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第五章 無計画な真実の愛
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「旦那様、今日はよろしくお願いします。」
「あ、ああ。」
キャサリンは首周りの広く開いた水色の夏らしいワンピースを着ていた。布で作られた花が可愛らしいワンポイントとしてあしらわれているが、少し大人っぽいデザインのものだ。明るい金髪は今日も強めに巻かれて涼し気なハーフアップにまとめられている。
後ろでは侍女がワンピースに合わせたデザインの日傘を持っていた。
「その、素敵なワンピースだね。」
「ありがとうございます。ブルテンの有名なデザイナーのものなんです。」
「…ヒューゲンではまだドレス以外は買っていないのか?」
「そうですね。あまり好みにあわなくて。」
エスコートに腕を差し出すと、キャサリンが手を乗せてくれる。こうしてヨーゼフはキャサリンとの、そして人生初めてのデートに出発した。
ーーーー
「何か気に入るものはあるかい?」
「ドレスに合わせるならルビーかガーネットでしょうか?」
「大きなパーティー用のドレスは朱色だっただろう?ガーネットがいいんじゃないかい?」
「ドレスを把握されているのですか?」
「ああ。要望を出すときに見せてもらったんだ。」
キャサリンは微妙な顔をしている。ヨーゼフは店員に指示をだしてガーネットの大きな飾りのついたネックレスをいくつか出させた。
「これなんてどうだろう?」
「そちらはオールディーでのパーティーに着けて行ったものと似ているのでダメですわ。」
「そうか…。オールディーからの大使もいるから同じに見えてはよくないか。」
国宝級の宝石や家宝であればいつもパーティーで身に着けていてもおかしくはないが、あいにくバッツドルフ家は立ち上がったばかりで、そのような宝飾品はない。
同じものをあまりにも使いまわせば、悪い印象を持たれてしまう。
「こちらを試してみてもいいですか?」
「もちろんです。」
このために襟ぐりの深い服を着てきたらしい。選ばれたネックレスはキャサリンの肌にもよく映えていた。
「よく似合ってるよ!」
「本当に、お似合いですわ!」
「では、こちらでお願いしますわ。合わせて耳飾りもありますか?」
キャサリンの宝飾品はつつがなく決まった。キャサリンの好みのものを選んだというよりは、消去法で選んだという感じだったが。
「キャサリンはどの宝石が好きなんだい?」
「私ですか?」
「ああ。君が好きなものをプレゼントしたいんだ。」
「特にこれと言って好みの宝石はありませんが…。」
キャサリンは困った顔をしてヨーゼフを見ている。
「旦那様のタイピンなども必要なのでは?同じガーネットのものか、ルビーのものを見せていただけます?」
「かしこまりました。」
結局、必要なものだけを購入して店を出ることになった。
ーーーー
その後のレストランでも、立ち寄ったブティックでもキャサリンの好きなものはよくわからないままだった。
「ヒューゲンのデザインは気に食わないかい?」
「気に食わないわけではないのですが…、ブルテンに行く予定があるのでそちらで購入しますわ。」
「どういったものが好みなのか教えてくれないか?」
「そうですわね…。」
最後に訪れたカフェでキャサリンは優雅に紅茶を口に運んだ。ちょっと眉を顰める。
「どうしたんだい?まずかったかい?」
「そういうわけではありません。店でそんなこと言わないでください。」
「す、すまない。」
ヨーゼフもキャサリンと同じ紅茶を飲んだ。いつもの紅茶とは違う銘柄のようだ。もしや好みの紅茶があるのか。
「その…、甘いものは好きかい?ここのケーキはよく取り寄せているんだ。もし気に入ったものがあるなら一緒に取り寄せるから、お茶をしよう。」
「ありがとうございます。甘いものは好きです。」
ヨーゼフの顔が輝く。『甘いものは好き』ようやく情報を得られた。
「ケーキは好きかい?チョコレートは?ブルテンのお菓子だとトライフルやヴィクトリアサンドイッチか?」
「どれも好きですわ。」
キャサリンは戸惑った顔をしながらも、優雅に紅茶を飲む。
「どれが特に好きなんだい?」
「どれも好きですわ。」
「好んで食べるものはないのか?」
「取り立てて好むものはありませんわ。」
キャサリンはため息をついて、カップを受け皿に置く。
「旦那様、明確に好きなものを持たない人間もいるのです。似合うものを着る。おいしいものを食べる。それでいいではありませんか。うざいですわ。」
う、うざい…?ヨーゼフはショックを受けて項垂れた。
「あ、ああ。」
