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カートの真上に転移しました
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私はカートとは、もう2ヶ月近く会っていない。
毒で苦しむカートを看病したのが、最後だった。
言葉を交わしたのなんてもっと前だ。
一時期はもう二度とカートと会えないと思っていた。
セドリックから、重臣会議にて、カートの婚約者には私ではなくて帝国の皇女が選ばれたって聞いた時には、私は本当に絶望した。
平民の私では絶対にカートの隣に立てないって、思い知らされたのだ。
その絶望した私がカートと再び会えるのだ。
それだけで良かった。
今までずうーっと好きだったカートに会っても良いんだ。
今日は出迎えてくれるかと期待していたのに、騎士たちに聞くと、カートは自室で私に会えなくて悲観にくれているんだそうだ。
そこまで私のこと想ってくれていたんだ。
私はとても嬉しかった。
私は喜び勇んでカートの姿を思い描いた。でも、心の中で呼び出したカートはベッドの上で憔悴しきって寝込んでいた。
うそっ、これがカートなの。
「カート!」
私は思いっきり心の中で呼んだ。
心なかでカートが私を見上げた。
「カート」
私はもう一度叫ぶと転移した。
そして、ものの見事に寝ているカートの面前に転移したのだ。
ドシンっ
思いっきりカートの上に乗ってしまった。
「ぎゃっ」
カートが悲鳴を上げる。
「ど、どうしたのカート。私が重かった?」
私は慌てた。でもすぐにはカートの上からどけない。
「ち、違う、アリシアのポーション飲まされて」
カートが苦しそうに言う。
「えええ!、カートにまで母さん飲ませたの?」
「痛い、いたたたた」
カートが悲鳴を上げて悶え苦しむ。
私は母が許せなかった。私の大事なカートにまで、あの最悪のポーションを飲ませるなんて。
私は慌ててポーチから私の超特級ポーションを取り出した。
私は口に含むと、カートの痛みが引きますように・・・・
そう祈ると、口移しでカートの口の中に私のポーションを入れた。
痛みでのた打ち回っていたカートの動きが止まる。
「カート大丈夫」
私はカートの顔を見た。
「リア! 夢じゃない?」
カートは私の顔に手を這わした。
「私がそう聞きたいの。本当にカートなの」
私もカートの顔に手を這わす。
「カート、会いたかったよ」
私はそのままカートに思いっきり抱きついた。
「痛いっ」
カートが叫ぶ。まだ母のポーションが残っているみたい。
私はむっとすると、
「いらないポーションはさっさと消えなさい」
そう祈りつつ、更に口移しでカートにポーション飲ませた。
抱きついたまま。
カートの少しやつれた腕のなかで。
カートの痛みが全て引いたみたいだ。
カートを見ると
「ゆ、夢じゃないんだ。リア!」
「カートも夢じゃない」
私達は再度見つめ合って、次の瞬間また抱き合った。
私はカートの胸に手をおいてカートに抱かれていた。
「うーん、クリスマスデートの時みたい」
私が顔を上げて言った。
「リア、酷いじゃないか。俺を見捨てて行くなんて」
「だって、そんな事言ったら、元々カートが王子だって教えてくれなかったからじゃない」
「ああ、御免。それは本当に悪かったと思っている。言おう言おうとして中々言えなくて。リアは王子は絶対に嫌だって言うし」
「だってカートが王子様だって知らなかったんだもの」
私はブスッとして答える。
「クリスマスの時に言おうとしたらさっさと寝てたし」
「御免。カートの胸の中が気持ちよくて」
「もう絶対に離さない」
「私も」
私達二人はまた抱き合った。
「ゆ、夢じゃないんだ。リア!帝国の皇女殿下と一緒に来たのか」
「ああ、それね、実は私だったの」
「はいっ?」
カートは理解できなかったみたいだ。そうだよね。私も最初は良く判らなかった。
「だからね。帝国の第一皇女は私だったの」
「リアが、皇女殿下?」
「そう、私の父が皇帝だったみたい」
「嘘ーーーー!じゃあ、俺の婚約者ってどちらにしてもリアだってこと」
カートは呆然としたみたいだった。
