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王都へのサクセスロードでオーガストを拾いました。
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私は第一皇女のブライトン王国留学ご一行様の車列に、ゲートシティーで追いついた。
祖母に送ってもらったのだ。
転移はなかなか難しく、私はとりあえず、短距離なら出来るようになったのだが、まだまだだ。
これは魔導実技の授業で頑張って練習しようと思った。もうさすがに、ろうそく炎のファィアーボールは飽きたのだ。
合流した後で、勝手な行動はするなとベッキーに怒られたが・・・・・
それは私じゃ無くておばあちゃんに言ってほしい。行列を見てアビゲイル先生が一緒に居なくてほっとした。なんでも、王国の姉には会いたくないそうだ。双子なのに仲は良くないらしい。
代わりに課題として、先生にお礼の手紙を書くという嫌な宿題をベッキーが預かっていた。
そんなの預かってくるなよ。
私は怒ったが、今後、カートの横に立つならば当然これくらい出来るようにならないといけないとベッキーに言われる。
「そんなのベッキーが代筆してよ」
「自分の事くらい自分でやりなさい。でないと、私がその位置につくわよ」
うーん、ベッキーは男爵令嬢だし、カートのお母さんと身分はおんなじだ。
礼儀作法は完璧、それにベッキーのゾウの心臓ならば、虐められてもびくともしないし、逆に3倍返しにしそうだ。
私より王妃にふさわしい。
でも、それってカートを取られるって事でそれは譲れない。
「判ったわよ。やれば良いんでしょ」
ムッとして私は言った。
「拝啓、アビゲイル先生お元気ですか」
「ブッブーーーー。拝啓の次は季節のご挨拶」
いきなりベッキーにダメ出し食らう。
「そんなのいるの?」
「当たり前でしょ。子供の手紙じゃないんだから。常識よ。常識」
「うるさいわね。
拝啓、しんしんと雪の降るこの頃ですが」
「ちょっと待ってよ。もう3月なんだから、雪は止めて」
「だって降っているじゃない」
私は外を見ていった。山なので3月とはいえ、雪は降っているのだ。
「3月はもう早春とか、初春とか春の挨拶なのよ」
「ええええ?、雪降っているのに、春とか無理」
「あんたの気分はどうでも良いのよ。手紙の挨拶なの。世間の常識なのよ」
「うるさいわね、じゃあ、初春の候、外は雪が降っておりますが」
「あんた、雪から離れられないの?」
「嘘は書けないわよ。ローマン商会みたいに水増しした嘘のポーション売ったりしてはいけないの」
「手紙の挨拶とローマンの不正を一緒にするな」
「嘘つくのはおんなじじゃん」
ギーーー
いきなり馬車が止まって、私は前に投げ出されて、ベッキーの胸に頭から突っ込んだ。
こいつ、こんな時にも胸の大きさを私に見せつけるなんて、
と私がどうしようもないことを考えていた時、大声が聞こえた。
「申し訳ありません。帝国第一皇女殿下の車列とお見受けしました」
どこかで聞いたことのある声だ。
「貴様何奴だ」
ジークの声が聞こえる。
採光窓から外を見るとジークの馬の先に雪の中土下座している男達がいた。
こんな雪の中で土下座するなんて。
「私はブライトン王国の平民です」
「その平民がどうしたのだ」
「ここまで来て頂いて誠に申し訳ありませんが、第一王女殿下にはこのまま帝国にお帰りいただきたい」
「何だと。我らの殿下は王国の要請によって貴国の王立学園に留学されるのだ。それを帰れとはどういう事だ」
「今回の行列の趣旨は第一王女殿下と我が国のカーティス殿下との婚約とお伺いいたしました。しかし、我が殿下には既にオーレリア・チェスターという婚約者がいるのです。何卒、このままお引取り下さい」
えっ私?私カートの婚約者になったの?
「何を言う。今回はそちらの大貴族たちの要請を受けた王室の意向を我が陛下が受けて行くと聞いておる。貴様ら貴様らの王室に逆らうのか」
「ふんっ、一部貴族の暴走したまで。我ら国民一同は殿下の配偶者にはオーレリアを押しております。どうしてもと言うならば、我らを斬って進まれよ」
顔を上げた男がオーガストだった。
その横にはベンジャミンがいる。ビリーがボブがいた。
こ、恋ちら私のために命張ってくれている!
