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しおりを挟む「晴香さん、麗子の顔もみたくないんじゃないかな…。きっと嫌われてると思うし…」
「もし仮にそうだとしても…僕は麗子にお願いしたいんだ。君は人を元気にさせる力をもっているから。麗子にこんな筋違いなお願いするなんて、酷い父親だってわかってる。でも、どうかパパの最後の願いを聞いてほしい。」
「わかった。がんばってみる! だからパパも病気に負けないで!」
「ありがとう。麗子、愛しているよ。」
それから間もなく一郎は息を引き取った。
麗子は父を失った悲しみで辛くて堪らなかったが、父との約束を果たすため、晴香の元へ通うようにした。
晴香は駅から近い高層マンションの最上階に住んでいた。
母親の和恵が精神病を患い施設で暮らすようになってから、ずっと一人で暮らしていた。
以前は本家からお手伝いさんが来て身の回りの世話をしてくれていたが、自殺未遂の後、病院を退院してからは、人と会いたくないと言って寄せつけなくなった。
必要な物はほとんど宅配で取り寄せるようになって、一人塔の上に引きこもった。
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