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第一章 無計画な婚約破棄
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「ヨーゼフ様!」
妃教育で忙しくしているクラウディアはあまり学園にはいないことも多くなっていた。それは執務の増えてきたヨーゼフもだったりする。
それでもクラウディアは常に学園でのヨーゼフの動向を気にかけていたし、弟であるクラウスも逐一報告していた。そのため、クラウディアがヨーゼフが運命の人と出会ったと知るのはその日の夜のことだった。
「クラウスから聞きました!タウラー男爵令嬢を追いかけまわし、告白をなさったそうですね!それも人通りのある外で!」
「ああ、クラウディア!もう聞いたのかい?そうなんだ!」
クラウディアは怒っていたが、ヨーゼフは浮かれていて全くそれに気づいていなかった。幸せオーラ全開でお花を飛ばす。
「マリアといってね。姫と同じ明るい金髪と青い瞳の可愛らしい子なんだ!私と同じで『眠れる森の姫』が好きだったらしくてね!告白をしたら恋人になってくれるそうなんだ!」
「…本気ですか?」
「本気に決まっているだろう!」
クラウディアは頭が痛いと言うように額に手を当てた。隣では急遽呼び出されたもう一人の側近、ダミアンも同じように頭を抱えている。
「本気とはどういうことだ?」
重苦しい雰囲気の部屋の扉が開き、男性にしては小柄ながら、がっしりとした体つきの青年が入室してきた。クラウディア、ダミアン、クラウスの三人が急いで頭を下げるのを手で制したその人はヨーゼフと同じく赤い髪と赤褐色の瞳をしていた。
ヨーゼフの兄、王太子のエアハルトである。
「兄上。」
「ヨーゼフ、ついに運命の姫を見つけたそうだな?」
「そうなのです!」
ヨーゼフの顔は輝いたが、エアハルトは渋い顔だ。
「それで、恋人になったそうだが、その後はどうするんだ?結婚するのか?」
「もちろんです!彼女は私の運命なのですから!」
「それで、クラウディア嬢はどうする?」
クラウディアとヨーゼフは二年後に結婚することになっている。
「婚約を解消します。構わないよね、クラウディア?」
クラウディアの顔は引きつってピクピクしている。
「それで、結婚して、その娘を第二王子妃にするのか?」
「…。」
ここまで周囲を困惑させるほど気持ちのいい即答を繰り返していたヨーゼフだが、この問いには答えられなかった。なぜならマリアは男爵令嬢。王子妃になれるのは伯爵家以上の令嬢だけだ。
「いえ、彼女は男爵令嬢ですので、王子妃にはなれません。」
「そこは覚えていたのだな…。」
「なので、私が王籍を抜け、平民となります!」
「そんなことできるわけあるか…!!」
エアハルトの怒りの叱責が飛んだ。それもそのはず。エアハルトは昨年第一子を設けたが王女であった。まだ妻との間に王子は生まれていない。つまり、ヨーゼフはエアハルトに次ぐ王位継承権を持つ者なのだ。
「な、なにも今すぐにとは言っておりません。兄上に王子ができてからでも。」
「この先、王子ができないかもしれないだろう。それでも王籍を抜けるというのか?それともその娘をどこかの養女にして王子妃にするのか?クラウディア嬢をさしおいて?」
クラウディアも才媛として名を馳せている。わざわざ婚約を解消し、身分の低いものを王子妃とするにはそれなりの理由が必要だ。すくなくとも、その者はクラウディアよりも優秀でなければならない。
「義姉上はすぐに身ごもられました!男児が生まれる可能性も高いでしょう!」
ないかも、あるかも、では結論が出るわけがない。待ったをかけたのは、ずっと黙っていたクラウスだ。
「エアハルト様、ヨーゼフ様、落ち着いてください。ここは、状況を見守りましょう。」
二人の王子は怪我んな顔でクラウスを見る。
「ヨーゼフ様は長年探し続けてきた運命の姫とやらを見つけた今、折れることはないでしょう。なので、秘密裏に仲を深めていただけばいいのです。」
クラウディアとダミアンも怪訝な顔をクラウスに向ける。
「ヨーゼフ様も出会ったばかりの”姫”が王子妃に向いているのか、平民に向いているのか、はたまた愛人に向いているのか、わからないでしょう?」
「愛人!?私が運命の姫を日陰の身に置くはずがないだろう!!」
ヨーゼフは声を荒げたが、クラウスは無視した。
