慨しながら私に抱き着くとぎゅうぎゅうと抱きしめ泣いていた。

「お兄様……。放してください。そのままですけど、私明日には領地へ帰ります」

「何故だ?どうしてリアは僕を置いて帰るんだ?帰るなら僕も一緒に「お兄様!!」

 不満げにするお兄様の腕を解くと私は困った表情を浮かべながらお兄様にこう告げた。

「私が領地へ帰る事を希望したのは望まない婚約を回避する為です。お兄様は将来はお父様の爵位を受け継ぐ後継ぎですもの、領地へ帰らずこちらでの勉強を頑張ってください。私もお兄様と会えないのは寂しいですけれどこうするしかないのです」

 薄っすらと瞳に涙の膜を張り今にも零れそうな表情でお兄様を見つめると、そんな私の表情の上を行く滂沱の涙で溢れたお兄様が更に私を抱きしめる腕の力を強くさせた。

「そ、そうだったんだねリア。リアは僕のお嫁さんになりたいって聞いたよ。僕も僕のお嫁さんはリアだけだって思ってる。王都に居る事がリアを苦しめる原因なら僕もリアが領地に帰る事は賛成するよ。ただこんなに可愛いリアに毎日会えない事だけが悲しいけれど我慢するね」

「わかってくれてありがとうございますお兄様」

 そう言うと私もお兄様の背中に腕を回し抱き返した。

 5歳違いの兄クリスとは前回の生の時から仲が良くよくブラコンシスコン兄妹だった。

 殿下に振り向いてもらえない私をいつも慰めてくれて、冷たい態度を取る殿下を諫めてくれるとても優しい兄で私はクリスが大好きだった。

 婚約を断る理由に使ってしまってごめんね。今回の生でも優しくしてくれる貴方をひとりぼっちにしてしまうのは申し訳ないけれど、私の命には変えられないのだ。

 私の命の無事が確認出来たら妹孝行させて貰うから少しだけ我慢してもらえると嬉しいです。

 

 こうやって兄と王都の家の者との別れを済ませた私はいよいよ明日領地への出発を控えていた。

 

 ただ、この領地へ帰るという事がこれからの私の人生をどん底へ引きずり落とす引き金になるなんてこの時の私には全く想像すらしなかった事だった。



 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜った後で「申し訳ないが愛せない」だなんてそんな話があるかいな。

ぱっつんぱつお
恋愛
辺境の漁師町で育った伯爵令嬢。 大海原と同じく性格荒めのエマは誰もが羨む(らしい)次期侯爵であるジョセフと結婚した。 だが彼には婚約する前から恋人が居て……?

【完結】男装して会いに行ったら婚約破棄されていたので、近衛として地味に復讐したいと思います。

銀杏鹿
恋愛
次期皇后のアイリスは、婚約者である王に会うついでに驚かせようと、男に変装し近衛として近づく。 しかし、王が自分以外の者と結婚しようとしていると知り、怒りに震えた彼女は、男装を解かないまま、復讐しようと考える。 しかし、男装が完璧過ぎたのか、王の意中の相手やら、王弟殿下やら、その従者に目をつけられてしまい……

初対面の婚約者に『ブス』と言われた令嬢です。

甘寧
恋愛
「お前は抱けるブスだな」 「はぁぁぁぁ!!??」 親の決めた婚約者と初めての顔合わせで第一声で言われた言葉。 そうですかそうですか、私は抱けるブスなんですね…… って!!こんな奴が婚約者なんて冗談じゃない!! お父様!!こいつと結婚しろと言うならば私は家を出ます!! え?結納金貰っちゃった? それじゃあ、仕方ありません。あちらから婚約を破棄したいと言わせましょう。 ※4時間ほどで書き上げたものなので、頭空っぽにして読んでください。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...