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一章
2話 3人での朝食
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「おはよう、アル様~。」
眷属のうちの1人が元気よく返事をする。2人の眷属は体格は同じようなものの、纏った雰囲気は正反対とも言えるものだった。
ギルと呼ばれた眷属は短めの赤髪に吸血鬼特有の赤い瞳、見た目で感じられる活発さ、軽快さはまさにその通りで野性味のある色気を帯びていた。ノアと呼ばれた眷属は銀髪で目にかかるほどの長さの髪をオールバックにし、同じく赤い瞳を持っていた。紳士的で清涼感のある佇まいをしており、見る人に好感を抱かせる。
そんな2人が自慢で仕方のない主人ことアルフレッドも、なかなかの親バカならぬ眷属バカだった。2人をまだ幼い時に迎え入れ、育ててきたアルフレッドは2人を我が子のように愛していた。
5年前に、2人の成長が止まってからは大人になった2人に、眷属の契約を解除すると伝えたが、2人は頑として首を縦に振らなかった。我が子のように愛してきた2人を自分のせいで狭い世界に閉じ込めたくなかったアルフレッドは契約を解除し、2人の前から姿を消したが、2人は必死にアルフレッドの姿を3年間探し続け、求め続けた。
2人のことを気にかけ、自分を必死に探している姿を見ていたアルフレッドはついには耐えられなくなり2人の元に姿を表した。2人は必死にアルフレッドに懇願し、再契約を結んでもう二度と2人を置いていかないと約束したのだ。
アルフレッドは今までの長い年月の中で、2人以外に幾人かの眷属を持ってきた。皆一様に自分の元を離れたがらなかったが、契約を解除し、説得やアルフレッドが目の前から姿を消すと皆は自然と世界に溶け込んでいったのだ。自ら旅立たせたとはいえ、長く共にしてきた我が子のような眷属たちを送り出すのは辛く、寂しいものだった。
本音を言うと2人がここまで自分の元を離れたがらなかったのは親としてかなり嬉しいものだった。そのため3人は森深くの広い屋敷でひっそりと穏やかに暮らしている。
「うん、ギルもおはよう。」
もう一度、穏やかに返事をするアルフレッドはまだ少しだけ重たい瞼を持ち上げながらにっこりと微笑む。
「アル様ぁ~また抜け出したんですか?いつも同じ場所にいるからいいですけど、せめて書き置きくらいは残してくださいよ。」
「おい、アルフレッド様に失礼だろうが…静かにしてろこの単細胞。」
「ひっでぇなおい、アル様聞きましたか今の!この口の悪さは一生治りませんよ。」
「アルフレッド様、朝食の用意ができました。一緒に参りましょう。」
ギルの言葉を無視してノアは微笑みながらアルフレッドに声をかける。後ろでブツブツと文句を垂れてるギルと、それを完全に無視するノアの2人が面白くてアルフレッドはついつい口元を緩めてしまう。
「ふふ…、朝から元気だね2人とも。」
自分たちの主人が笑ってくれたことが何よりも嬉しくて眷属の2人もつい笑顔になってしまう。
「さぁ、行きましょうアルフレッド様。」
「腹も減ったし早く行こうぜアル様~。」
吸血鬼は一般的な人間の食事を取ることができ、味も感じるし満腹感も得ることができるが人間の食事では吸血鬼としての活動に必要な栄養を摂ることができない。そのため食卓のグラスにはいつも真っ赤な鮮血が注がれている。
この世界で人間が自ら血を売ることは国で禁止されているが、裏社会ではかなりの高額で取引が行われている。吸血鬼による吸血行為には性的快感を得ることができるため、自ら好んで血を飲ませる物も少なくはない。その為、吸血鬼専用の娼館も存在し、普段は普通の娼館として営業しているが特別な会員証を見せることで、吸血行為を黙認し、高額な金銭で売買が行われている場所もある。
ヴァンパイアのように無差別に人を襲うわけではなく、理性のある吸血鬼は元は人でもあり、人間が好きな奴も多いので人々からの警戒も薄い。まぁ、バレたらハンターがこぞってやってくるのでバレない様に暮らしている。
