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帝国にも礼儀作法の先生がいました。
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皇帝のやってくれたことは私にはやはり許せなかった。
私を傷つけるつもりはなかったとか言っているが、一言前もって大使達に断っていれば、私が追い出されることはなかったのだ。自分が自分を追い出すなんて普通はあり得ない。そもそもどんな顔して帰ったら良いんだろう。ブライトン王国にしても追い出したやつが、帝国の皇女として帰ってきたなんて洒落にもならないんじゃないのか。
もっとも、平民の私としてはあのまま王宮にとどまるのは、どのみちだめだったが・・・・・
ローマン商会の会頭のやっていたことは許せないことだったが、私に関して言えば彼らも被害者と言えるかもしれない。
もっとも、ポーションの水増し容疑で、ローマン商会は営業停止を食らってしまった。私から言わせれば当然の結果なのだが、私の件に限れば彼らも被害者だろう。
「アグネス様もそう思われませんか」
私は怒って王妃に愚痴を言っていた。
「まあ、あの人もやることはヘタレだから」
王妃は笑って言った。
王妃とは結局トイレでこもっている時に仲良くなってしまった。
そして、母とのことを夜飲んだ時に言われたのだ。
「アリシアは、私を哀れに思って王妃の座を譲ってくれたの」
と。
アグネス様は生まれた時からずうーっと王妃になるべく教育されてきたそうだ。
帝国学園に入ったときも、我が生物上の父親が、我が母やジル、剣聖のルーカスと遊んでいるのは知っていたが、私が宿るようになるとは思いもしなかったのだとか。
それがいつの間にか遊び人の皇帝は我が母とやんごとなき関係になってしまったのだ。アグネス様にとって青天の霹靂だったのんだろう。
我が母は帝国の学園でもその魔力量とポーションの力は及ぶものもなく、ものすごく目立っていたそうだ。
なんか私みたいだ。
でも、アグネス様としてはがんばって努力している平民が、将来は皇帝の部下として頑張ってこの帝国を支えてくれるはずだとあまり何も言わなかったそうだ。
その皇帝、当時は第2皇子と母との間で男女の仲になってしまったと知った時、アグネス様の受けた衝撃は大変だったはずだ。
でも、今更アグネス様が、皇帝を諦めて他の相手を見つけるにしても、大半の若手の高位貴族の令息には既に婚約者がいた。隣国のブライトン王国では、王妃が予定されていた侯爵令嬢でなくて、男爵令嬢になって世紀のシンデレラ物語と帝国内でも話題になっていた。
アグネス様は危機感しか無かった。
しかし、魔力は破壊の魔女と言われた母が圧倒的で、ポーションにしても超特級が作れる薬師は帝国に5人もいなかった。母はとても、帝国に有用な人物だったのだ。
それに対して王妃は身分しか誇れるものがなかった。
ここは、自分が身を引くしか無いのではないか、と悩んでいる時に母がやってきた。
王妃は精一杯の抵抗で母の紅茶に下剤を入れた。私の時とおんなじだ。
母はわざとそれを飲んでその後に王妃にも飲ませたのだ。
母はそれが毒でポーションを飲んでいたから問題ないと思ったらしい。それが下剤とも知らずに・・・・。
今回の私と王妃みたいに結局二人でトイレに篭ることになってしまったそうだ。
王妃は気弱になっていて、
「あなたがこんないい人ならば、王子の婚約者の地位を譲るわ」
と言った。それを聞いて母は、なんと王妃をしばいたのだとか。
「何言っているのよ。あなた生まれた時から王妃になるために、必死に努力してきたんでしょ。簡単に譲るんじやねえええ」
そう言って母は去っていったのだとか。
それ以来母には会っていないと王妃殿下は言われた。
「あんたがお腹の中にいるなんて知らなかったのよ。知っていたら私が降りたわ」
王妃は言ったが、いや、あの母に妃なんて出来るわけはなかった。
「結局今のままで、良かったと思いますよ」
私は当然だと思って言った。
私の愚痴を一通り聞くと、
「それよりも、リアに我が帝国の礼儀作法の講師を紹介するわ」
王妃はとんでもないことを言い出したのだ。礼儀作法は嫌だ。更に、私は王妃から紹介されたその人物を見て驚いた。
「あ、アビゲイル先生」
まさか帝国でこの人に会うとは、私は驚いた。
「オーレリア殿下。私、帝室の礼儀作法の講師をしておりますクラーラ・アビゲイルと申します。我が姉のアンナが王国ではお世話になったと思いますが、私は双子の妹です」
「えっ、そうなの」
こちらのアビゲイル先生は双子の妹なんだ。ということはあの厳しいアビゲイル先生が2人もいるということ!
