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しおりを挟む彼女は持ってきたエプロンを付けて机の発掘作業を始めた。
途中からマスクをしていた。
ホコリが飛んでくるからと、俺にもマスクをくれた。
事務用品のカタログや段ボールやチラシ、以前お客さんなどからもらったお中元やお歳暮、おまけでもらった皿やカップ、ありとあらゆるものが絶妙なバランスでお互いを支えあい、小山を作っていた。
作っていたって、作者は俺なのだが…。
その得体のしれぬ小山の表面を一つずつ彼女は解体していった。
これ…ほっといたら俺の作業スペースまで増殖していたな…彼女を雇ってよかったかも…。
ま、臨時だけど…。
「先生! ビール発見しました! 保管しときますね!」
「先生! こんなにたくさんのコーヒーの詰め合わせが!」
「先生!」
彼女はゴミの中にたくさんの宝を発掘していった。
「賞味期限切れて無かったらあげるよ。」
「ほんとですか? イヤッフー!」
喜びの小躍りをしている…。
彼女は発掘作業に俄然力が入ったようだ。
彼女が片付けをしている途中、予約のあったお客さんがやってきた。
俺は彼女にお茶を持ってくるようお願いした。
「全力でお茶出しさせていただきます!」
彼女は眉間に皺を寄せてかなりの眼圧で俺に誓った。
お茶くらいそんなに気合入れなくても…。
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