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6 全く性格の違う菜々子と夏子が入れ替わった! 会社は? 夫婦生活は? どうすればいいのよ~!
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しおりを挟む「いらっしゃいませ、桜井様! お待ちしておりました! 今日はいつもと雰囲気ガラっと違いますね! カジュアルな格好もお似合いです!」
担当の本田さんは満面の笑みでそう言った。いつもとガラっと違うって、夏子、どんな格好で来てるんだろ? お店はすごく素敵で、場違いな私は(夏子は似合っているんだろうけど)居心地が悪かった。しかし、さすが高級店、スタッフの対応は素晴らしくて、居心地の悪さも気付くとどこかへ吹っ飛んでいた。そして至極の一時間。半分は気持ちよすぎて寝てたけど…。そしてプロの手にかかると、肌に磨きがかかった。
元々夏子の肌は綺麗だったけど、この透き通るような艶は素人じゃ出せないよ…。凄いな…。お金の力って、なんて凄いの! 施術が終わって通されたリラックスルームのソファで寛いでいると、本田さんがハーブティーを持ってきてくれた。
「美肌効果のある、オーガニックのハーブティーです。私も飲んでいるんですけど、すごく美味しいんですよ。」
「ありがとうございます。」
飲んでみると…あれ? 前にもこういうの飲んだ覚えがある。でも、そっちの方が遥かに美味しかった…どこでだっただろう…あ、そうだ! うちの会社の社長が探してきた、東京から移住してきた夫婦が、完全無農薬でめちゃくちゃ丁寧に作っているあのハーブティー! あれ、本当に美味しかったんだよね~。でも、田舎のスーパーに置くには値段が高すぎて、全く売れなくて、大赤字出して会長からダメ出しされちゃったんだ…。あの時社長、会長からけちょんけちょんに怒られてたっけ…。
私は目の前のティーカップの中のハーブティーをまじまじと見た。私がそのお茶に興味があると思ったのか、本田さんは言った。
「そのお茶、販売もしているんです。良かったらいかがですか?」
「…あの…おいくらなんですか?」
本田さんがニッコリ笑顔で金額の書いてあるパンフレットを見せてくれた。私は即座に答えた。
「遠慮させていただきます…。」
うちの会社で売っていた金額に0が一つ多かった…。
エステは気持ち良かったけど、私は打ちのめされた気分でサロンを後にした。この世の中の富の集中、エグすぎる…。そう、この現代の格差社会というものに私は滅多打ちにされた気分だった…。
グゥ…
こんな打ちのめされた気持ちでいてもお腹は空くのね…。ちょうど目の前にコンビニがあった。私はメロンパンと牛乳を買って、公園のベンチに座ってそれを食べた。
一人寂しくメロンパンを食べていると、目の前に楽しげな都会人たちがたくさん通り過ぎていく。みんなオシャレでシュッとしてて…私もずっとこっちに住んだらあんな風になれるのかな…。夏子は田舎育ちなのに、何故こんなに都会的なんだろう? それも生まれ持った才能なのだろうか…。それに比べて私は…。私の自己肯定感は益々急降下していった。
その時またラインが来た。今度は何?
“本日のレッスン、15時にお待ちしておりま~す。松山”
レッスンって何よ? そしてこのテンション高めな怪しいメール…。
私はそのちょっと浮かれた感じの松山なる人物にラインを返信した。
“あの…どちら様ですか?”
すぐに返信が来た。
“まったくぅ、夏子ちゃんったら、すぐ僕をいじるんだから! パーソナルトレーニングをさせていただいてる松山でつっ! 今日も美ボディ目指して頑張りましょっ!”
パーソナルトレーニングッ! これからっ? さっきのエステで気疲れしてぐったりなのに、これから体鍛えるの? もう勘弁してぇ~!
でも予約してあるので迷惑かけるわけにもいかないので、急いでマンションへ戻ってトレーニングウェアを準備し、重い脚を引きずってパーソナルトレーニングへ向かった。浮かれた感じの松山なる人物は、浮かれているのはその顔と言動だけで、やることは鬼だった…。ハッキリ言って、地獄のトレーニングだった。2時間もの間、軍隊の如きトレーニングをさせられて、やっと解放されると思ったその時、松山なる男はいとも簡単に言い放った。
「じゃ夏子ちゃん、また3日後ねぇ~!」
3日後だって~? もういいよ! 一生分の筋トレしましたよ、私!
目で訴える私の眼光を押し戻すかの如く、松山なる男は目から洗脳ビームを出して、次回の予約を有無を言わさず決めさせた…。
…でも…わかったよ。夏子のこの抜群のスタイルと美貌は、生まれ持ったものだけじゃなくて、血の滲むような努力で作られたものだったって…。夏子があれだけ自信満々にしているのも、美に対してこれだけ貪欲に努力しているからだったんだ…。ごめん、夏子…。私、あなたの事、少し誤解してた…。その時またラインが来た。
“桜井様、そろそろホワイトニングの時期が参りましたので、ご連絡させていただきました。”
もぅ~いいよ~~~!!!!
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