「待って」
私はベッキーを制して扉を開けて飛び出した。
「えっ」
「リア」
「なんでお前が」
そういう4人に私はジークをどけてオーガスらの前に行って4人に抱きついていた。
4人は呆然としていたが、
「あんたら何やっているのよ。この寒い中。死ぬでしょ」
「はんっ、俺らはお前のために」
「そうだ。セドリックがお前を追い出したって言うから」
「ウヲーーーーん。ありがとう。私のために命かけてくれて」
私はいきなり感動して泣き出した。
それからしばらくてんやわんやだった。
泣きまくっている私に代わってベッキーが説明をしてくれた。
「そういうことはさっさと知らせろよ」
ベッキーはオーガストらに怒られていたが、
「何言ってんのよ。敵を欺くにはまず味方からよ。
これからリアを泣かした大貴族共を懲らしめに行くのよ。彼奴等許さないんだから」
私は我が事ながら怒ったベッキーに怖気がした。ベッキーだけは怒らせないようにしようと心に誓ったのだ。
祖母に送ってもらったのだ。
転移はなかなか難しく、私はとりあえず、短距離なら出来るようになったのだが、まだまだだ。
これは魔導実技の授業で頑張って練習しようと思った。もうさすがに、ろうそく炎のファィアーボールは飽きたのだ。
合流した後で、勝手な行動はするなとベッキーに怒られたが・・・・・
それは私じゃ無くておばあちゃんに言ってほしい。行列を見てアビゲイル先生が一緒に居なくてほっとした。なんでも、王国の姉には会いたくないそうだ。双子なのに仲は良くないらしい。
代わりに課題として、先生にお礼の手紙を書くという嫌な宿題をベッキーが預かっていた。
そんなの預かってくるなよ。
私は怒ったが、今後、カートの横に立つならば当然これくらい出来るようにならないといけないとベッキーに言われる。
「そんなのベッキーが代筆してよ」
「自分の事くらい自分でやりなさい。でないと、私がその位置につくわよ」
うーん、ベッキーは男爵令嬢だし、カートのお母さんと身分はおんなじだ。
礼儀作法は完璧、それにベッキーのゾウの心臓ならば、虐められてもびくともしないし、逆に3倍返しにしそうだ。
私より王妃にふさわしい。
でも、それってカートを取られるって事でそれは譲れない。
「判ったわよ。やれば良いんでしょ」
ムッとして私は言った。
「拝啓、アビゲイル先生お元気ですか」
「ブッブーーーー。拝啓の次は季節のご挨拶」
いきなりベッキーにダメ出し食らう。
「そんなのいるの?」
「当たり前でしょ。子供の手紙じゃないんだから。常識よ。常識」
「うるさいわね。
拝啓、しんしんと雪の降るこの頃ですが」
「ちょっと待ってよ。もう3月なんだから、雪は止めて」
「だって降っているじゃない」
私は外を見ていった。山なので3月とはいえ、雪は降っているのだ。
「3月はもう早春とか、初春とか春の挨拶なのよ」
「ええええ?、雪降っているのに、春とか無理」
「あんたの気分はどうでも良いのよ。手紙の挨拶なの。世間の常識なのよ」
「うるさいわね、じゃあ、初春の候、外は雪が降っておりますが」
「あんた、雪から離れられないの?」
「嘘は書けないわよ。ローマン商会みたいに水増しした嘘のポーション売ったりしてはいけないの」
「手紙の挨拶とローマンの不正を一緒にするな」
「嘘つくのはおんなじじゃん」
ギーーー
いきなり馬車が止まって、私は前に投げ出されて、ベッキーの胸に頭から突っ込んだ。
こいつ、こんな時にも胸の大きさを私に見せつけるなんて、
と私がどうしようもないことを考えていた時、大声が聞こえた。
「申し訳ありません。帝国第一皇女殿下の車列とお見受けしました」
どこかで聞いたことのある声だ。
「貴様何奴だ」
ジークの声が聞こえる。
採光窓から外を見るとジークの馬の先に雪の中土下座している男達がいた。
こんな雪の中で土下座するなんて。
「私はブライトン王国の平民です」
「その平民がどうしたのだ」
「ここまで来て頂いて誠に申し訳ありませんが、第一王女殿下にはこのまま帝国にお帰りいただきたい」
「何だと。我らの殿下は王国の要請によって貴国の王立学園に留学されるのだ。それを帰れとはどういう事だ」
「今回の行列の趣旨は第一王女殿下と我が国のカーティス殿下との婚約とお伺いいたしました。しかし、我が殿下には既にオーレリア・チェスターという婚約者がいるのです。何卒、このままお引取り下さい」
えっ私?私カートの婚約者になったの?
「何を言う。今回はそちらの大貴族たちの要請を受けた王室の意向を我が陛下が受けて行くと聞いておる。貴様ら貴様らの王室に逆らうのか」
「ふんっ、一部貴族の暴走したまで。我ら国民一同は殿下の配偶者にはオーレリアを押しております。どうしてもと言うならば、我らを斬って進まれよ」
顔を上げた男がオーガストだった。
その横にはベンジャミンがいる。ビリーがボブがいた。
こ、恋ちら私のために命張ってくれている!
「待って」
私はベッキーを制して扉を開けて飛び出した。
「えっ」
「リア」
「なんでお前が」
そういう4人に私はジークをどけてオーガスらの前に行って4人に抱きついていた。
4人は呆然としていたが、
「あんたら何やっているのよ。この寒い中。死ぬでしょ」
「はんっ、俺らはお前のために」
「そうだ。セドリックがお前を追い出したって言うから」
「ウヲーーーーん。ありがとう。私のために命かけてくれて」
私はいきなり感動して泣き出した。
それからしばらくてんやわんやだった。
泣きまくっている私に代わってベッキーが説明をしてくれた。
「そういうことはさっさと知らせろよ」
ベッキーはオーガストらに怒られていたが、
「何言ってんのよ。敵を欺くにはまず味方からよ。
これからリアを泣かした大貴族共を懲らしめに行くのよ。彼奴等許さないんだから」
私は我が事ながら怒ったベッキーに怖気がした。ベッキーだけは怒らせないようにしようと心に誓ったのだ。
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