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王子が私を夜会に誘いに来たのが判明しました
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「で、何なのよ」
やっとシャルルが泣き止んだので私が聞くと、
「実は王宮の夜会に俺と一緒に出て欲しい」
「はい?」
私は穴が空くほどエドを睨みつけてやった。
「なんだ。顔に何かついているのか?」
エドが顔を触って確認しているんだけど、
「何かついているじゃないでしょ。あんた頭でもおかしくなったの?」
「いや、いたって正常だが」
「はああああ! あんた私に昔なんて言ったか忘れたの?」
「何を言った?」
思わず張り倒してやろうかと思ったが、いかんいかん。今はシャルルちゃんを抱っこしていたんだ。
「お前と結婚するくらいならそのあたりのゴリラと結婚したほうがましだって!」
仕方無しに答えてやったのだ。
「その後発情期のゴリラの群れの中に放り込まれて、危うく死にそうになったわ」
エドが怒っていうんだけど。
「なのに、何で私を誘うのよ。私もシャルル様がお亡くなりになってからまだ1ヶ月も経っていないのよ。まだ悲しみも抜けきっていない乙女の私を誘うってどういうこと? そんなに相手がいないの?」
「何を言ってくれるんだ! 俺の相手ならいやほどいるわ!」
「じゃあ、そうしたら良いでしょ」
「仕方ないだろうが、親父の命令なんだから」
「はい?」
私はアドが何を言っているかよく判らなかった。
陛下の命令ってなんだ?
「ジャンヌ様。何でも、側妃様がこの前の件を謝りたいとおっしゃっていらっしゃって」
「あの女が謝りたいなんて言うわけ無いでしょ」
私がカーティスの言葉を即座に否定した。
「なんか心境の変化があったんではないのか」
エドが言うが、あの女が私に謝りたいなどという殊勝なことを言う訳はないのだ。
絶対に何か裏がある。
「そこで、ジャンヌ様と繋がりの深いのが殿下に、陛下から依頼があったのです」
「絶対に胡散臭いから嫌だ」
私は即座に拒否した。
「そこをなんとか」
エドが頭を下げてくるんだけど。
「絶対におかしいでしょ。あんたも他の女を誘いなさいよ」
「そうしたいのは山々なんだが、父からの厳命なのだ。今回一緒に参加してくれたら、正式にバリーをお前付きの秘書官にする」
エドは条件を出してきたが、
「ええええ! バリーは今でも秘書官と変わらないし」
「判った、俺もシャルルの後見人になる」
どんどん言ってくる。
「ええええ! エドが後見してくれたところでどうなるのよ」
私が言うと、
「お前、未来の国王だぞ。違うだろう!」
「そうかな」
私が半信半疑で言うと
「なら、シャルルが困った時に1つだけ言うことを聞いてやる」
「たった1つだけ」
私がゴネた。
「お前な。ここまで譲歩しているんだぞ」
エドが言うんだけど。
「私が行く意味あるの?」
「よく判らんが、側妃がぜひとも謝りたいらしい」
「そが胡散臭いんだけど」
「頼むよ。父からあれだけ言われると俺としても参加してもらわないとメンツがないのだ」
「仕方ないわね。これは貸しだからね」
私はこれ異常邪魔されたくなくて適当に頷いたのだ。
「恩に着る」
エドはそう言うと喜んで帰っていったんだけど。
絶対に何か胡散臭いと私は思ったのだ。
やっとシャルルが泣き止んだので私が聞くと、
「実は王宮の夜会に俺と一緒に出て欲しい」
「はい?」
私は穴が空くほどエドを睨みつけてやった。
「なんだ。顔に何かついているのか?」
エドが顔を触って確認しているんだけど、
「何かついているじゃないでしょ。あんた頭でもおかしくなったの?」
「いや、いたって正常だが」
「はああああ! あんた私に昔なんて言ったか忘れたの?」
「何を言った?」
思わず張り倒してやろうかと思ったが、いかんいかん。今はシャルルちゃんを抱っこしていたんだ。
「お前と結婚するくらいならそのあたりのゴリラと結婚したほうがましだって!」
仕方無しに答えてやったのだ。
「その後発情期のゴリラの群れの中に放り込まれて、危うく死にそうになったわ」
エドが怒っていうんだけど。
「なのに、何で私を誘うのよ。私もシャルル様がお亡くなりになってからまだ1ヶ月も経っていないのよ。まだ悲しみも抜けきっていない乙女の私を誘うってどういうこと? そんなに相手がいないの?」
「何を言ってくれるんだ! 俺の相手ならいやほどいるわ!」
「じゃあ、そうしたら良いでしょ」
「仕方ないだろうが、親父の命令なんだから」
「はい?」
私はアドが何を言っているかよく判らなかった。
陛下の命令ってなんだ?
「ジャンヌ様。何でも、側妃様がこの前の件を謝りたいとおっしゃっていらっしゃって」
「あの女が謝りたいなんて言うわけ無いでしょ」
私がカーティスの言葉を即座に否定した。
「なんか心境の変化があったんではないのか」
エドが言うが、あの女が私に謝りたいなどという殊勝なことを言う訳はないのだ。
絶対に何か裏がある。
「そこで、ジャンヌ様と繋がりの深いのが殿下に、陛下から依頼があったのです」
「絶対に胡散臭いから嫌だ」
私は即座に拒否した。
「そこをなんとか」
エドが頭を下げてくるんだけど。
「絶対におかしいでしょ。あんたも他の女を誘いなさいよ」
「そうしたいのは山々なんだが、父からの厳命なのだ。今回一緒に参加してくれたら、正式にバリーをお前付きの秘書官にする」
エドは条件を出してきたが、
「ええええ! バリーは今でも秘書官と変わらないし」
「判った、俺もシャルルの後見人になる」
どんどん言ってくる。
「ええええ! エドが後見してくれたところでどうなるのよ」
私が言うと、
「お前、未来の国王だぞ。違うだろう!」
「そうかな」
私が半信半疑で言うと
「なら、シャルルが困った時に1つだけ言うことを聞いてやる」
「たった1つだけ」
私がゴネた。
「お前な。ここまで譲歩しているんだぞ」
エドが言うんだけど。
「私が行く意味あるの?」
「よく判らんが、側妃がぜひとも謝りたいらしい」
「そが胡散臭いんだけど」
「頼むよ。父からあれだけ言われると俺としても参加してもらわないとメンツがないのだ」
「仕方ないわね。これは貸しだからね」
私はこれ異常邪魔されたくなくて適当に頷いたのだ。
「恩に着る」
エドはそう言うと喜んで帰っていったんだけど。
絶対に何か胡散臭いと私は思ったのだ。
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