「そう、信じられないでしょ。大貴族やセドリックはそれを知らなかったみたいで、最も私も帝国に行ってから聞いたんだけど」
「じゃあもっと早くに教えてよ。ずうーっと悩んでいたんだから」
「ごめん。でも、カートも王子たどなかなかおしえてくれなかったじゃない」
「まあ、それはそうだけど、本当にどうしようとずうーと悩んでいたんだから」
「ごめんね。手紙で知らせるよりは直接言おうと思ったの。中々手紙じゃ書けなくて」
「まあ、俺も中々言えなかったからなんとも言えないけど・・・・でも本当に良かった」
私はカートにゆっくりと抱きしめられた。
カートはホッとしたみたいだった。
私もカートの胸の中に抱かれてほっとしていた。
「やっとカートの胸の中に帰ってこれた」
私が言うと、
「やっとリアを取り戻せたよ」
カートが言う。
そして、眼と眼が合う。
「リア、初めて会った時からずっと好きだった」
「私も」
「嘘つけ。再会した時に俺のこと判らなかったくせに」
「御免。だって髪の色とか違ったし。でも、物心ついた時からカートが好きだったよ」
「本当に?」
「当たり前じゃない。もう絶対に離れないんだから」
「俺も絶対に離さない」
私達は再び抱き合った。
そして、顔を上げるとカートの目と私の目があった。
私達二人は見つめ合った。
そして、二人の唇がゆっくりと触れ合った。
私は舌先をそっとかーとの唇の間に差し込む。
カートの舌先とチュッと触れ合った。
そして、お互いにまた、見つめ合う。
「やっとまともなキスできた」
私がカートに言うと
「もう一度」
リクエストされて再度、唇を触れ合わす。
二度と会えないと思っていたカートの柔らかい唇だ。
舌をそっと差し出すと、カートの舌と交わった。
頭の芯が蕩けるような感じがした。
私達はずうーっと抱き合っていた。
カートの腕の中で私は本当に幸せだった。
私達は、呼んでも全然出てこない私達に、しびれを切らしたベッキーが騎士たちを迎えに来さすまで、ずっと二人きりで抱き合っていたのだ。
**********************************************
ここまでお読み頂きありがとうございました。
完結まで後少しです。
よろしくお願いします
毒で苦しむカートを看病したのが、最後だった。
言葉を交わしたのなんてもっと前だ。
一時期はもう二度とカートと会えないと思っていた。
セドリックから、重臣会議にて、カートの婚約者には私ではなくて帝国の皇女が選ばれたって聞いた時には、私は本当に絶望した。
平民の私では絶対にカートの隣に立てないって、思い知らされたのだ。
その絶望した私がカートと再び会えるのだ。
それだけで良かった。
今までずうーっと好きだったカートに会っても良いんだ。
今日は出迎えてくれるかと期待していたのに、騎士たちに聞くと、カートは自室で私に会えなくて悲観にくれているんだそうだ。
そこまで私のこと想ってくれていたんだ。
私はとても嬉しかった。
私は喜び勇んでカートの姿を思い描いた。でも、心の中で呼び出したカートはベッドの上で憔悴しきって寝込んでいた。
うそっ、これがカートなの。
「カート!」
私は思いっきり心の中で呼んだ。
心なかでカートが私を見上げた。
「カート」
私はもう一度叫ぶと転移した。
そして、ものの見事に寝ているカートの面前に転移したのだ。
ドシンっ
思いっきりカートの上に乗ってしまった。
「ぎゃっ」
カートが悲鳴を上げる。
「ど、どうしたのカート。私が重かった?」
私は慌てた。でもすぐにはカートの上からどけない。
「ち、違う、アリシアのポーション飲まされて」
カートが苦しそうに言う。
「えええ!、カートにまで母さん飲ませたの?」
「痛い、いたたたた」
カートが悲鳴を上げて悶え苦しむ。
私は母が許せなかった。私の大事なカートにまで、あの最悪のポーションを飲ませるなんて。
私は慌ててポーチから私の超特級ポーションを取り出した。
私は口に含むと、カートの痛みが引きますように・・・・
そう祈ると、口移しでカートの口の中に私のポーションを入れた。
痛みでのた打ち回っていたカートの動きが止まる。
「カート大丈夫」
私はカートの顔を見た。
「リア! 夢じゃない?」
