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6 全く性格の違う菜々子と夏子が入れ替わった! 会社は? 夫婦生活は? どうすればいいのよ~!
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しおりを挟む「オハヨウゴザイマス、菜々子サン!」
え?
「今日ハ 良イ オ天気デスネ! 菜々子サン!」
何なの? この車…。
「驚クノモ 無理ナイデショウ。ナンテッタッテ私ハ、最新鋭ノAIヲ搭載シタ ナビゲーションシステム ナノデスカラ…フッフッフッ…。」
い、いや、驚いているのはそういう事じゃないんだけど…ま、いっか。ふ~ん、ナビがしゃべってるんだ! おもしろいな。最新のナビって進化してるんだなぁ…。
「ソロソロ オ返事サレテモ ヨイ頃カト…。」
「あ、ごめんなさい。おはよう! ナビさん!」
「菜々子サン、アナタハ 素敵ナ オ嬢サン デスネ!」
「いえいえ、私なんて…。お話できるナビさんの方が素敵です! ナビとお話できるなんて最高です!」
「…ウッ…ウッ…ウッ…、ワタクシ、コンナニ 褒メテ イタダイタノハ 初メテ デス! 俄然、ヤル気ガ 漲ッテ キマシタ! 気合ヲ入レテ、菜々子サンノ 幸セヲ ナビゲート サセテ イタダキマスヨー!」
「あはは、私の幸せのナビゲートはいいですから、田中農園さんまでナビゲートしてもらえますか?」
「…データ 解析中……… アノ…菜々子サン…アナタノ 抱エテイル 沢山ノ問題、心配事、ソシテ不安、ソレラヲ 鑑ミルト 大変申シ訳アリマセンガ…1ルート シカ検出サレマセンデシタ。ソレシカ 打ツ手ガ 見ツカリマセン…」
「私の抱えている問題がナビのルートに関係あるんですか? ん…よくわかんないけど…ルートが一つしかないのは仕方ないですよだって。田中農園さんは、この先の県道をまっすぐ行った所にあるので、何ルートも出てこないですよね。気にしないで下さいね、ナビさん!」
「デハ、ソノ ルート ニ 設定サセテ イタダキマスネ。…菜々子サン…本当ニ申シ訳アリマセン。不甲斐ナイ 私ヲ オ許シ クダサイ。モット イイ ルートヲ ゴ提示 出来タラ 良カッタンデスケド…。」
「そんなに謝られると逆にちょっと怖いですけど…気を落とさないで下さい、ナビさん。私は田中農園さんにこの書類を届けたらいいだけなので、ねっ!」
「アァ…自分ガ嫌デ タマリマセン。デモ、信ジテクダサイ! 菜々子サン ナラ 必ズ…」
ナビがそう言いかけた時、横から暴走した車が迫ってきた。最後に見たのは、その車に照らされた激しい光だった。
……ZZZ…
どれくらい眠っていただろう。よかった、目が覚めて。何であんな変な夢なんかみたんだろう…。私が夏子になっているなんて…
「目が覚めた?」
誰かが私に声をかける。
「うん。私、すごく変な夢見てた。」
「へえ、どんな?」
「それがね、最悪なの! 私が夏子になって、夏子の旦那さんが私の事、妻…なんて呼んで!」
「へえ、その旦那、どんな人だったの? 好みのタイプじゃなかった?」
「まったく…。どっちかって言うと私はああいうタイプの人、苦手だな…。絶対に結婚しようとは思わない…」
「…随分な言われようだな。」
え?
寝ぼけ眼を擦って目を開けると、あの男の人がベッド脇に立っていた。そう! 夏子の旦那さん! やっば~! 体から血の気が引いた。
「君が僕の事を愛していることなんて、一度だって無かった事くらい分かっていたけど、それにしてもそこまで言われるとは…」
夏子の旦那さんは私を冷たい目で見降ろして呟いた。
「あ、あの…違うんです! えっと…ちょっと待って! もしかして!」
私はトイレに走って行って鏡を見た。
う、嘘…
元に戻ってない…。私は夏子のままだった…。私が夏子になってしまったという事はもはや疑いようのない現実だ…。どうしてこんなことに…。
愕然としている私の背後に夏子の旦那さんがやって来た。
「午後から検査するらしいから。異常が無かったら退院できるそうだ。検査の結果が分かったら連絡して。」
「あ、あの…お名前うかがってもよろしいですか?」
「…君…夫の名前も忘れたの?」
夏子の旦那さんは呆れて溜息をついた。
「尚之だよ…。」
「は、はい、尚之さんですね! では只今確認いたします!」
私はいそいでベッド脇のテーブルに置いてあった夏子のケータイから尚之さんの番号を調べた!
「ありました! では検査の結果が分かり次第、速やかに連絡させていただきます! あの…ありがとうございました。よろしくお願い致します。」
「…頭の打ちどころが悪かったのか? …まるで別人だな…。」
尚之さんは私の事を訝し気に眺めていたが、私の行動が変なツボに刺さったのか、プッと吹き出して、でもそれを私に見られたのが屈辱であるかのように、すぐさま顔をしかめて部屋から出て行った。
「…何なんだろう、この夫婦…。」
そんな事、考えている場合じゃない! 落ち着け、私! 確か私は会社を出て車に乗ったはず。契約農場の田中農園さんに行こうとしていたんだ。いつも使っている会社の車がたまたま無くて、別の車を使わせてもらったんだ…そういえば…今まで見たことも無いナビが変な事を言ってたな…私の抱えている問題解決とか幸せを導くとか…。車を発進させようとしたら、確か横から暴走してくる車がいて…ぶつかった? そうよ、そのせいだとしか思えない。衝突した時に、きっと私は夏子の体の中に入ってしまったんだ。よくSFとかであるけど…まさか本当に起きるなんて! でも…何で夏子なの? 待って! と、いう事は、夏子は私になっているという事? う~ん、ますます分からなくなってきた! …そもそも私は生きているの?
そんな事を考えていると眩暈がしてきて、またその場に倒れてしまった。
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