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第一章 無計画な婚約破棄
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「それではクラウディア嬢が…。」
その場にいたダミアンはクラウスの提案に困惑していたが、ヨーゼフはお花畑にいたので気づいていなかった。
「期限を設けましょう。殿下が学園を卒業するまでに姉上に関しては結論をお出しください。」
「わかった!そうしよう!」
ヨーゼフはこの時、クラウスが自分のために提案をしてくれたのだと思っていた。卒業まで一年弱あれば、義姉上もまた身ごもるかもしれない。兄夫婦に子が増えれば増えるほど、自分が王籍を外れることもしやすい。
実際、兄に王子が生まれ立太子すれば、ヨーゼフは大公位を賜ることになっていただろう。大公ではマリアを迎え入れるのに爵位が高いが、王子よりはマシだ。マリアが優秀であれば男爵令嬢であってもなんとかなるだろう。
「ちょっと、クラウス…。」
「姉上、この件は俺に任せてください。エアハルト様も一度様子を見ましょう。」
エアハルトは肩をすくめて見せるとあっさりと退室した。クラウディアも不服そうだが、クラウスに引っ張られ、退室していく。残されたダミアンは怪訝な顔をしていたが、ヨーゼフはすべてを些細なこととして流した。
…いつもの優秀なヨーゼフだったら何かに気づいていただろうに。
ーーーー
「へ、平民ですか…。」
翌日、ヨーゼフはこっそりと愛しのマリアを呼び出し、日差しの差し込む温かい部屋でクラウス監視のもとに逢瀬をした。昨日の話を伝えると、マリアは暗い顔をした。
「どうしたんだい?」
「いえ…、私は平民として暮らしていけるかと…。」
「大丈夫だ。私は語学に堪能だし、通訳の仕事などで雇ってもらえると思う。」
「しかし、元王族と分かったうえでは雇ってくれる人はいないのでは?ヨーゼフ様は王家の色をされていますし…。」
「印象を変える方法なんていくらでもあるよ。髪も染めればいい。」
「だけれど…、王族が平民になるなんてできるのですか?」
マリアが心配そうな顔で食い下がる。
「臣籍に降下される程度なのでは…。」
「普通はね。実際、私はこのまま兄上に王子が生まれれば大公位を賜る予定だった。」
「それで私と結婚するのでは、いけないのですか?」
「その場合、マリアはクラウディアよりも優秀でないといけないよ?」
「私、がんばります!」
「…マリア!」
可愛らしく拳を握る姿にヨーゼフは感動した。
「それじゃあ、教師を手配しよう。」
「え!?」
「どうした?」
「す、すぐにですか?」
「ああ。クラウディアは7歳の頃から妃教育を受けているんだ。すぐに始めないと追い付けないだろう?」
「そ、そんなに?」
翌日から第二王子の権限でマリアに教育係を手配した。マリアには周囲に補習を受けていると伝えさせ、授業後に秘密の特訓が始まった。
しかし、一週間後、教育係は深刻な顔でヨーゼフの下にやってきた。
「教育内容をもっと初歩的なものにされた方がいいと思います?」
「どういうことだい?」
「お嬢様は淑女教育の基礎もまだできていないということです。基本的な内容を学べる…そうですね。クラウディア様が5歳の頃に受けたような教育が必要でしょう。」
そんな馬鹿なと思ったが、マリアに話を聞けばしょんぼりとしていた。
「実は私は妾腹の生まれで、貴族教育をしっかりと受けられていないのです。」
「そうだったのか…。」
それではより初歩の教育ができる人を、と新しい教育係を手配した。しかし、今度は折檻されたとマリアに泣きつかれ、合わないようだと解雇した。
その後に手配した人物も、本来は幼子に教えるような内容であるためか、マリアと指導方法が合わないらしい。
「私には貴族教育は難しいみたいで…。」
「そうか…。マリア、貴族教育ができていなければ、貴族の夫人にはなれないよ?やはり、平民になるのが一番いいんじゃないかい?」
「いいえ!」
マリアははっとしたように大声で遮る。
「ヨーゼフ様を平民にはさせられません。私、頑張りますから!」
