理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました

ぺきぺき

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第一章 無計画な婚約破棄

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将来、王族の一員として国政を担うことになるヨーゼフの下に側近候補となる同年代の少年たちが集まるようになっていた。中には第二王子を王位につけようとする貴族家の少年も何人かいたが、優秀なヨーゼフは瞬時に見破り、寄せ付けることはなかった。

そんな中、ヨーゼフのお眼鏡にかなったのは二人。

一つ年上であり文官を多く輩出する家の出であるダミアン・ギーツェン伯爵令息と、二つ年下でクラウディアの義理の弟であるクラウス・ヘルムフート公爵令息である。


ダミアンはギーツェン伯爵家の次男であり、黒髪の理知的な顔つきの少年であった。普段は優秀なヨーゼフの関連の奇行も冷静に受け止めたことが国王陛下からも高く評価されていた。

クラウスはヘルムフート公爵家の一人娘であったクラウディアに代わり、公爵家を継ぐために親戚筋から養子に迎えられていた。幼い頃から姉であるクラウディアの苦労話を聞いていたため、ヨーゼフの奇行に驚きもしなかった。


先日、『未来の姫のために髪結いを覚えたい!』と突然言い出したヨーゼフがクラウディアのセットされた髪をぐちゃぐちゃにほどき始めた時も、ダミアンはブラシを差し出し、クラウスは金髪の鬘を被ったマネキンを用意する手際の良さだった。

クラウディアは諦観の表情で遠くを見つめていた。


「これでも大分マシになられたのよ?昔は所かまわず『姫が』『姫が』とおっしゃっていたけれど、最近は私たちの前とご家族でおられる時だけだと聞くし。」

当時、ヨーゼフとはすでに五年の付き合いがあったクラウディアは女神の微笑みで受け流す。いつかヨーゼフがクラウディアの包容力に気づき恋に落ちるのではないか、いや落ちてくれ、というのが周囲の願いだった。



ーーーー



ヒューゲンでは国内のすべての貴族が15歳から三年間、貴族学園に通うことが義務付けられている。ヨーゼフも三つ年上の王太子が卒業した次の年に婚約者のクラウディアと共に貴族学園に入学した。ダミアンは一足先に貴族学園に入学済みである。

「クラウディア嬢、ダミアン君、くれぐれもヨーゼフのことをよろしく頼む。」

「おかしなことを口走って王家の威厳を落とさないように…。」

「「承りました。国王陛下、王妃様。」」

クラウディアが優雅にカーテシーを、ダミアンが敬礼をする横で、ヨーゼフは怪訝な顔だ。

「父上、母上、私がいつ王家の威厳を落とすようなことを言いましたか?」

「おまえは…。」

「あなたは…。」

国王夫妻は肩を落とす。


「学園ではあなたの大好きな『姫』の話はしてはダメよ。」


この時の王妃の教えをダミアンは忠実に守っていく。



ヨーゼフの外部からの評価を簡単に説明しておこう。

ヨーゼフは近隣国の言語を学園入学時にはある程度マスターしており、15歳の時点ですでに自国語を含め四か国語で日常会話をこなすことができた。
また、剣の腕も申し分ないものであり、騎士団に交じって訓練を行うこともあるほどだった。さらに、他国の文化にも知識が深く、将来は外交を担うことになるのではないかと言われていた。

立太子してもおかしくないほど優秀だと言われていたが、本人はあくまでも兄である王太子を立てている。見た目も王家の色である赤毛に赤褐色の瞳、さらに言うと王妃に似て王太子よりも美形でもあった。

優秀でありながら、謙虚。そしてかっこいい。


熱狂的な女子学生たちにキャーキャー言われる存在である。



基本は婚約者であるクラウディアが隣に控えて女子学生を寄せ付けないが、二人は常に一緒にいるわけではない。また、ヨーゼフはとても愛想がいい王子であったため、女子学生と距離を保って会話をすることもしばしばだ。

そして、たまに若さゆえの抜けた言動をし、それはあっという間に目ざとい熱狂的なファンに見つかってしまう。そして、学生の間や社交界に広まってしまう。

これにはクラウディアもダミアンも頭を抱えた。


曰く、第二王子は金髪の女性に熱い視線を送っている、とか。

曰く、第二王子が明るい金髪に青い瞳の女性の絵を描いていた、とか。

曰く、第二王子の服に金色の髪がついていた、とか。


案外、女性陣はそう言った情報に敏感に気づく。そして、その手の噂に常に”金髪”というキーワードがついて回る。二年後には『第二王子は金髪の女性が好きらしい』という噂が出回るようになった。

婚約者であるクラウディアはブルネット、美しい茶髪の持ち主である。つまりは、第二王子の好みではないのだ。


ここで、恋人の座を狙う金髪の女子学生が爆誕する。



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