天使な息子にこの命捧げます

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
41 / 103

王子が私を夜会に誘いに来たのが判明しました

しおりを挟む
「で、何なのよ」
やっとシャルルが泣き止んだので私が聞くと、

「実は王宮の夜会に俺と一緒に出て欲しい」
「はい?」
私は穴が空くほどエドを睨みつけてやった。

「なんだ。顔に何かついているのか?」
エドが顔を触って確認しているんだけど、

「何かついているじゃないでしょ。あんた頭でもおかしくなったの?」
「いや、いたって正常だが」
「はああああ! あんた私に昔なんて言ったか忘れたの?」
「何を言った?」
思わず張り倒してやろうかと思ったが、いかんいかん。今はシャルルちゃんを抱っこしていたんだ。

「お前と結婚するくらいならそのあたりのゴリラと結婚したほうがましだって!」
仕方無しに答えてやったのだ。

「その後発情期のゴリラの群れの中に放り込まれて、危うく死にそうになったわ」
エドが怒っていうんだけど。

「なのに、何で私を誘うのよ。私もシャルル様がお亡くなりになってからまだ1ヶ月も経っていないのよ。まだ悲しみも抜けきっていない乙女の私を誘うってどういうこと? そんなに相手がいないの?」
「何を言ってくれるんだ! 俺の相手ならいやほどいるわ!」
「じゃあ、そうしたら良いでしょ」
「仕方ないだろうが、親父の命令なんだから」
「はい?」
私はアドが何を言っているかよく判らなかった。
陛下の命令ってなんだ?

「ジャンヌ様。何でも、側妃様がこの前の件を謝りたいとおっしゃっていらっしゃって」
「あの女が謝りたいなんて言うわけ無いでしょ」
私がカーティスの言葉を即座に否定した。

「なんか心境の変化があったんではないのか」
エドが言うが、あの女が私に謝りたいなどという殊勝なことを言う訳はないのだ。
絶対に何か裏がある。

「そこで、ジャンヌ様と繋がりの深いのが殿下に、陛下から依頼があったのです」
「絶対に胡散臭いから嫌だ」
私は即座に拒否した。

「そこをなんとか」
エドが頭を下げてくるんだけど。

「絶対におかしいでしょ。あんたも他の女を誘いなさいよ」
「そうしたいのは山々なんだが、父からの厳命なのだ。今回一緒に参加してくれたら、正式にバリーをお前付きの秘書官にする」
エドは条件を出してきたが、
「ええええ! バリーは今でも秘書官と変わらないし」
「判った、俺もシャルルの後見人になる」
どんどん言ってくる。

「ええええ! エドが後見してくれたところでどうなるのよ」
私が言うと、
「お前、未来の国王だぞ。違うだろう!」
「そうかな」
私が半信半疑で言うと

「なら、シャルルが困った時に1つだけ言うことを聞いてやる」
「たった1つだけ」
私がゴネた。

「お前な。ここまで譲歩しているんだぞ」
エドが言うんだけど。

「私が行く意味あるの?」
「よく判らんが、側妃がぜひとも謝りたいらしい」
「そが胡散臭いんだけど」
「頼むよ。父からあれだけ言われると俺としても参加してもらわないとメンツがないのだ」
「仕方ないわね。これは貸しだからね」
私はこれ異常邪魔されたくなくて適当に頷いたのだ。

「恩に着る」
エドはそう言うと喜んで帰っていったんだけど。
絶対に何か胡散臭いと私は思ったのだ。

しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

繰り返しのその先は

みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、 私は悪女と呼ばれるようになった。 私が声を上げると、彼女は涙を流す。 そのたびに私の居場所はなくなっていく。 そして、とうとう命を落とした。 そう、死んでしまったはずだった。 なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。 婚約が決まったあの日の朝に。

修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね

星里有乃
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』 悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。 地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……? * この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。 * 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

親友面した女の巻き添えで死に、転生先は親友?が希望した乙女ゲーム世界!?転生してまでヒロイン(お前)の親友なんかやってられるかっ!!

音無砂月
ファンタジー
親友面してくる金持ちの令嬢マヤに巻き込まれて死んだミキ 生まれ変わった世界はマヤがはまっていた乙女ゲーム『王女アイルはヤンデレ男に溺愛される』の世界 ミキはそこで親友である王女の親友ポジション、レイファ・ミラノ公爵令嬢に転生 一緒に死んだマヤは王女アイルに転生 「また一緒だねミキちゃん♡」 ふざけるなーと絶叫したいミキだけど立ちはだかる身分の差 アイルに転生したマヤに振り回せながら自分の幸せを掴む為にレイファ。極力、乙女ゲームに関わりたくないが、なぜか攻略対象者たちはヒロインであるアイルではなくレイファに好意を寄せてくる。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

処理中です...