「とりあえず、結婚は置いておいて、お互いのことを知る期間を設けるのです。その間、姉上との婚約は保留に。」
妃教育で忙しくしているクラウディアはあまり学園にはいないことも多くなっていた。それは執務の増えてきたヨーゼフもだったりする。
それでもクラウディアは常に学園でのヨーゼフの動向を気にかけていたし、弟であるクラウスも逐一報告していた。そのため、クラウディアがヨーゼフが運命の人と出会ったと知るのはその日の夜のことだった。
「クラウスから聞きました!タウラー男爵令嬢を追いかけまわし、告白をなさったそうですね!それも人通りのある外で!」
「ああ、クラウディア!もう聞いたのかい?そうなんだ!」
クラウディアは怒っていたが、ヨーゼフは浮かれていて全くそれに気づいていなかった。幸せオーラ全開でお花を飛ばす。
「マリアといってね。姫と同じ明るい金髪と青い瞳の可愛らしい子なんだ!私と同じで『眠れる森の姫』が好きだったらしくてね!告白をしたら恋人になってくれるそうなんだ!」
「…本気ですか?」
「本気に決まっているだろう!」
クラウディアは頭が痛いと言うように額に手を当てた。隣では急遽呼び出されたもう一人の側近、ダミアンも同じように頭を抱えている。
「本気とはどういうことだ?」
重苦しい雰囲気の部屋の扉が開き、男性にしては小柄ながら、がっしりとした体つきの青年が入室してきた。クラウディア、ダミアン、クラウスの三人が急いで頭を下げるのを手で制したその人はヨーゼフと同じく赤い髪と赤褐色の瞳をしていた。
ヨーゼフの兄、王太子のエアハルトである。
「兄上。」
「ヨーゼフ、ついに運命の姫を見つけたそうだな?」
「そうなのです!」
ヨーゼフの顔は輝いたが、エアハルトは渋い顔だ。
「それで、恋人になったそうだが、その後はどうするんだ?結婚するのか?」
「もちろんです!彼女は私の運命なのですから!」
「それで、クラウディア嬢はどうする?」
クラウディアとヨーゼフは二年後に結婚することになっている。
「婚約を解消します。構わないよね、クラウディア?」
クラウディアの顔は引きつってピクピクしている。
「それで、結婚して、その娘を第二王子妃にするのか?」
「…。」
ここまで周囲を困惑させるほど気持ちのいい即答を繰り返していたヨーゼフだが、この問いには答えられなかった。なぜならマリアは男爵令嬢。王子妃になれるのは伯爵家以上の令嬢だけだ。
「いえ、彼女は男爵令嬢ですので、王子妃にはなれません。」
「そこは覚えていたのだな…。」
「なので、私が王籍を抜け、平民となります!」
「そんなことできるわけあるか…!!」
エアハルトの怒りの叱責が飛んだ。それもそのはず。エアハルトは昨年第一子を設けたが王女であった。まだ妻との間に王子は生まれていない。つまり、ヨーゼフはエアハルトに次ぐ王位継承権を持つ者なのだ。
「な、なにも今すぐにとは言っておりません。兄上に王子ができてからでも。」
「この先、王子ができないかもしれないだろう。それでも王籍を抜けるというのか?それともその娘をどこかの養女にして王子妃にするのか?クラウディア嬢をさしおいて?」
クラウディアも才媛として名を馳せている。わざわざ婚約を解消し、身分の低いものを王子妃とするにはそれなりの理由が必要だ。すくなくとも、その者はクラウディアよりも優秀でなければならない。
「義姉上はすぐに身ごもられました!男児が生まれる可能性も高いでしょう!」
ないかも、あるかも、では結論が出るわけがない。待ったをかけたのは、ずっと黙っていたクラウスだ。
「エアハルト様、ヨーゼフ様、落ち着いてください。ここは、状況を見守りましょう。」
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「ヨーゼフ様は長年探し続けてきた運命の姫とやらを見つけた今、折れることはないでしょう。なので、秘密裏に仲を深めていただけばいいのです。」
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「ヨーゼフ様も出会ったばかりの”姫”が王子妃に向いているのか、平民に向いているのか、はたまた愛人に向いているのか、わからないでしょう?」
「愛人!?私が運命の姫を日陰の身に置くはずがないだろう!!」
ヨーゼフは声を荒げたが、クラウスは無視した。
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