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第一章 無計画な婚約破棄
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マリアが基本の貴族教育を受けている間に季節は二つ巡り、卒業まで半年を切った。
「ヨーゼフ様、お嬢様の貴族教育はどうですか?」
執務室で側近のダミアンが息抜きがてらに尋ねてきた。マリアのことを知る一部の人々がマリアのことを話すときは『お嬢様』と呼んでいる。
「ああ…。まだ基本の貴族教育を受けているんだ。やっぱり平民になる方がマリアに苦労をかけなくていいんじゃないだろうか?」
「…お嬢様は平民に反対しているんですよね?」
「私を平民にするわけにはいかないと。それに平民として生きていくのは難しいと言っていた。」
「…お嬢様は元平民の生まれで数年前に男爵家に引き取られたと聞きましたが?それで平民としては生きていけないとはおかしいのでは?」
「何か嫌な思いをしたんだろうなあ。」
「その割にはいつまでたっても基本の教育も終われないと?」
「人には向き不向きがある!マリアを貶すようなことを言うな!」
「ヨーゼフ様!気づいてください!何かがおかしいです!いえ、何かじゃない。全部がおかしいです!」
ダミアンの訴えにヨーゼフは顔をしかめる。
「どういうことだ?」
「お嬢様のことはこの際、おいておきましょう。まずはクラウディア嬢です。」
「クラウディア?」
最近、いや、マリアと出会ってからヨーゼフはクラウディアとはほとんど会っていなかった。
「ヨーゼフ様との婚約がこの時期に解消となれば、クラウディアに次の縁談は難しいです。学園の卒業と同時に妃教育は修了するのですから、王家と縁づく以外に道はないのです。」
「それは…そうだな。」
これまでヨーゼフはクラウディアの立場を思いやったことがなかった。初めて、申し訳なく思った。
「最近、このような噂が流れていることは知っていますか?」
「なんだ?」
「ヨーゼフ様は学園に来られてもクラウディア嬢を無視されている、と。」
「な!?」
「ヨーゼフ様が金髪の女子学生に入れ込み、クラウディア嬢をないがしろにしている、と。」
「そのようなことはしていない!」
「しかし、クラウディア嬢が一人で学園にいる姿を見続けた学生たちは噂は真実だと確信するでしょう。」
確かに、クラウディアはこれまでそのような噂が立たないようにヨーゼフの側を離れなかった。そのクラウディアがここ半年、ヨーゼフと共にいないことは生徒たちに違和感を持たせるだろう。
「金髪の女子学生に入れ込んでいる、というのは?」
ヨーゼフはクラウスの手助けでマリアと密会している。噂になるほど目立ってはいないはずだ。
「最初に交際を申し込んだところを誰かに見られたのではないですか?それか…。」
「それか?」
「クラウスに関してもおかしいとは思いませんか?」
「何がだ?」
「正直、クラウスはヨーゼフ様よりもクラウディア嬢を優先しています。あの場でエアハルト様を説得する際にヨーゼフ様に肩入れするようなことを言うか…。エアハルト様も最初に怒られてから、何も接触してこないことも気になります。」
「義姉上が妊娠されたからお忙しいのではないか?」
ダミアンは残念なものを見る目でヨーゼフを見た。
「なぜ他国の思惑は読めるのに、お嬢様が絡むとそんなに何も考えなくなるのです?」
「考えているさ!やはり平民になるしかないだろうと思っている!」
「…王族が簡単に平民にはなれないという点に関しては、お嬢様に同意です。」
ダミアンは書類を整理しながらため息をついた。
「愛人になさればすべて解決するのではないですか?」
「運命の姫を日陰の身にはしないと言っただろう。」
「しかし、お嬢様は貴族教育が苦手なんですよね?そして平民も嫌だと。愛人であれば貴族教育はいりませんし、一人養うぐらいの稼ぎはお持ちでしょう?もちろん妻となるクラウディア嬢の許可はとる必要がありますが。」
ダミアンの正論を聞いたヨーゼフは押し黙ってしまった。
「ヨーゼフ様、お嬢様の貴族教育はどうですか?」
執務室で側近のダミアンが息抜きがてらに尋ねてきた。マリアのことを知る一部の人々がマリアのことを話すときは『お嬢様』と呼んでいる。
「ああ…。まだ基本の貴族教育を受けているんだ。やっぱり平民になる方がマリアに苦労をかけなくていいんじゃないだろうか?」
「…お嬢様は平民に反対しているんですよね?」
「私を平民にするわけにはいかないと。それに平民として生きていくのは難しいと言っていた。」
「…お嬢様は元平民の生まれで数年前に男爵家に引き取られたと聞きましたが?それで平民としては生きていけないとはおかしいのでは?」
「何か嫌な思いをしたんだろうなあ。」
「その割にはいつまでたっても基本の教育も終われないと?」
「人には向き不向きがある!マリアを貶すようなことを言うな!」
「ヨーゼフ様!気づいてください!何かがおかしいです!いえ、何かじゃない。全部がおかしいです!」
ダミアンの訴えにヨーゼフは顔をしかめる。
「どういうことだ?」
「お嬢様のことはこの際、おいておきましょう。まずはクラウディア嬢です。」
「クラウディア?」
最近、いや、マリアと出会ってからヨーゼフはクラウディアとはほとんど会っていなかった。
「ヨーゼフ様との婚約がこの時期に解消となれば、クラウディアに次の縁談は難しいです。学園の卒業と同時に妃教育は修了するのですから、王家と縁づく以外に道はないのです。」
「それは…そうだな。」
これまでヨーゼフはクラウディアの立場を思いやったことがなかった。初めて、申し訳なく思った。
「最近、このような噂が流れていることは知っていますか?」
「なんだ?」
「ヨーゼフ様は学園に来られてもクラウディア嬢を無視されている、と。」
「な!?」
「ヨーゼフ様が金髪の女子学生に入れ込み、クラウディア嬢をないがしろにしている、と。」
「そのようなことはしていない!」
「しかし、クラウディア嬢が一人で学園にいる姿を見続けた学生たちは噂は真実だと確信するでしょう。」
確かに、クラウディアはこれまでそのような噂が立たないようにヨーゼフの側を離れなかった。そのクラウディアがここ半年、ヨーゼフと共にいないことは生徒たちに違和感を持たせるだろう。
「金髪の女子学生に入れ込んでいる、というのは?」
ヨーゼフはクラウスの手助けでマリアと密会している。噂になるほど目立ってはいないはずだ。
「最初に交際を申し込んだところを誰かに見られたのではないですか?それか…。」
「それか?」
「クラウスに関してもおかしいとは思いませんか?」
「何がだ?」
「正直、クラウスはヨーゼフ様よりもクラウディア嬢を優先しています。あの場でエアハルト様を説得する際にヨーゼフ様に肩入れするようなことを言うか…。エアハルト様も最初に怒られてから、何も接触してこないことも気になります。」
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ダミアンは残念なものを見る目でヨーゼフを見た。
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「しかし、お嬢様は貴族教育が苦手なんですよね?そして平民も嫌だと。愛人であれば貴族教育はいりませんし、一人養うぐらいの稼ぎはお持ちでしょう?もちろん妻となるクラウディア嬢の許可はとる必要がありますが。」
ダミアンの正論を聞いたヨーゼフは押し黙ってしまった。
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