そこからは文句も言わずに基本の教育を受けるようになった。
その場にいたダミアンはクラウスの提案に困惑していたが、ヨーゼフはお花畑にいたので気づいていなかった。
「期限を設けましょう。殿下が学園を卒業するまでに姉上に関しては結論をお出しください。」
「わかった!そうしよう!」
ヨーゼフはこの時、クラウスが自分のために提案をしてくれたのだと思っていた。卒業まで一年弱あれば、義姉上もまた身ごもるかもしれない。兄夫婦に子が増えれば増えるほど、自分が王籍を外れることもしやすい。
実際、兄に王子が生まれ立太子すれば、ヨーゼフは大公位を賜ることになっていただろう。大公ではマリアを迎え入れるのに爵位が高いが、王子よりはマシだ。マリアが優秀であれば男爵令嬢であってもなんとかなるだろう。
「ちょっと、クラウス…。」
「姉上、この件は俺に任せてください。エアハルト様も一度様子を見ましょう。」
エアハルトは肩をすくめて見せるとあっさりと退室した。クラウディアも不服そうだが、クラウスに引っ張られ、退室していく。残されたダミアンは怪訝な顔をしていたが、ヨーゼフはすべてを些細なこととして流した。
…いつもの優秀なヨーゼフだったら何かに気づいていただろうに。
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「へ、平民ですか…。」
翌日、ヨーゼフはこっそりと愛しのマリアを呼び出し、日差しの差し込む温かい部屋でクラウス監視のもとに逢瀬をした。昨日の話を伝えると、マリアは暗い顔をした。
「どうしたんだい?」
「いえ…、私は平民として暮らしていけるかと…。」
「大丈夫だ。私は語学に堪能だし、通訳の仕事などで雇ってもらえると思う。」
「しかし、元王族と分かったうえでは雇ってくれる人はいないのでは?ヨーゼフ様は王家の色をされていますし…。」
「印象を変える方法なんていくらでもあるよ。髪も染めればいい。」
「だけれど…、王族が平民になるなんてできるのですか?」
マリアが心配そうな顔で食い下がる。
「臣籍に降下される程度なのでは…。」
「普通はね。実際、私はこのまま兄上に王子が生まれれば大公位を賜る予定だった。」
「それで私と結婚するのでは、いけないのですか?」
「その場合、マリアはクラウディアよりも優秀でないといけないよ?」
「私、がんばります!」
「…マリア!」
可愛らしく拳を握る姿にヨーゼフは感動した。
「それじゃあ、教師を手配しよう。」
「え!?」
「どうした?」
「す、すぐにですか?」
「ああ。クラウディアは7歳の頃から妃教育を受けているんだ。すぐに始めないと追い付けないだろう?」
「そ、そんなに?」
翌日から第二王子の権限でマリアに教育係を手配した。マリアには周囲に補習を受けていると伝えさせ、授業後に秘密の特訓が始まった。
しかし、一週間後、教育係は深刻な顔でヨーゼフの下にやってきた。
「教育内容をもっと初歩的なものにされた方がいいと思います?」
「どういうことだい?」
「お嬢様は淑女教育の基礎もまだできていないということです。基本的な内容を学べる…そうですね。クラウディア様が5歳の頃に受けたような教育が必要でしょう。」
そんな馬鹿なと思ったが、マリアに話を聞けばしょんぼりとしていた。
「実は私は妾腹の生まれで、貴族教育をしっかりと受けられていないのです。」
「そうだったのか…。」
それではより初歩の教育ができる人を、と新しい教育係を手配した。しかし、今度は折檻されたとマリアに泣きつかれ、合わないようだと解雇した。
その後に手配した人物も、本来は幼子に教えるような内容であるためか、マリアと指導方法が合わないらしい。
「私には貴族教育は難しいみたいで…。」
「そうか…。マリア、貴族教育ができていなければ、貴族の夫人にはなれないよ?やはり、平民になるのが一番いいんじゃないかい?」
「いいえ!」
マリアははっとしたように大声で遮る。
「ヨーゼフ様を平民にはさせられません。私、頑張りますから!」
そこからは文句も言わずに基本の教育を受けるようになった。
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