アゲイン!ー私が当て馬?ふざけないで!逆行した公爵令嬢は2度目の人生は一生に一度の恋を所望するー

支倉りおと

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 椅子に座ると目の前にあるテーブルの上に並べられた朝食。

 フカフカで柔らかそうなオムレツに添えられたカリカリに焼かれたベーコンと瑞々しいレタスとトマトとブロッコリーのサラダ。

 三日月を模したクロワッサンとバターがたっぷり使われたロールパン、甘い匂いが漂うフレンチトーストにパンケーキまで色々と揃っている。

 飲み物は搾りたてのオレンジジュースに紅茶とミルクが用意されていた。

 さすが王族に出される食事だ。朝から豪華だなぁ。


 起きて早々部屋に来てくれた侍女に抱えられ湯あみと強制的にマッサージを受け、全身艶々のピカピカに磨き上げられると無駄に豪華なドレスに着替えさせられた。

 なにこのサイズピッタリって……怖いんですけど。

 朝からクタクタになりながらも席に着くと目の前に広がるのはこの食事だった。

 そう言えば昨日の朝にご飯を食べた切りだったなぁと思いつつも、目の前に座り綺麗な食事マナーで優雅に朝食を当然のように食べている殿下を思わずジト目で見てしまう。

 なんでこの人当然のようにこの部屋で一緒に食事を取ろうとしているのかしら?

 いや、それよりも一体この状況はどういう事なの?


「なんだ、食べないのか?昨日から食事してないから腹へっただろう?遠慮せずに食え」

 そう声を掛けながらもモグモグと食事を続ける殿下に苛立ちが更に募る。

「食べます、食べますけど……状況の説明をお願いできませんか?」

 正直どうして私がココにいるのか状況がよくわからない。

 私が記憶している事は、昨日領地へ帰る為に私付のメイドと執事と共に家を出た所までだ。

 誰かに襲われたなんていう記憶もない。

 寧ろ私がどうやってここに連れてこられたか全くわからないのだ。

 私は殿下からどういう説明を受けるのかとビクビクしていると……私の予想の範疇を超えた返事が返ってきた。

「あぁ、俺が連れて来た」

「は?」

「だから俺が、王宮に連れてくるよう部下に指示した。オクレール公爵令嬢を領地へ帰すなと」

 や、ちょっと……意味がわからないんですけど。

 なぜ殿下が私が領地へ帰る事をやめさせ、拉致まがいな誘拐をしてまで王宮へ連れてこなくてはならないのかしら?

 そんな事をする必要がどこにあるのかわからずに思わず頭を捻ってしまう。

 一度目の時なら私が領地へ帰ろうなんて事をしたらもろ手を挙げて送り出したくらいに私の事が嫌いだったはずなのに……それどころか私が帰る事を阻止するような事をするんだろう?

 訳がわからない。

「な、なぜそのような事を」

 そう言うと今までご機嫌だった表情を歪めた殿下が分かりやすく拗ねた様子を見せた。

「なぜって……お前が勝手に王都から居なくなろうとするからだろう」

 子供らしくプクーっと頬を膨らませながら恨めしそうな顔で私を睨んでくる。

 こんな表情どころか、いつもの冷たい目と能面のような表情のない顔以外の顔を見た事がない私は酷く動揺してしまった。

 私は知らなかったのだ……ずっと彼の周りをちょろちょろしてつき纏っていた割にはこの人の事を何も見えていなかったし、見ても居なかった。

 その事実にちょっと驚いた。

 彼は私の知らない、気が付く事のなかったまだ8歳の殿下。

 いつも国のトップに相応しい物を求められこんな幼い頃から将来の王としての教育を受け子供らしい子供時代がきっとなかったのだろう。

 誰かに甘えたくても甘えられる環境になかった。

 その上、自分の周りに侍るのは自分の気に入らない婚約者だとのたまう馬鹿な令嬢のみ。

 そう考えると殿下は可哀相な子供だったんだな。

 そりゃ殿下を癒してくれた存在の少女に恋をしても誰も文句は言えないよ。

 どうして私も気が付いてあげられなかったんだろう。

 今更ながら前の自分の馬鹿さ加減に悲しくなった。

「そうですか……でも私は殿下の婚約者でもなんでもない普通の公爵令嬢です殿下が私を引き留める必要はないと思うのですが」

 そう、そこが疑問だ。

 殿下が私にこだわる必要なんか一つもないし、寧ろ私が王都から居なくなった方がいいと思うのだけどどうして私が王都を去るのを引き留めるんだろう。

 それも足枷をして逃げられないような状況にする意味がわからない。



 

 
 
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