私は呆然とした。
あのうるさ型が、2人もいるなんて。
それも私の専任としてここにいるということは最悪では・・・・
「オーレリア様はまだ、平民の癖が抜けきっておられないとか。侍女たちからは皇子殿下達に変な言葉を教えておられるとクレームが入っております」
げっ、あのベルクの子供たちの侍女だ、絶対に・・・・
「今後はビシバシとやっていきますのでそのつもりで」
私は前途暗澹とした。
これならば父と思われる皇帝と話していたほうがマシなのでは・・・・
後悔先に立たず、このことわざの意味を実感させられたのだ。
私を傷つけるつもりはなかったとか言っているが、一言前もって大使達に断っていれば、私が追い出されることはなかったのだ。自分が自分を追い出すなんて普通はあり得ない。そもそもどんな顔して帰ったら良いんだろう。ブライトン王国にしても追い出したやつが、帝国の皇女として帰ってきたなんて洒落にもならないんじゃないのか。
もっとも、平民の私としてはあのまま王宮にとどまるのは、どのみちだめだったが・・・・・
ローマン商会の会頭のやっていたことは許せないことだったが、私に関して言えば彼らも被害者と言えるかもしれない。
もっとも、ポーションの水増し容疑で、ローマン商会は営業停止を食らってしまった。私から言わせれば当然の結果なのだが、私の件に限れば彼らも被害者だろう。
「アグネス様もそう思われませんか」
私は怒って王妃に愚痴を言っていた。
「まあ、あの人もやることはヘタレだから」
王妃は笑って言った。
王妃とは結局トイレでこもっている時に仲良くなってしまった。
そして、母とのことを夜飲んだ時に言われたのだ。
「アリシアは、私を哀れに思って王妃の座を譲ってくれたの」
と。
アグネス様は生まれた時からずうーっと王妃になるべく教育されてきたそうだ。
帝国学園に入ったときも、我が生物上の父親が、我が母やジル、剣聖のルーカスと遊んでいるのは知っていたが、私が宿るようになるとは思いもしなかったのだとか。
それがいつの間にか遊び人の皇帝は我が母とやんごとなき関係になってしまったのだ。アグネス様にとって青天の霹靂だったのんだろう。
我が母は帝国の学園でもその魔力量とポーションの力は及ぶものもなく、ものすごく目立っていたそうだ。
なんか私みたいだ。
でも、アグネス様としてはがんばって努力している平民が、将来は皇帝の部下として頑張ってこの帝国を支えてくれるはずだとあまり何も言わなかったそうだ。
その皇帝、当時は第2皇子と母との間で男女の仲になってしまったと知った時、アグネス様の受けた衝撃は大変だったはずだ。
でも、今更アグネス様が、皇帝を諦めて他の相手を見つけるにしても、大半の若手の高位貴族の令息には既に婚約者がいた。隣国のブライトン王国では、王妃が予定されていた侯爵令嬢でなくて、男爵令嬢になって世紀のシンデレラ物語と帝国内でも話題になっていた。
アグネス様は危機感しか無かった。
しかし、魔力は破壊の魔女と言われた母が圧倒的で、ポーションにしても超特級が作れる薬師は帝国に5人もいなかった。母はとても、帝国に有用な人物だったのだ。
それに対して王妃は身分しか誇れるものがなかった。
ここは、自分が身を引くしか無いのではないか、と悩んでいる時に母がやってきた。
王妃は精一杯の抵抗で母の紅茶に下剤を入れた。私の時とおんなじだ。
母はわざとそれを飲んでその後に王妃にも飲ませたのだ。
母はそれが毒でポーションを飲んでいたから問題ないと思ったらしい。それが下剤とも知らずに・・・・。
今回の私と王妃みたいに結局二人でトイレに篭ることになってしまったそうだ。
王妃は気弱になっていて、
「あなたがこんないい人ならば、王子の婚約者の地位を譲るわ」
と言った。それを聞いて母は、なんと王妃をしばいたのだとか。
「何言っているのよ。あなた生まれた時から王妃になるために、必死に努力してきたんでしょ。簡単に譲るんじやねえええ」
そう言って母は去っていったのだとか。
それ以来母には会っていないと王妃殿下は言われた。
「あんたがお腹の中にいるなんて知らなかったのよ。知っていたら私が降りたわ」
王妃は言ったが、いや、あの母に妃なんて出来るわけはなかった。
「結局今のままで、良かったと思いますよ」
私は当然だと思って言った。
私の愚痴を一通り聞くと、
「それよりも、リアに我が帝国の礼儀作法の講師を紹介するわ」
王妃はとんでもないことを言い出したのだ。礼儀作法は嫌だ。更に、私は王妃から紹介されたその人物を見て驚いた。
「あ、アビゲイル先生」
まさか帝国でこの人に会うとは、私は驚いた。
「オーレリア殿下。私、帝室の礼儀作法の講師をしておりますクラーラ・アビゲイルと申します。我が姉のアンナが王国ではお世話になったと思いますが、私は双子の妹です」
「えっ、そうなの」
こちらのアビゲイル先生は双子の妹なんだ。ということはあの厳しいアビゲイル先生が2人もいるということ!
私は呆然とした。
あのうるさ型が、2人もいるなんて。
それも私の専任としてここにいるということは最悪では・・・・
「オーレリア様はまだ、平民の癖が抜けきっておられないとか。侍女たちからは皇子殿下達に変な言葉を教えておられるとクレームが入っております」
げっ、あのベルクの子供たちの侍女だ、絶対に・・・・
「今後はビシバシとやっていきますのでそのつもりで」
私は前途暗澹とした。
これならば父と思われる皇帝と話していたほうがマシなのでは・・・・
後悔先に立たず、このことわざの意味を実感させられたのだ。
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