理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました

ぺきぺき

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エピローグ

キャサリン・ダンフォード

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キャサリンはブルテンで王家と最も血の近い高貴な貴族家であるダンフォード公爵家に三番目の子供として生まれた。幼い頃から将来は姫のいない王家に代わって国外へ嫁がされることを見越して、外国語や教養を学んだ。

「キャシーは嫁ぐならどこの国がいい?」

兄であるアンブローズとベネディクトと晩餐でこんな話をしたのをよく覚えている。当時、キャサリンはまだ6歳で、アンブローズは15歳、ベネディクトは10歳だった。
確か、アンブローズが王立学園高等部への進学を無事に決めたお祝いの夕食だったと思う。

「ヒューゲンじゃなきゃどこでもいいわ。」

「どうしてヒューゲンは嫌なんだい?」

「だって、女の人はみんなお家にいないといけないんだもの!私は父上や母上みたいに働きたいの!」

まだ6歳のキャサリンから見ても、ヒューゲンの女性蔑視的な考えは遅れていると感じた。ブルテンでも多くの貴族夫人は家にいるが、嫁ぐ前には職を持っていたり、領地経営に携わっていたりするものも多い。

キャサリンの母がそうだった。彼女はダンフォード公爵家の嫡流で、公爵の座は入り婿の父に譲ったものの、領地では同等かそれ以上の権限を持って采配を振るっていた。
外交にも携わる父が公爵位を持っていた方が何かと都合がいいというそれだけの理由で本来は継ぐはずだった公爵位を父に譲ったのだ。

「キャシーは優秀だからね。家に閉じ込められたらつらいよな。」

「だったら、キャシーが国を変えればいい!裏から国を操るんだ!」

その時は笑い話だったが、母は何か思うところがあったのか、翌日からキャシーにきつめの化粧で自分を強くみせることを教えてくれた。


ダンフォード家の娘たちは、代々なかなか婚約者が決まらない。王家の姫と同等の扱いを受けて、外交や内政に関係した政略結婚をしなければならない場合に備えてのことだ。

キャサリンも最高級の教育を受け、王立学園に首席で入学し、女だてらに生徒会長まで務めていたが、最初の婚約者が決まったのは15歳の時だ。

「王太子殿下と婚約してもらうわ。」

母が言った相手は、優秀な兄の失踪後に急遽、王太子になることが決まった一つ年下の第二王子だった。頼りない新王太子の後ろ盾となるための婚約であった。

しかし、その婚約もわずか二年ほどで白紙となった。ポートレット帝国の侵攻に伴い、ブルテンとエスパルが同盟を結び、エスパルの王女が輿入れることになったからだ。
正直、根暗気味の王太子は好きにはなれなかったので、幸いだった。

王女が嫁ぐ手前、かつての婚約者に相手がいないのは困る。そこで白羽の矢がたったのは侯爵家の跡取り息子のブラッドリーだった。
しかし、ブラッドリーはダンフォード家の者を嫁に迎えるのが嫌だったらしく、大急ぎで貧乏な伯爵家の令嬢を金で婚約者にしてしまった。力が強すぎる二つの侯爵家が姻戚になるのは国王としても望ましくない。
この話はあっという間になかったことになった。

そうなると後妻しかない。次に候補にあがったのは帝国との海戦の指揮をとる総大将のアーチボルト侯爵だった。

そして、婚約から一年足らずで戦死してしまった。


これはもう修道院に入るしかないかと腹をくくったころ、ヒューゲンとの同盟に伴う婚姻の話が舞い込んできたのだった。

奇しくも、幼い日に否定した縁組が実現してしまった。

「いやー、これはキャシー、もう国盗りしかないな!」

兄のベネディクトがふざけてそんなことを言っていたのを忌々しく睨みつけたものだ。


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