アゲイン!ー私が当て馬?ふざけないで!逆行した公爵令嬢は2度目の人生は一生に一度の恋を所望するー

支倉りおと

文字の大きさ
9 / 11

9

しおりを挟む
「そんなのは決まっている」

 両手に持っていたナイフとフォークを置きナフキンで口元を拭うと殿下は私の顔を見つめニヤリと笑った。

「お前を俺の婚約者にするためだ」

 は?


 

 えーっと今殿下は何を言ったのかしら?

 オマエヲオレノコンヤクシャニスルタメダ?

 いや、コンニャクだったかしら?

 まさか……コンヤクシャじゃないよね?

 ナイナイナイナイ。



 とてもいい顔で殿下が言い放った言葉を脳が理解するのを拒否するかのように私の頭の中は?でいっぱいになり思い切りポカーンと口をあけて呆然としてしまった。

「えっと……申し訳ありません。私どうもあり得ない言葉と聞き間違えたようなのでもう一度伺ってもよろしいですか?」

「いいぞ、何度でも言ってやる。お前を俺の婚約者にするためだ」

 ンンンンン。

 嫌だなぁ。

 また「オマエヲオレノコンヤクシャニスルタメダ」って聞こえたんだけど。

 今度は空耳かしら?と頭を捻っていると。

「おい、悪いが空耳でも言い間違いでもないぞ」

 ニタニタと悪い笑顔を向けて私に止めを刺すかのように殿下は言った。

「今はまだコレは王家からの打診に過ぎない。が、お前が絶対に逆らえない方法にする事もできるんだぞ」

 その言葉に私はビクッと思わず身体を強張らせた。

 要は現段階で婚約すれば婚約後の逃げ道はあるけれど、どうしてもイヤがるようならにして無理矢理、王からの命令として縛り付けてもいいぞ、と……。

 王命の婚約になってしまったらそれこそこの国からの命令だ。その命令に逆らう事など公爵令嬢である私に出来るはずがない。

 王命での婚約となれば、例え婚約解消したくとも王からの許しがなければちょっとやそっとじゃ覆される事はないし拒否すら出来ない。

 王命での婚約など私にとっては一番避けなければならない案件ではないか!

 それに、そもそも殿下との婚約自体が私は嫌だ。

 なぜみすみす殺されると分かり切っている道を選ばねばならないのだ!

 顔面蒼白にする私に近づいて来る殿下が、私の頬を撫でると目を細めあの何を考えているかわからない笑みを浮かべ迫ってくる。

「まぁどの道お前がどんなにこの婚約を嫌がろうとも俺の婚約者はユーリア・オクレールだと俺が決めたからな」

「な、何を勝手な事を」

「あぁ、勝手なのは承知の上だ。俺は俺の気に入った物を手放すつもりは毛頭ない。だからお前が、ハイかお受けしますのどちらかの返事しか受け取る気はない」

 えぇぇぇ。

 その選択肢は選択肢ではないですよ!私に拒否権などないと言っているようなもの。

 何この理不尽。

 うーーー。

 声にならない唸り声をあげる私に近づくと足にまとわりつく鎖をわざと持ち上げる殿下。

 鎖に繋がった私の足が引っ張られ捲りあがるスカートを思わず抑えると。

「まぁ、この足枷がある限りお前は此処から出る事は叶わない。お前が俺の婚約者になると返事をくれたら……まぁな。とりあえず良い返事を言う事を決めてくれたらいつでも呼び出してくれ」

 殿下はそう言うと中途半端に持ち上がった私の足をスルリと撫で楽しそうに笑った。

「あ、そうそう宰相も母上もこの事はご存知だから助けを求めても無駄だぞ。宰相はまだしも母上はこの件に関しては快く協力してくれたからな」

 嘘でしょ?

 王妃様はまだしも、まさかお父様全て知っていて領地へ帰る事を認めてくださったの?
 
 絶望に近い顔をしていたのだろう。それに気が付いた殿下に。

「勘違いのないように一つだけ訂正するが、宰相は知っているが協力はしてないぞ。宰相は娘であるお前の気持ちを一番大切に考えている。ただ母上に逆らえなかっただけだ」

 そうか、よかったお父様までも積極的に協力していたとしたらさすがに暴れそうだったわ。

「とにかく。お前が俺の婚約者になると言うまでこの部屋からも王宮からも出さない……気長に待つつもりだけど返事は早くくれ。でもハイかお受けしますしか駄目だからな!」

 そう言うと私を誘拐した犯人である殿下がこの部屋を出て行った。

 えーっと……。


 結局どういう事なの?

 あまりにショックな事実の情報量に私は混乱していた。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

自称ヒロインに婚約者を……奪われませんでした

影茸
恋愛
平民から突然公爵家の一員、アイリスの妹となったアリミナは異常な程の魅力を持つ少女だった。 若い令息達、それも婚約者がいるものまで彼女を一目見た瞬間恋に落ちる。 そして、とうとう恐ろしい事態が起こってしまう。 ……アリミナがアイリスの婚約者である第2王子に目をつけたのだ。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?

ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」  華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。  目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。  ──あら、デジャヴ? 「……なるほど」

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました

四折 柊
恋愛
 子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)

乙女ゲームのモブに転生していると断罪イベント当日に自覚した者ですが、ようやく再会できた初恋の男の子が悪役令嬢に攻略され済みなんてあんまりだ

弥生 真由
恋愛
『貴女との婚約は今夜を持って破棄させて貰おう!』  学園卒業祝いの夜会の場に、凛と響いた王太子殿下の一声。  その瞬間、私は全てを思い出した。  私が前世ではただの手芸とゲームが好きなインドア派女子大生だったこと。そして、ゲーム世界に転生して尚も趣味は変わらず、ライバルキャラですらないモブになってしまっていたことを。  幼い頃に一度出会ったきりの初恋の彼と学園で再会出来たらなぁ、なんて淡い期待を抱いて通っていたのに、道理で卒業式までなんにも起きなかったわけだ。  ーーなんて、ひとり納得していたら。  何故だが私が悪役令嬢の断罪イベントの目撃者として名指しされ、一気に渦中の人物に!?  更に、王太子以外の男性陣は皆様悪役令嬢に骨抜き。なので自然と私には、彼女の潔白に繋がる証言が求められる。  しかしながら、私は肝心の事件の日の記憶が訳あって曖昧だったので、致し方なく記憶を呼び覚ます治療を受けさせられる羽目に。  タイムリミットは1年間。  その1年間の私への護衛につけられたのは、悪役令嬢に心奪われた初恋の彼でした。

処理中です...