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ベッキー視点5 リアの失恋した理由を聞いてプッツン切れました

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私はぽかんとしていた。


が、慌ててその場に跪いた。

「その方がオーレリアの友人のベッキー・ヨークか」
「はっ、皇帝陛下にはご機嫌麗しく」
私はなんとか挨拶が出来た。優雅とは行かずとも普通に出来たはずだ。

「礼儀作法は良い。椅子に座ってくれ」
皇帝は私の席を指した。

謁見の間でなくてなんで応接間?

私にはよく判らなかった。

帝国って大陸最大最強国家で、私は隣国のしがない男爵家の娘なんですけど、そんなのが皇帝の向かいに座って良いのだろうか。

「さっ、ベッキー嬢、どうぞおかけ下さい」
そう思いつつ、剣聖に進められるままに皇帝の前の席に座ることになってしまった。

「オーレリアとは仲良くしてくれて感謝している」
「はっ、そうおっしゃって頂くこと、ありがたき幸せでございます」
私は言いつつも、リアの立ち位置がもう愛人決定しているのかと緊張した。
リアの相手はカーティス殿下なのだ。帝国の皇帝とは言え、こんなおっさんにリアをやるわけにはいかない。

「その方は、オーレリアと親しいと報告を受けているが」
皇帝は私を見た。

「学園の寮が隣室でして親しくはしております」
「そこでその方に頼みがあるのだ」

きたーーー。私はとても緊張した。ここはきっちりと断ってリアをブライトンに帰さないと。ブライトン王国では、騎士たちを中心に第一王子の婚約者は、帝国の皇女ではなくリアにしようという運動が盛上っているはずだ。
リアが帝国に出奔して、もう帰らないかもしれないと脅しをかけておいたのだ。騎士たちもリアの母の七転八倒ポーションでは困るだろう。騎士たちは危機感をもっているはずだ。
ついでに帝国のローマン商会が効果のない水増しポーションを売るために大貴族に接近して色々やっていたと情報を流させたのだ。騎士たちにしてみたら、自分の身体がかかっているのだ。生死にかかる問題だった。

ここで、リアを帝国に取られるわけにはいかない。

「ちょっと手違いがあって、リアの機嫌をとても損ねてしまったのだ。なんとかリアとの仲を取り持ってもらえないだろうか」

「それはなかなか難しいのではないかと存じますが」
私は取り敢えず、やんわりと断った。

「ご存知のように、リアは頑なでして、一度決めたものは中々変えないかと」
カートを愛しているのに、他のやつなんて見向きもするかよと思っていったのだが、

「そこをなんとか、そこもとの力でしてくれないだろうか」
皇帝が下手に出てくる。こいつそんなにリアに執着しているのか、でもこんなおっさんだし、リアが好きになるわけは無いだろうに。

「しかし、リアは王国に好きな方がいて」
「それは判っておる。その点については我々が悪かったのだ。リアに対してその言い訳もきちんとししたく思うのだが、リア自体が会ってもくれないのだ」
「しかし、リアの心は一人に決まっており」
「それは判っておる。それについては全面的にバックアップはする」
「えっ、リアを帝室に嫁すという話ではなくて」
「何を申しておる。リアは私の娘だぞ」
「む、娘?」
えっ、一体どういう事?

「そうだ。娘を我が帝室に嫁すわけがなかろう。そのほうだから言うがリアは私とアリシアの娘なのだ」

私は唖然とした。そうか、それで皇帝はリアに執着していたのか。

「そのことをリアは知っていたんですか」
私は驚いて聞いた。

「アリシアに禁止されていたから言えなかったのだ。」
「じゃあ、カーティス殿下と婚約する予定の皇女殿下って」
「当然オーレリアのことだ。何をとち狂ったのか王国の一部に誤って伝わってしまったようだが」
「そ、そんな、リアは自分のせいで王宮を追い出されたんですか」
私は呆れ果てていった。というか、どうやって、皇女殿下に諦めてもらおうと考えていたのに。
そんな必要まったくなかったってこと?


私は安心すると同時に急に怒りが湧いてきた。

こいつらがうまくやらないから今回の件が起こったのではないかと。

「一部廷臣の誤解と暴走で結果としてそうなってしまったのだ」
皇帝は憔悴しきっていた。

「そらあ、リアも怒りますよ」
私は思わず言ってしまった。

「この手紙ご覧下さい」
私はリアの涙にくれた手紙を皇帝に見せた。

皇帝はその手紙を見て、どんどん顔色を悪くしていった。

「リアは自ら帝国の皇女殿下のために身を引こうとしていたのです。ここまで思いつめさせて、実はその皇女が自分だったって判ったら普通はプッツン切れますよ。陛下」
そう言うと私は席を立上った。


「今回の件については間を取りもつのは無理です。陛下ご自身が頑張って許してもらうしか手がないと思います」
「そこをなんとか」
「好きな子との間を親が余計な事をして潰したら、その子は二度と親を許さないと思いますよ」
「いやベッキー嬢」

私はなおも頼もうとする皇帝をほって部屋を出た。

やってられない。

こんな茶番のために、リアは大泣きに泣いて、プリシラの家は家庭崩壊の危機なんて、なんてはた迷惑な皇帝なのだ。

ま、いずれはなんか取引材料にして、仲を取り持ってもいいし、取り敢えずリアだ。

私は途中で通りかかった侍女に理由を話してリアの部屋に案内してもらった。

侍女はノックして扉を開けてくれた。

中ではリアがアビゲイル先生にいつものごとく怒られていた。
でも、なんでアビゲイル先生がここにいるんだろう。

「殿下、なんですか、そのお姉ちゃんて呼べというのは。弟君に呼ばすなら姉上様です。ここは、王国と違って帝国なんです。そんないい加減な呼び方は許されていません」
「あら、王国でも許されないわよ」
リアは全くこりていなかった。更に火に油を注いでいいる。

「なら尚更です。王国で許されないことが帝国でも許されるわけはないでしょう」
「で、でも」
「殿下!」
「はい、・・・・・」

「また、いつものごとく怒られているみたいだけど、入っていいと思うわ」
ディアナだと言われた侍女に中に入れてもらえた。

「ベッキー」
リアは私を見るやいなやアビゲイル先生を無視して飛んできた。
そのまま私に抱きついてきた。

「リア」
私も感極まってリアを抱きしめてしまった。

怒り狂っているアビゲイル先生の前で・・・・・・

その後二人してアビゲイル先生に怒られたことは言うまでもなかった。
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