カートは私の顔に手を這わした。
「私がそう聞きたいの。本当にカートなの」
私もカートの顔に手を這わす。
「カート、会いたかったよ」
私はそのままカートに思いっきり抱きついた。
「痛いっ」
カートが叫ぶ。まだ母のポーションが残っているみたい。
私はむっとすると、
「いらないポーションはさっさと消えなさい」
そう祈りつつ、更に口移しでカートにポーション飲ませた。
抱きついたまま。
カートの少しやつれた腕のなかで。
カートの痛みが全て引いたみたいだ。
カートを見ると
「ゆ、夢じゃないんだ。リア!」
「カートも夢じゃない」
私達は再度見つめ合って、次の瞬間また抱き合った。
私はカートの胸に手をおいてカートに抱かれていた。
「うーん、クリスマスデートの時みたい」
私が顔を上げて言った。
「リア、酷いじゃないか。俺を見捨てて行くなんて」
「だって、そんな事言ったら、元々カートが王子だって教えてくれなかったからじゃない」
「ああ、御免。それは本当に悪かったと思っている。言おう言おうとして中々言えなくて。リアは王子は絶対に嫌だって言うし」
「だってカートが王子様だって知らなかったんだもの」
私はブスッとして答える。
「クリスマスの時に言おうとしたらさっさと寝てたし」
「御免。カートの胸の中が気持ちよくて」
「もう絶対に離さない」
「私も」
私達二人はまた抱き合った。
「ゆ、夢じゃないんだ。リア!帝国の皇女殿下と一緒に来たのか」
「ああ、それね、実は私だったの」
「はいっ?」
カートは理解できなかったみたいだ。そうだよね。私も最初は良く判らなかった。
「だからね。帝国の第一皇女は私だったの」
「リアが、皇女殿下?」
「そう、私の父が皇帝だったみたい」
「嘘ーーーー!じゃあ、俺の婚約者ってどちらにしてもリアだってこと」
カートは呆然としたみたいだった。
「そう、信じられないでしょ。大貴族やセドリックはそれを知らなかったみたいで、最も私も帝国に行ってから聞いたんだけど」
「じゃあもっと早くに教えてよ。ずうーっと悩んでいたんだから」
「ごめん。でも、カートも王子たどなかなかおしえてくれなかったじゃない」
「まあ、それはそうだけど、本当にどうしようとずうーと悩んでいたんだから」
「ごめんね。手紙で知らせるよりは直接言おうと思ったの。中々手紙じゃ書けなくて」
「まあ、俺も中々言えなかったからなんとも言えないけど・・・・でも本当に良かった」
私はカートにゆっくりと抱きしめられた。
カートはホッとしたみたいだった。
私もカートの胸の中に抱かれてほっとしていた。
「やっとカートの胸の中に帰ってこれた」
私が言うと、
「やっとリアを取り戻せたよ」
カートが言う。
そして、眼と眼が合う。
「リア、初めて会った時からずっと好きだった」
「私も」
「嘘つけ。再会した時に俺のこと判らなかったくせに」
「御免。だって髪の色とか違ったし。でも、物心ついた時からカートが好きだったよ」
「本当に?」
「当たり前じゃない。もう絶対に離れないんだから」
「俺も絶対に離さない」
私達は再び抱き合った。
そして、顔を上げるとカートの目と私の目があった。
私達二人は見つめ合った。
そして、二人の唇がゆっくりと触れ合った。
私は舌先をそっとかーとの唇の間に差し込む。
カートの舌先とチュッと触れ合った。
そして、お互いにまた、見つめ合う。
「やっとまともなキスできた」
私がカートに言うと
「もう一度」
リクエストされて再度、唇を触れ合わす。
二度と会えないと思っていたカートの柔らかい唇だ。
舌をそっと差し出すと、カートの舌と交わった。
頭の芯が蕩けるような感じがした。
私達はずうーっと抱き合っていた。
カートの腕の中で私は本当に幸せだった。
私達は、呼んでも全然出てこない私達に、しびれを切らしたベッキーが騎士たちを迎えに来さすまで、ずっと二人きりで抱き合っていたのだ。
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ここまでお読み頂きありがとうございました。
完結まで後少しです。
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