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学祭拡大会議にあいて第二王子から勝利宣言で挑発されました

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その日の放課後、初めての拡大生徒会があった。
6月末の学園祭についての説明があるのだ。
各クラスから正副委員長と学祭実行委員が集まるのだ。

席は決まっていて一年生は一番前、前からSクラス、Aクラス、Bクラス、その後ろがDクラスと言う具合だ。
委員長は一番左側だった。私、オーガスト、ザカリー、ベッキーの順だ。私の横はSクラスの
先日私が弾き飛ばした深窓の令嬢っぽい学祭実行委員のアボット公爵令嬢プリシラだった。
ああん、あんまり関わりたくない。この前のこと文句言われないように静かにしていようと私は思った。

ちなみに、委員長は当然第二王子で、副委員長が気の強いレベッカだ。学祭委員はこれまた私に文句を言ってきたテレンス・オルコット侯爵令息だった。
さすが高位貴族の集るSクラス、10大貴族と王子で占めている。


「凄いな。A組は平民二人を正副委員長にしてきたのか」
早速テレンスが嫌味を言ってきた。そうこちらは平民と低位貴族集団だ。

「能あるものには適材適所にです」
ベッキーが言い返してくれる。
まあ、私が能あるものとは思っていないが、女の委員長って見る限り私だけだ。

「リアは凄いな。平民の女で委員長やるなんて」
壇上から生徒会長の第1王子が話しかけてくる。

ちょっと待ってよ。話しかけないで。

「何あの子、第一王子殿下に愛称呼びされているわよ」
「誰?」
「入試で教室破壊した」
「ああ、この前第二王子殿下も弾き飛ばした」
「確か破壊女」
「いや、不敬女。水巻き女だったかな」
「太陽女じゃなかったっけ」

後ろの上級生たちが噂する。
おいおい、また、二つ名が増えているよ。誰も本名を言ってくれない・・・・

はあああ、私はため息をついた。


「皆さん。お忙しい所、集まって頂いてありがとうございます。これから第一回の拡大生徒会を初めます」
司会は副会長のメルヴィン様がしていた。
もうひとりの副会長は公爵家のセドリックで、会計はヒューズ侯爵家のコニーだ。

こちらも10大貴族と王子だけだ。

やっぱり高位貴族がこの学園をも運営しているのだ。

内容は6月の末の2日間学園祭をやるそうだ。皆、大体やるのが模擬店で、集客数を競うらしい。

何でもトップになったクラスには学園長から褒美が出るらしい。

「はい」
その一言に思わず私は手をあげた。

「はい。チェスターさん」
メルヴィン様があててくれた。

「あのう、一位になったら、神秘の森の薬草採取を許可してもらえるとか出来るんでしょうか」
「えっ?それは学園長に相談だけど、他の皆もそれでいいのかな。オーレリアさんはそれが良いかも知れないけれど」
「すいません。そうですね」
私は手をおろした。そう言えばクラス対抗だった。薬草採取とか私以外は興味なさそうだ。そんなのが褒美ではオーガストとかが許してくれそうにはない。

「いや、そもそも、オーレリアさんには軍とかが世話になっているのだから、普通に許可出ると思うけれど」
第一王子殿下が言ってくれる。

「本当ですか」
私は思わず食いついた。

「ちょっと殿下。勝手な約束は。神秘の森は貴重な草花も多いと聞いていますし、一生徒にはなかなか許可がおりないと思いますよ」
会計のコニーが言う。

「いや、彼女は特別だと思うけれど」
王子の言葉に私は固まる。
特別って言わないで。王子に特別視されると皆の視線が怖いんです。

案の定
「特別って何」
「アイツ王子のお気に入りなの?」
皆私を見てくるし、不吉な言葉が聞こえてくる。

「いえ、すいません。殿下。今の言葉は忘れて下さい」
私は殿下に断った。これ以上注目されるのは嫌だ。何しろ私は一応カート一途なのだ。カートは妹としてしか見てくれていないかもしれないけれど・・・・

「そうなのか」
残念そうに第一王子は言う。いや、あなたは出来上ったポーションほしいだけでしょう!


「他に質問はありますか」
メルヴィン様が周りを見渡す。

「無ければこれで第一回の会議を終えます。2週間後の今日の委員会までに何やるか決めてきて下さい」
メルヴイン様が会議を締めくくった。


やっと終わった。私は疲れていた。しかし、そこにつかつかと足音がした。

「ふんっ、破壊女。一位になるという心配はしなくても良いぞ。勝つのは我がクラスなのだから」
第二王子が私を挑発してきた。

「えっ、別に薬草採らせてもらえないなら、どうでも良いですけど」
私はやる気なさ全開で言った。

「おい、リア、やる気なさすぎだろ」
「そうよ。リア、あなた委員長なのよ」
オーガストとベッキーが言う。

「何だ。もう、恐れ入ったのか」
第二王子が挑発してくる。

「だって、私に負けてばかりだと王子様の立場がないでしょう」
「な、なんかだと、どこまで上から目線。許せん」
王子が切れていた。

「殿下。こんな馬鹿、気にしていても仕方がありません」
テレンスが言う。
その言葉はその言葉で頭にくるのだが、にんじんがないとやる気は出ないのだ。

「ちょっとリア、あれだけ言われていて良いの?」
ベッキーが聞いてくるが

「だって王子様も、平民クラスに二回も負けたら立場がないでしょう」
私が平然と言い切るが、

「ちょっとリア、そのやる気の無さ何とかしてくれよ」
「そうよ。判った。勝ったら薬物の先生に採取の許可得てあげるから」
ベッキーが言ってきた。

「本当に」
私が疑い深そうに聞く。

「俺も一緒に頼みに行くから」
ザカリーも言ってくれた。

「うーん、じゃあ、少しはやってみる」
皆にここまで言われたら仕方がない。
でも、あんまり王子に目をつけられるのは百害あって一利なしだ。
そこそこにしようとこの時私は思った。
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