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まんまるムーン

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6 全く性格の違う菜々子と夏子が入れ替わった! 会社は? 夫婦生活は? どうすればいいのよ~!

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 その日の午後、私は遥人君の通っている中学へ行った。例の遥人君の個人懇談会の為だ。保護者会の格好って…こんな感じでいいのかな? 私が菜々子だった頃に大輝の保護者会には何度も行っていたけど、ずっと公立だったし田舎だったから、保護者たちはみんな普段着っぽい格好で行っていた。でも、都会の私立校だとそうはいかないよね…。

 私は前もって本屋に行き、セレブ主婦雑誌なるものを初めて読んでみた。そこには、私の求める保護者会突破コーデなる特集がちゃんと組まれていた。ハァ~、一流雑誌の編集部の皆さん、やっぱり抜かりないわぁ~! 遥人君に恥をかかせるわけにはいかない! 頑張りますよ~!

 さっそくマンションに帰って夏子のクローゼットを開けた。さっき研究したコーデに近い洋服があった。さすが夏子、抜かりないな! タグを見るとTheoryと書いてあった…。この全身コーデだけで元の私の給料の大部分が飛んじゃいそうだな…。全く…洋服着るだけでストレスだよ…。



 遥人君の学校へは、地下鉄を二回乗り継いで、最寄り駅から15分くらい歩いた。けっこう遠いな…。以前住んでいたとこからは近いのかな? 大輝の高校なんて、家から自転車で10分くらいなのに…。朝から満員電車に揺られている遥人君を想像すると可哀そうになった。学校が見える位置まで来ると、校門の前に遥人君が待ってくれているのが見えた。

「待っていてくれたの?」
「…教室分かんないだろうなと思って…。」
「ありがとう! 遥人君、優しいんだね!」
「…別に…」
遥人君はそっぽ向いた。でも私には見えた。彼は顔を赤くして照れていたのだ。少し心を開いてくれたのかな…。私は嬉しく思った。
「豪華な学校だね…」
校内はまるでヨーロッパかどこかの建物のようだった。きっとお金持ちの子供が通うんだろうな。庶民の私はこの雰囲気に圧倒され、居心地の悪さを感じていた。
「見せかけだけさ…。」
遥人君はポツリと呟いた。


 長い廊下を歩いて遥人君の教室の前についた。
「初めまして。担任の春岡と申します。よろしくお願いいたします。」
教室の扉を開けると、中年の担任の女の先生がすでに私たちを待ち構えて満面の笑みでそう言った。
「初めまして。桜井です。」
「やっと、お会い出来ましたね。ずっとご連絡差し上げていたのですが、お母様はとてもお忙しい方のようで…」
…? お母さま?
「違うよ。この人は叔母です。」
遥人君が言った。
「叔母様? 私はお母さまに来ていただくように伝えたはずなのですが…」
「すみません! 夫から言われたもので、私が話を聞くわけにはいきませんか?」
「…しょうがないですね。きっとこの先もいらっしゃらないでしょうし…」
春岡先生は不機嫌さを隠さずそう言った。

「今回、来ていただいたのは、遥人さんの欠席の多さについて伺おうと思ったからです。」
「…そんなに欠席してるんですか?」
「一学期は半分くらいしか来ていません。」
「え! 遥人君、そうなの?」
「…。」
「あの、失礼ですが桜井さん、あなた遥人さんの保護者としてここへいらっしゃってるのですよね? そんな事もご存知ないのですか?」
「…そ、それは…その…」
「叔母は交通事故に遭って、今は少し記憶障害を起こしてるんです!」
遥人君がフォローしてくれた。
「まあ、交通事故に…。それは失礼いたしました。ですが…記憶障害を起こしているお体で、中学生を、しかも自分のお子さんで無いお子さんを預かるって、いかがなものでしょうか? ちゃんと保護責任を果たせるのですか?」
「…それは…」
「遥人さんのよからぬ噂は私の耳に入っております。学校にも行かず、女の家に転がり込んでいるとか…夜な夜ないかがわしい店に出入りしているとか…あぁ、口に出すのもおぞましい! まだ中学生ですよ! あなた、どうお考えなのですか!」
春岡先生はこめかみに血管を浮き出していきなり怒鳴ってきた。遥人君を見ると、そんな先生に恨みを込めた顔で睨みつけている。先生はそう言っているけど本当なんだろうか? 学校の先生が根拠も無くそんな事言えるわけないだろうし、確かに遥人君は今まで辛い思いをしてきて、そういう境遇にある子って非行に走ってしまうことも少なくないっていう。考えられなくはないけど…。

 ふとその時、食事の時の遥人君を思い出した。きちんと手を合わせていただきますとごちそうさまを言っていた。そんな子がそのような事するだろうか?
「遥人君、先生のおっしゃっていること、本当なの?」
私は小声で遥人君に聞いてみた。
「…学校にあまり行ってない事は確かだけど…俺…別に悪い事なんてしてない…」
遥人君は俯いたまま小さく震えながら小声で呟いた。

「遥人さん! お話しするときは、相手の目を見て話すのが礼儀でしょう! 私の目を見て答えられないと言うなら、その噂は本当だという事ですね! 入学式には遥人さんの祖父母さまが来ていらっしゃったので、私はまだお母さまにお会いしておりませんが、いったいどういう躾をされているのでしょう…。きっと全くの放任状態なんでしょうね…。親が親なら子も子ですね…」
「ちょっと! そういう言い方は無いんじゃないですか? 確かに欠席は多いようですけど、この子は悪い事などしていないと言っています! 先生がそんな高圧的な話し方をされていたら、言いたいことも話せなくなって当たり前じゃないですか! 人の事とやかく言う前に、もっとご自分を振り返った方がいいんじゃありませんかっ!」
遥人君が大輝と被って見えて、私の感情は暴走してしまった…。
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