3人の食卓のグラスの中にある真っ赤な鮮血は先ほどギルが森で仕留めてきた鹿の血だった。アルフレッドは人間の血を好まない。所謂ベジタリアンとでも言われるような部類の吸血鬼だった。飲めないわけではなく飲まない。
このように動物の血で生きている吸血鬼は一般的な人間の血飲む吸血鬼よりも身体能力の低下が見られるのだが、数千年の時を生きてきたアルフレッドにはそれが見られなかった。寧ろ一般的な吸血鬼よりもはるかに強い。
毎日アルフレッドと食事を共にしてきた眷属の2人は、動物の血だけではアルフレッドの役に立てないと考え、夜な夜な外に出て人間の血を飲んでいる。それはアルフレッドも気付いており、特に自分に合わせる必要もないと気にしていなかった。寧ろ外に出ることはいいことだと喜んですらいた。
一緒に朝食を食べ終えたノアがアルフレッドに声をかける。
「昨晩は随分と冷え込みましたしお身体は冷やされておりませんか?」
吸血鬼に体温など関係ないのにそんな心配をしてくれるノアが可愛くて仕方がない。
「大丈夫だよ、ありがとうノア。」
「本日は久しぶりに街に出る予定です。アルフレッド様はどういたしますか?」
いつもだったらノアだけで街に行かせてギルと自分は屋敷での引きこもり生活を満喫しているところだったが、今朝の日光浴で気分も良く、久しぶりに街に出てみる気分になった。
(街に出るのは約半年ぶりか…。)
「今日は一緒に街に出るよ、久しぶりにお買い物でもしてみようかな。ギルはどうする?」
その場にいたギルが拗ねないようにちゃんと聞くことは忘れない。
「アル様が行くなら俺も行きますよ~。」
当然とばかりに返事をするギルはアルフレッドとのお出かけに心躍らせていた。
「かしこまりました。そのように準備致します。」
深く頭を下げたノアも久しぶりの主人とのお出かけに足取りが軽くなっているように見えた。
「アル様はなんか見たい物でもあるんですか?」
「んー、特には無いけど今日は天気もいいし久しぶりに外出しようかと思ってね。」
「じゃあ俺が美味しい店紹介しますよ、昼はそこで食べましょう。」
「それは楽しみだ。」
約半年ぶりの外出にアル自身も浮き足立っていた。
***
会員者→会員証に訂正しました。
眷属のうちの1人が元気よく返事をする。2人の眷属は体格は同じようなものの、纏った雰囲気は正反対とも言えるものだった。
ギルと呼ばれた眷属は短めの赤髪に吸血鬼特有の赤い瞳、見た目で感じられる活発さ、軽快さはまさにその通りで野性味のある色気を帯びていた。ノアと呼ばれた眷属は銀髪で目にかかるほどの長さの髪をオールバックにし、同じく赤い瞳を持っていた。紳士的で清涼感のある佇まいをしており、見る人に好感を抱かせる。
そんな2人が自慢で仕方のない主人ことアルフレッドも、なかなかの親バカならぬ眷属バカだった。2人をまだ幼い時に迎え入れ、育ててきたアルフレッドは2人を我が子のように愛していた。
5年前に、2人の成長が止まってからは大人になった2人に、眷属の契約を解除すると伝えたが、2人は頑として首を縦に振らなかった。我が子のように愛してきた2人を自分のせいで狭い世界に閉じ込めたくなかったアルフレッドは契約を解除し、2人の前から姿を消したが、2人は必死にアルフレッドの姿を3年間探し続け、求め続けた。
2人のことを気にかけ、自分を必死に探している姿を見ていたアルフレッドはついには耐えられなくなり2人の元に姿を表した。2人は必死にアルフレッドに懇願し、再契約を結んでもう二度と2人を置いていかないと約束したのだ。
アルフレッドは今までの長い年月の中で、2人以外に幾人かの眷属を持ってきた。皆一様に自分の元を離れたがらなかったが、契約を解除し、説得やアルフレッドが目の前から姿を消すと皆は自然と世界に溶け込んでいったのだ。自ら旅立たせたとはいえ、長く共にしてきた我が子のような眷属たちを送り出すのは辛く、寂しいものだった。
本音を言うと2人がここまで自分の元を離れたがらなかったのは親としてかなり嬉しいものだった。そのため3人は森深くの広い屋敷でひっそりと穏やかに暮らしている。
「うん、ギルもおはよう。」