キャサリンは首周りの広く開いた水色の夏らしいワンピースを着ていた。布で作られた花が可愛らしいワンポイントとしてあしらわれているが、少し大人っぽいデザインのものだ。明るい金髪は今日も強めに巻かれて涼し気なハーフアップにまとめられている。
後ろでは侍女がワンピースに合わせたデザインの日傘を持っていた。
「その、素敵なワンピースだね。」
「ありがとうございます。ブルテンの有名なデザイナーのものなんです。」
「…ヒューゲンではまだドレス以外は買っていないのか?」
「そうですね。あまり好みにあわなくて。」
エスコートに腕を差し出すと、キャサリンが手を乗せてくれる。こうしてヨーゼフはキャサリンとの、そして人生初めてのデートに出発した。
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「何か気に入るものはあるかい?」
「ドレスに合わせるならルビーかガーネットでしょうか?」
「大きなパーティー用のドレスは朱色だっただろう?ガーネットがいいんじゃないかい?」
「ドレスを把握されているのですか?」
「ああ。要望を出すときに見せてもらったんだ。」
キャサリンは微妙な顔をしている。ヨーゼフは店員に指示をだしてガーネットの大きな飾りのついたネックレスをいくつか出させた。
「これなんてどうだろう?」
「そちらはオールディーでのパーティーに着けて行ったものと似ているのでダメですわ。」
「そうか…。オールディーからの大使もいるから同じに見えてはよくないか。」
国宝級の宝石や家宝であればいつもパーティーで身に着けていてもおかしくはないが、あいにくバッツドルフ家は立ち上がったばかりで、そのような宝飾品はない。
同じものをあまりにも使いまわせば、悪い印象を持たれてしまう。
「こちらを試してみてもいいですか?」
「もちろんです。」
このために襟ぐりの深い服を着てきたらしい。選ばれたネックレスはキャサリンの肌にもよく映えていた。
「よく似合ってるよ!」
「本当に、お似合いですわ!」
「では、こちらでお願いしますわ。合わせて耳飾りもありますか?」
キャサリンの宝飾品はつつがなく決まった。キャサリンの好みのものを選んだというよりは、消去法で選んだという感じだったが。
「キャサリンはどの宝石が好きなんだい?」
「私ですか?」
「ああ。君が好きなものをプレゼントしたいんだ。」
「特にこれと言って好みの宝石はありませんが…。」
キャサリンは困った顔をしてヨーゼフを見ている。
「旦那様のタイピンなども必要なのでは?同じガーネットのものか、ルビーのものを見せていただけます?」
「かしこまりました。」
結局、必要なものだけを購入して店を出ることになった。
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その後のレストランでも、立ち寄ったブティックでもキャサリンの好きなものはよくわからないままだった。
「ヒューゲンのデザインは気に食わないかい?」
「気に食わないわけではないのですが…、ブルテンに行く予定があるのでそちらで購入しますわ。」
「どういったものが好みなのか教えてくれないか?」
「そうですわね…。」
最後に訪れたカフェでキャサリンは優雅に紅茶を口に運んだ。ちょっと眉を顰める。
「どうしたんだい?まずかったかい?」
「そういうわけではありません。店でそんなこと言わないでください。」
「す、すまない。」
ヨーゼフもキャサリンと同じ紅茶を飲んだ。いつもの紅茶とは違う銘柄のようだ。もしや好みの紅茶があるのか。
「その…、甘いものは好きかい?ここのケーキはよく取り寄せているんだ。もし気に入ったものがあるなら一緒に取り寄せるから、お茶をしよう。」
「ありがとうございます。甘いものは好きです。」
ヨーゼフの顔が輝く。『甘いものは好き』ようやく情報を得られた。
「ケーキは好きかい?チョコレートは?ブルテンのお菓子だとトライフルやヴィクトリアサンドイッチか?」
「どれも好きですわ。」
キャサリンは戸惑った顔をしながらも、優雅に紅茶を飲む。
「どれが特に好きなんだい?」
「どれも好きですわ。」
「好んで食べるものはないのか?」
「取り立てて好むものはありませんわ。」
キャサリンはため息をついて、カップを受け皿に置く。
「旦那様、明確に好きなものを持たない人間もいるのです。似合うものを着る。おいしいものを食べる。それでいいではありませんか。うざいですわ。」
う、うざい…?ヨーゼフはショックを受けて項垂れた。
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