好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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王子の側近から金をやるから王子と別れてくれと言われました

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夢の中でカートは隣に座る私に微笑んでくれていた。

どこだろうここは? チョコパフェのお店だった。チョコレートをカートの口の中にいれる。カートが嬉しそうに笑ってくれた。
カートもフルーツを私の口の中に入れてくれた。
美味しい。
私はカートに笑顔で答えた。

でも、次の瞬間にはカートは第1王子として執務をしていた。
なんか難しそうな顔をしている。
私は不安になった。


そして、教会の結婚式の様子になった。

私の憧れ、ヴァージンロードだ。

大観衆の中、結婚する二人が歩いていた。
よく見るとそこには凛々しい正装のカートが歩いている。

でも、その隣を私は歩いていない。

カートの横を歩いているのは全く知らない女だった・・・・




「カート!」
私は思わず叫んで飛び起きた。



夢だった。

寝ていた部屋は見たこともない部屋だった。

客間のようでベッドには天蓋もあって、到底私が日頃泊まれるような部屋ではなかった。

私は王宮でカートの横で意識をなくしたことを思い出した。

「カート! 」
ハッとして周りを見渡すと、カートはいなかった。

「お目覚めですか」
王宮のお仕着せを着た侍女が声をかけてきた。

侍女と言ってもおそらくお貴族様だの令嬢だ。

「はいっ。ここはどこですか?」
「王宮の客間でございます。殿下の傍で寝むられていたので、お疲れだろうとセドリック様が申されてこちらまで皆でお運びしました」
私の問にも丁寧に答えてくれた。さすが王宮だ。

「それはどうもありがとうございました」
私は礼を言った。

「カートは、いや第一王子殿下のご様子はいかがですか?」
「おかげさまで、峠は越されたようです。侍医が申すには意識を取り戻されるのも時間の問題だと」
「そう、良かった」
私はホツとした。カートは無事だったのだ。
あまりにも意識を取り戻さないから、どうしようと思っていたのだ。

「それで、オーレリア様がお目覚めになったらセドリック様がお話があると」
侍女が言いにくそうに言った。

何の話だろう。どのみちカートのことだろう。

私は制服に着替えた。いつの間にか王宮の寝間着に着替えさせられていたのだ。3日間着ていた制服は寝ている間に洗濯されていた。さすが王宮だ。



私は侍女に連れられて応接室に行った。

応接室で待たされること10分。セドリックが入ってきた。

顔が青い。あまり寝ていないのだろう。

私も人のことが言えないが。

「オーレリア嬢。カーティスの命が助かったのは全てあなたのおかげだ。側近として礼を言う」
セドリックがいきなり頭を下げてきた。

「いえ、私は当然のことをしたまでです」
「そう言ってもらえば助かる」
「殿下の意識は戻られたのですか」
「いや、まだだ。もうまもなく、戻られると思う」
「そうですか」
私は良かったと思った。

で、私に話ってなんだろう。

珍しくセドリックが黙りこくっている。

どのみち私にとっては良いことではないだろう。

「セドリックさん。私にご用途があるとお聞きしましたが」

「オーレリア嬢、申し訳ない」
いきなり、公爵令息は頭を90度下げたのだ。驚愕だった。このプライドの高いセドリックが頭を下げるとは。

「あのう、いきなり謝られても何の事か判りませんし、どのようなお話なのかお話しいただけますか。私にとってよくないお話なんでしょう?」
「実は重臣会議でカーティスの婚約者の問題が話し合われた」
セドリックの話は唐突だった。この殿下が生死をさまよっている時に何話しているんだろう。
まあ、命に別状は無いとは思っていたが。

「で、どなたになったのですか」

私は気丈夫にも泣きもせずに聞いていた。そう、カートの婚約者はいずれは決まるはずだった。こんなに早くなるとは思わなかったけど。そもそも、殿下に婚約者が決まっていないのが異常だったのだ。

そして、殿下の婚約者に平民の私がなれるわけはなかった。殿下の母上の男爵令嬢の時ですら、揉めに揉めたのだ。平民の私がなるなんてお貴族様方が許すわけはなかった。

それに、我が家の決まりで王族と親しくなるわけにはいかなかった。

母が王子とのことを許すわけもなかったし。

そもそも、母はカートが王子だと知っていたのだ。それで王子と結婚したら縁を切るなんて言ってくれていたのだ。

でも、それだったら最初からそう言ってほしかった。

母にも。カートにも。

私がカートを好きになる前に。

思わず涙が漏れそうになって私は必死に耐えた。


「実は王弟殿下も殿下と同じ時に負傷されて、今宮廷は大混乱中なのだ。
こんな時にとあなたは思われるかもしれないが、こんなときにこそ、殿下の後継者の地位を万全にして、国民の動揺を押さえなければいけないと言う流れになったそうだ」
私はよく判らなかった。
王弟殿下って言われても会ったことはないし・・・・・

