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しおりを挟む「麗子ちゃん、何にする?」
おふくろは彼女の事をすでに麗子ちゃんと呼んでいる。
「お母さま! このズワイガニのピザ美味しそうですね!」
やめてくれ、そんな会話、まるで嫁と姑みたいじゃないか…。
「ミー君は何にする?」
「だからミー君って呼ぶの…」
「そうだっ! 麗子ちゃん! 三つ別々の物を選んでみんなでシェアしない?」
「お母さまっ! ナイスアイデアですっ!」
まるで俺の存在など気にも留めない感じで女二人は仲良く注文を決めてしまった。
きっちり食後のデザートも注文済みだ。
最初から俺の意見を聞くつもりが無いのなら「何にする」なんて振らないでほしい…。
そしていくら止めようとも俺はミー君であり続けるらしい…。
食事は美味しかった。
ズワイガニのピザも、ウニのパスタも、魚介のアヒージョも。
スープやサラダや前菜も凝っていて、おふくろも彼女も満足そうにしていた。
デザートを食べ終えて、食後のコーヒーを飲んでいた時、入り口から見たことがあるような女性が入ってきた。
女性はその母親くらいの年齢の女性と二人で入ってきた。
確かに見たことがある…。
誰だったかな…。
思い出せないのがもどかしくて、ついつい女性の顔を凝視してしまった。
女性は俺の視線に気づくや否や、あからさまに嫌悪感丸出しの顔で俺を睨んだ。
そして横の年配の女性に耳打ちした。
年配の女性は鬼のような形相でこっちにやって来た。
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