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しおりを挟む麗子の父と母は籍こそ入れて無かったが、傍目には普通の家族のようだった。
いや、普通の家族より仲が良かった。
父は綾子と娘が生活に困らないだけの援助をしていたし、麗子の前に時々現れる妖精のおばあさんは、麗子をとても可愛がってくれた。
麗子は小学校にあがる頃には、その妖精さんは自分のおばあちゃんなのだと気づいていた。
大学を卒業してからは、父親の一族が経営するグループ企業の会社で、麗子の叔父、つまり父親の弟が社長を務める会社に就職した。
麗子の教育担当は沢渡だった。
沢渡は明るく素直な麗子をとても可愛がってくれた。
そして沢渡は次第に麗子に恋愛感情を抱くようになっていた。
麗子が入社して二年が過ぎようとした時、麗子を可愛がってくれた祖母、妖精のおばあさんが無くなった。
祖母の死後、弁護士が彼女の遺言を持ってきた。
祖母は、その莫大な財産のうち、かなりの額を麗子に残すことにしていた。
それに憤慨した他の親族たちは、麗子にあからさまな敵意を向けるようになった。
会社の中での麗子の立場も微妙になった。
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