「カーティスの婚約者には帝国の皇女殿下に決まった」
ふーん、そうなんだ。

エーレンが言っていたドラゴンも一撃で倒す姉がいるそうだからそれなんだろう。しかし、帝国の王族といえ、煙男の第一皇子と比べ者にならないほど強いんだなと思った記憶があった。

「本当にオーレリア嬢には申し訳ない。これまでカートに色々して頂けたのに、こんな事になってしまって」
セドリックは頭を下げた。

まあ、私も母の意向で、王族と親しくするわけにはいかないのだから仕方がないだろう。
そう無理やり自分の感情を抑えたと思った時だった。

「それで話しにくいのだが、帝国の大使が色々とうるさくて」
「帝国の大使?」
私はセドリックの話す意味がよく判らなかった。帝国の大使と言えば、前回皇帝訪問時に皇帝の側にいた太ったおべっか使いだったような気がする。その彼がどうかしたのか?

「いや、まあ」
セドリックが変な笑いをした。おべっか笑いだ。日ごろ冷たそうなセドリックがおべっか笑いをするなんて碌なことはない。

「ヨーク侯爵からも言われたのだ。婚約前の王子殿下の傍に、女性の影があるのは良くないと」
セドリックは私から目をそらしていった。

女性の影って、それって私のこと・・・・。

私は一瞬かっとした。女の影があるとまずいからいますぐ出ていけって言うわけ。私は何も無理やり王子の側にいたわけでは・・・・それはカートからは離れようとはしなかったが・・・・、だって毒を飲まされたカートが心配だったから・・・・。そんな・・・・。

でも、いずれはカートの傍にはいられなくなる。それはカートが王子だと判明した瞬間から判っていたことだった。

せめてカートが元気になるまではと思っていたのだ・・・・

でも、カートと話したら、別れづらくなるかもしれない。

傍から離れたくないと思うかもしれない。

そうだ。ここで身を引くべきだ。

引くべきなんだ!

私は無理やりそうしようと思った。


その私の前にセドリックはおもむろにアタッシュケースを取り出して机の上に置いた。

そして、それを開ける。

そこには金貨が詰まっていた。

「これは少ないが今までのあなたのカートにしてくれたことに対するお礼だ」
訳知り顔で言うセドリックに、私は我慢の限度を越えた。

「こんな物、いりません」
私は怒りを抑えて言った。必死に・・・・

「いや、これは慰謝料もふくんでいて・・・・」
「ふざけてんじゃないわよ」
その言葉を聞いた瞬間、溜まりに溜まっていた怒りがプッツン切れた。私はその金貨をアタッシュケースごとセドリックに叩きつけた。

セドリックと金貨とアタッシュケースが周りに吹っ飛んだ。もう知ったことではない。

「私がカートと親しくなったのはカートだからよ。王子だから近づいたんじゃいないわ。治したのもカートだからよ。こんな金いるわけ無いでしょ」

私はそう叫ぶと部屋を飛び出した。

扉をぶっ壊したような気がしたが、そんなのかまっている余裕はなかった。

闇雲に駆けていく。

廊下を突っ切り階段を降りる。

信じられなかった。

金のためにやったんじゃない。

私を何だと思っているのだ。

途中で人に何人かぶつかりそうになったが、もう知ったことではなかった。


そして、その建物の入口でベッキーにぶつかった。

「リア、どうしたの?」
「ベッキー」
私はベッキーに思い切り抱きついて泣き出した。

「ウワーン。ベッキー」
ただただ泣き尽くした。

周りのみんなは唖然としてみていた。

「か、カートが、帝国の皇女と結婚するんだって・・・・それで邪魔だから王宮を出ていけって」
「何ですって。どこのどいつがそんなこと言ったのよ。王子が生きながらえたのはリアのおかげじゃない。なのに、そんな事を王宮の奴らは言ったの?」
ベッキーが周りを睥睨した。

皆、ベッキーの怒りに恐れをなしてさあああっと引く。

「リア、そんな事、誰が言ったのよ。カートはそれを認めているの?」
「カートはまだ意識が戻っていないわ。あんたと親しいセドリックに金貨出されて言われたの。金のためにやっていたんじゃないのに。あーん、ベッキー、もう、私ここにいたくない」
「あ、あいつ、もう許さない。ちょっとリア、しっかりしない。私達はそんな決定許さないわ」
「でも、カートは王族だから私は無理よ。母が許さない。それに重臣会議で決まったって」
私は泣いて言った。

「そんな、私は父から何も聞いていないわ」
ベッキーの横にいたプリシラが驚いて言った。

「詳しいことをセドリックに聞いてくるわ。ちょっとここで待っていて」
「ベッキー、ここで待つのは難しいわ。取り敢えず、リアの家に連れて帰るわよ」
「判ったわ、すぐに行くから。あいつ絶対にただでは済まさない」

ベッキーは怒りに震えて王宮に乗り込んでいったのだ。
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