もう一度、穏やかに返事をするアルフレッドはまだ少しだけ重たい瞼を持ち上げながらにっこりと微笑む。
「アル様ぁ~また抜け出したんですか?いつも同じ場所にいるからいいですけど、せめて書き置きくらいは残してくださいよ。」
「おい、アルフレッド様に失礼だろうが…静かにしてろこの単細胞。」
「ひっでぇなおい、アル様聞きましたか今の!この口の悪さは一生治りませんよ。」
「アルフレッド様、朝食の用意ができました。一緒に参りましょう。」
ギルの言葉を無視してノアは微笑みながらアルフレッドに声をかける。後ろでブツブツと文句を垂れてるギルと、それを完全に無視するノアの2人が面白くてアルフレッドはついつい口元を緩めてしまう。
「ふふ…、朝から元気だね2人とも。」
自分たちの主人が笑ってくれたことが何よりも嬉しくて眷属の2人もつい笑顔になってしまう。
「さぁ、行きましょうアルフレッド様。」
「腹も減ったし早く行こうぜアル様~。」
吸血鬼は一般的な人間の食事を取ることができ、味も感じるし満腹感も得ることができるが人間の食事では吸血鬼としての活動に必要な栄養を摂ることができない。そのため食卓のグラスにはいつも真っ赤な鮮血が注がれている。
この世界で人間が自ら血を売ることは国で禁止されているが、裏社会ではかなりの高額で取引が行われている。吸血鬼による吸血行為には性的快感を得ることができるため、自ら好んで血を飲ませる物も少なくはない。その為、吸血鬼専用の娼館も存在し、普段は普通の娼館として営業しているが特別な会員証を見せることで、吸血行為を黙認し、高額な金銭で売買が行われている場所もある。
ヴァンパイアのように無差別に人を襲うわけではなく、理性のある吸血鬼は元は人でもあり、人間が好きな奴も多いので人々からの警戒も薄い。まぁ、バレたらハンターがこぞってやってくるのでバレない様に暮らしている。
3人の食卓のグラスの中にある真っ赤な鮮血は先ほどギルが森で仕留めてきた鹿の血だった。アルフレッドは人間の血を好まない。所謂ベジタリアンとでも言われるような部類の吸血鬼だった。飲めないわけではなく飲まない。
このように動物の血で生きている吸血鬼は一般的な人間の血飲む吸血鬼よりも身体能力の低下が見られるのだが、数千年の時を生きてきたアルフレッドにはそれが見られなかった。寧ろ一般的な吸血鬼よりもはるかに強い。
毎日アルフレッドと食事を共にしてきた眷属の2人は、動物の血だけではアルフレッドの役に立てないと考え、夜な夜な外に出て人間の血を飲んでいる。それはアルフレッドも気付いており、特に自分に合わせる必要もないと気にしていなかった。寧ろ外に出ることはいいことだと喜んですらいた。
一緒に朝食を食べ終えたノアがアルフレッドに声をかける。
「昨晩は随分と冷え込みましたしお身体は冷やされておりませんか?」
吸血鬼に体温など関係ないのにそんな心配をしてくれるノアが可愛くて仕方がない。
「大丈夫だよ、ありがとうノア。」
「本日は久しぶりに街に出る予定です。アルフレッド様はどういたしますか?」
いつもだったらノアだけで街に行かせてギルと自分は屋敷での引きこもり生活を満喫しているところだったが、今朝の日光浴で気分も良く、久しぶりに街に出てみる気分になった。
(街に出るのは約半年ぶりか…。)
「今日は一緒に街に出るよ、久しぶりにお買い物でもしてみようかな。ギルはどうする?」
その場にいたギルが拗ねないようにちゃんと聞くことは忘れない。
「アル様が行くなら俺も行きますよ~。」
当然とばかりに返事をするギルはアルフレッドとのお出かけに心躍らせていた。
「かしこまりました。そのように準備致します。」
深く頭を下げたノアも久しぶりの主人とのお出かけに足取りが軽くなっているように見えた。
「アル様はなんか見たい物でもあるんですか?」
「んー、特には無いけど今日は天気もいいし久しぶりに外出しようかと思ってね。」
「じゃあ俺が美味しい店紹介しますよ、昼はそこで食べましょう。」
「それは楽しみだ。」
約半年ぶりの外出にアル自身も浮き足立っていた。
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